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勧工場
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かんこうば
ふりがな文庫
“
勧工場
(
かんこうば
)” の例文
旧字:
勸工場
私の家の隣には
勧工場
(
かんこうば
)
があって私たち兄弟たちは毎日の様にそこへ行った。何でも私の家の家作であって、南谷という人がやっていた。
新古細句銀座通
(新字新仮名)
/
岸田劉生
(著)
ところがそれからだいぶ経って、私が例の
達人
(
たつじん
)
といっしょに、芝の
山内
(
さんない
)
の
勧工場
(
かんこうば
)
へ行ったら、そこでまたぱったり御作に出会った。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そのころ
仲見世
(
なかみせ
)
に
勧工場
(
かんこうば
)
があって、ナポレオン一世、ビスマルク、ワシントン、モルトケ、ナポレオン三世というような写真を売っていた。
三筋町界隈
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
両国
(
りょうごく
)
の
広小路
(
ひろこうじ
)
に沿うて石を敷いた小路には小間物屋
袋物屋
(
ふくろものや
)
煎餅屋
(
せんべいや
)
など
種々
(
しゅじゅ
)
なる
小売店
(
こうりみせ
)
の賑う有様、
正
(
まさ
)
しく屋根のない
勧工場
(
かんこうば
)
の廊下と見られる。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
憐
(
あわ
)
れにも彼女はいつもうっかりしていて、外に出たついでにふと思いついて、その筋道に当たる
勧工場
(
かんこうば
)
へはいってみた。
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
▼ もっと見る
其処
(
そこ
)
へ美術学校の方から車が二台
幌
(
ほろ
)
をかけたのが出て来たがこれもそこへ止って何か云うている様子であったがやがてまた
勧工場
(
かんこうば
)
の方へ引いて行った。
根岸庵を訪う記
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
五人一座の二人までは敷かせる
座蒲団
(
ざぶとん
)
の模様が違って、違った
小紋
(
こもん
)
も、唐草も、いずれ
勧工場
(
かんこうば
)
ものにあらざるなく、
杯洗
(
はいせん
)
と
海苔
(
のり
)
とお
銚子
(
ちょうし
)
が乗って出るのも
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
銀座にはうまい
珈琲
(
コオヒー
)
や菓子を食べさす
家
(
うち
)
が出来、
勧工場
(
かんこうば
)
の階上に
尖端的
(
せんたんてき
)
なキャヴァレイが出現したりした。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
頂上には
旅人宿
(
はたごや
)
めいた室、
勧工場
(
かんこうば
)
然たる物産陳列所、郵便局、それから中央の奥宮社殿は、本殿、
幣殿
(
へいでん
)
、拝殿の三棟に別れて、社務所、
参籠所
(
さんろうしょ
)
も附属している。
不尽の高根
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
帰途
勧工場
(
かんこうば
)
に入りて
筆紙墨
(
ひっしぼく
)
を買い
調
(
ととの
)
え、
薄暮
(
はくぼ
)
旅宿に帰りけるに、稲垣はあらずして、古井
独
(
ひと
)
り何か
憂悶
(
ゆうもん
)
の
体
(
てい
)
なりしが、妾の帰れるを見て、共に晩餐を
喫
(
きっ
)
しつつ
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
「今度は電話だ」と言って、二つの
板紙
(
ボールがみ
)
の筒を持って出てくる。筒の底には紙が張ってあって、長い青糸が真ん中を
繋
(
つな
)
いでいる。
勧工場
(
かんこうば
)
で買ったのだそうである。
千鳥
(新字新仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
勧工場
(
かんこうば
)
は、寄合世帯ながら今のデパート式に、家庭用品ひととおり揃えて、明治十一年丸の内竜ノ口(永楽町二丁目)に出来た府立の第一勧工場がそもそもの元祖
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
結納
(
ゆひのう
)
の品々
担
(
つら
)
する者、雑誌など読みもて行く者、五人の子を
数珠繋
(
ずずつなぎ
)
にして
勧工場
(
かんこうば
)
に
入
(
い
)
る者、彼等は
各
(
おのおの
)
若干
(
そこばく
)
の得たるところ有りて、
如此
(
かくのごと
)
く自ら足れりと
為
(
す
)
るにかあらん。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
今活動写真館になっている文明館が同じ名前の
勧工場
(
かんこうば
)
だったが、何でもその辺から火事が起ってあの辺一帯が焼け、それから今のように町並がひろげられたのであった。
早稲田神楽坂
(新字新仮名)
/
加能作次郎
(著)
角、「たつみ食堂」と称するもののいまあるところに「梅園館」という
勧工場
(
かんこうば
)
があった。——そこを「仲見世」へ出たわたしは、そのまま左へ仁王門のほうへ道をとった。
雷門以北
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
鹿
(
しか
)
の肉、牛なべ、牛乳屋、コーヒー屋、東京にあって仙台に無いものは市街鉄道くらいのもので、大きい
勧工場
(
かんこうