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反
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ぞ
ふりがな文庫
“
反
(
ぞ
)” の例文
と、鞍の上でのけ
反
(
ぞ
)
ったが、
鐙
(
あぶみ
)
に
確
(
しか
)
と踏みこたえて、片手でわが眼に立っている矢を引き抜いたので、
鏃
(
やじり
)
と共に眼球も出てしまった。
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いかに感情の激越を表現するのでも、ああまでぶざまに顔を引き
歪
(
ゆが
)
めたり、唇を曲げたり、
仰
(
の
)
け
反
(
ぞ
)
ったり、もがいたりしないでもいい。
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
意久地なしの鼻は高くても低く見え、図々しい奴の鼻はヒシャゲていてもニューと
上
(
う
)
わ
反
(
ぞ
)
りになっているかの表現をしております。
鼻の表現
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
と仰向けに目をぐっと
瞑
(
つむ
)
り、口をひょっとこにゆがませると、所作の棒を
杖
(
つえ
)
にして、コトコトと床を鳴らし、めくら
反
(
ぞ
)
りに胸を反らした。
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
傷は一刀の下に斬下げた、見事な後ろ
袈裟
(
げさ
)
、
虚空
(
こくう
)
を掴んで
仰
(
の
)
け
反
(
ぞ
)
った太吉の顔は、
夥
(
おびただ
)
しい出血に、紙よりも白くなっております。
銭形平次捕物控:062 城の絵図面
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
▼ もっと見る
思いがけない道雄少年の言葉に、シムソンは顔を
真蒼
(
まっさお
)
にして、のけ
反
(
ぞ
)
るように驚くだろうと思いましたが、意外、彼はカラカラと笑い出しました。
計略二重戦:少年密偵
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
さすがの神尾も、子供たちから続けざまの巨弾を三発まで浴せられて、のけ
反
(
ぞ
)
っているのを見向きもしない子供たちは
大菩薩峠:32 弁信の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「ハイハイそんなようでございます。……痛! 痛! 痛! これはたまらぬ! また差し込んで参りました」身もだえをしてのけ
反
(
ぞ
)
ろうとする。
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
刺してその場から
逐電
(
ちくでん
)
するだけのことだが、この女が胸から血を流してのけ
反
(
ぞ
)
るざまは、見られたものではなかろう。なんといってもむごたらしすぎる。
鈴木主水
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
研究所の同僚たりし人々は、確かに彼ら二人を、美男美女と認めているから、間違いないと、田鍋課長はいささか得意で、
椅子
(
いす
)
の背にふん
反
(
ぞ
)
りかえった。
鞄らしくない鞄
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「お国の為めだからつて、
他
(
ほか
)
の人達はみんな戦線に立つて血を流すやうに書き立てませうよ。そして自分一人は
編輯室
(
へんしふしつ
)
の安楽椅子に
踏
(
ふ
)
ん
反
(
ぞ
)
りかへつてね。」
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
こう言われて兼久も番頭ものけ
反
(
ぞ
)
るほど驚いた。見ればみるほど、家主の話した娘にそっくりである。
早耳三次捕物聞書:03 浮世芝居女看板
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
津田は突然
拳
(
こぶし
)
を固めて小林の
横
(
よこ
)
ッ
面
(
つら
)
を
撲
(
なぐ
)
らなければならなかった。小林は抵抗する代りに、たちまち大の字になって
室
(
へや
)
の真中へ
踏
(
ふ
)
ん
反
(
ぞ
)
り返らなければならなかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
車の前が高くなって体がのけ
反
(
ぞ
)
るようになるので、それを要心していると今度は前が低まってきて、前のめりになりそうになる処があった。そこは石橋の上であった。
賈后と小吏
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
呀
(
あ
)
ッと面を押えて
退
(
の
)
け
反
(
ぞ
)
った時に、今度は妻の方が再びもぞもぞと起き上る気配なので、我を忘れて駈け寄るが早いか、体と云わず顔と云わず
滅多矢鱈
(
めったやたら
)
に殴りつけました。
陳情書
(新字新仮名)
/
西尾正
(著)
さうして朱塗のやうな袖格子が、ばら/\と焼け落ちる中に、のけ
反
(
ぞ
)
つた娘の肩を抱いて、
帛
(
きぬ
)
を裂くやうな鋭い声を、何とも云へず苦しさうに、長く煙の外へ飛ばせました。
地獄変
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
青っ
洟
(
ぱな
)
を少しずつ舐めている子供、うしろにのけ
反
(
ぞ
)
ったり、机にうつ伏せたり、脚を腰かけの横にぬーっと出してまるで倒れかかった自分の身体を危く支えたりしていた子供たちが
白い壁
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
荘田
(
しょうだ
)
は、
籐製
(
とうせい
)
の腕
椅子
(
いす
)
の
裡
(
うち
)
で、
身体
(
からだ
)
をのけ
反
(
ぞ
)
るようにしながら、
哄笑
(
こうしょう
)
した。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
八重は鞴の把手と一処に、わざと床とすれ/\になる位に
仰
(
の
)
け
反
(
ぞ
)
つて
南風譜
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
俺は泣くに泣かれぬ気持で、後にノケ
反
(
ぞ
)
って頭髪を掻きむしった。
苦力頭の表情
(新字新仮名)
/
里村欣三
(著)
雪之丞は、一松斎の言葉を聴くと、のけ
反
(
ぞ
)
るばかりに驚愕した。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
と井上君がふん
反
(
ぞ
)
り返って見せた時、夫人が現れた。
秀才養子鑑
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
と、相手の飛躍に
空
(
くう
)
を打たせるたびごとに身を
仰
(
の
)
け
反
(
ぞ
)
らしつつ叫んだが、うんもすんも、二つの人影はもとより答えもしないのだ。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
水棹
(
みずさお
)
を取り上げて、ガバと打ってかかるのを、身を開いて、ツ、ツ、ツ、懐へ入ると見るや当身一本、船頭は苦もなく
水垢
(
あか
)
の中に
仰
(
の
)
け
反
(
ぞ
)
ります。
銭形平次捕物控:010 七人の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
天に掻きのぼるかのように身を
反
(
そ
)
らして爪立ち、又爪立った。そうして空間の何物かをしっかりと掴み締めたまま、次第次第にのけ
反
(
ぞ
)
って行った。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
俥の上で何の気もなく少しうしろへ
仰
(
の
)
け
反
(
ぞ
)
ると、そのまゝ車台が梶棒を天に冲して仰向けに打つ倒れ、私は往来へ叩きつけられてイヤと云ふほど後頭部を打つた。
青春物語:02 青春物語
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
そこはもう
行
(
ゆ
)
き
止
(
どま
)
りらしい地底の
小室
(
こべや
)
だった。一人の男が、
虚空
(
こくう
)
をつかんでのけ
反
(
ぞ
)
るように
斃
(
たお
)
れている。その傍には大きな箱が
抛
(
ほう
)
り出してある。蓋を明け放しだ。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
のけ
反
(
ぞ
)
ったままぬかるみにへたりこみ「斬りやがった、斬りやがった、あゝ、ひどいことをする」
ボニン島物語
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
それで、
恐々
(
こわ/″\
)
側に寄って見ると、彼女は
退
(
の
)
け
反
(
ぞ
)
るように驚いた。重明は死んでいたのだった。
黄鳥の嘆き:——二川家殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
女性が
愕
(
おどろ
)
いた時の声は、今も昔も大概きまっている。絹を
裂
(
さ
)
くように叫んで、
退
(
の
)
け
反
(
ぞ
)
った。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
或時の彼は細君の
鳩尾
(
みぞおち
)
へ
茶碗
(
ちゃわん
)
の糸底を
宛
(
あて
)
がって、力任せに押し付けた。それでも踏ん
反
(
ぞ
)
り返ろうとする彼女の魔力をこの一点で
喰
(
く
)
い留めなければならない彼は冷たい油汗を流した。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
馬丁
(
べつたう
)
は葡萄酒の
罎
(
びん
)
を引つ抱へて、鞍の上で大威張に
踏
(
ふ
)
ん
反
(
ぞ
)
りかへつてゐた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
彼はたとへば「驚いた」と言ふ時には急に顔をのけ
反
(
ぞ
)
らせたりした。……
河童
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
と言った軽格は、のけ
反
(
ぞ
)
ったかと思うと、もう姿が見えません。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
百万石をのけ
反
(
ぞ
)
らした。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ぎゃっと、のけ
反
(
ぞ
)
ったとき、その
面
(
おもて
)
に思い出されるものがあった。おそらくは主謀者か。これを見ると余の者は、
脆
(
もろ
)
くも散って逃げ去った。
剣の四君子:05 小野忠明
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
水棹
(
みずさお
)
を取り上げて、ガバと打ってかかるのを、身を開いて、ツ、ツ、ツ、懐へ入ると見るや当身一本、船頭は苦もなく
水垢
(
あか
)
の中に
仰
(
の
)
け
反
(
ぞ
)
ります。
銭形平次捕物控:010 七人の花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
そうしてその瞬間に吾れにもあらず眼を開いた時に、女は丸
卓子
(
テーブル
)
から離れて弓のように
仰
(
の
)
け
反
(
ぞ
)
っていた。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
と、時平は体を
仰
(
の
)
け
反
(
ぞ
)
らして、さすがにいくらか照れ臭いらしく、例の豪傑笑いをした。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「火の玉」少尉の上半身は、
蝦
(
えび
)
のようにうしろにのけ
反
(
ぞ
)
った。彼の背後から組みついている怪ソ連人までが、硬い少尉の頭を胸にうけかねて、ゴンドラの
縁
(
ふち
)
にひどく押しつけられた。
空中漂流一週間
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
が、人語は犬の知るところではない、と承知のような
踏
(
ふ
)
ン
反
(
ぞ
)
りだった。その鼻ヅラで周りの人間どもをねめまわしている。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
取澄した冷たさが一ぺんに崩れると、思はずのけ
反
(
ぞ
)
りましたが、間もなく平次と周吉の熱心な視線が自分に注いでゐることに氣が付くと、
辛
(
から
)
くも冷靜を取戻した樣子で
銭形平次捕物控:208 青銭と鍵
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
眼の前に火薬庫が破裂したかのように、思わず両手を顔に当てて丸
卓子
(
テーブル
)
の前に
仰
(
の
)
け
反
(
ぞ
)
った。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
と云ったなり、往来のまん中へ
仰
(
の
)
け
反
(
ぞ
)
って了いました。
幇間
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
課長は椅子にふん
反
(
ぞ
)
りかえった。
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
男のふところ深くへ細やかな
襟頸
(
えりくび
)
を曲げ、また
仰
(
の
)
け
反
(
ぞ
)
っては、狂わしげに唇をさがしぬく黒髪にたいして、彼は意地わるく唇を与えないのだった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お六は鉄砲玉のように石榴口から飛出すと、流しに滑って物の見事に
仰
(
の
)
け
反
(
ぞ
)
りました。
銭形平次捕物控:033 血潮の浴槽
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
【映画】 正木博士は
羊羹
(
ようかん
)
色の紋付羽織、セルの
単衣
(
ひとえ
)
にセル
袴
(
ばかま
)
、洗い
晒
(
ざら
)
しの白足袋という村長然たる
扮装
(
いでたち
)
で、入口と正反対の窓に近い椅子の上に、悠然と葉巻を吹かしつつ踏ん
反
(
ぞ
)
りかえっている。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
すうつとうしろへ
仰
(
の
)
け
反
(
ぞ
)
つてしまはれた。
泉先生と私
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
谺
(
こだま
)
のような声が返った。次の跫音も、度外れに大きかった。お袖は、のけ
反
(
ぞ
)
るように
面
(
おもて
)
をそむけ、全身は一瞬に白い戦慄だけを見せて、丸く
屈
(
かが
)
まりこんだ。
大岡越前
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“反”の解説
反(たん、段とも書く)は、尺貫法の面積の単位。土地の面積に使われる反と、布の大きさを表す反とがある。これとは別に6間の長さを表す反もある。
(出典:Wikipedia)
反
常用漢字
小3
部首:⼜
4画
“反”を含む語句
反響
反対
反抗
反覆
反映
仰反
反對
反古
反射
反閇
反返
無反
往反
一反
相反
反歩
反応
文反古
正反対
背反
...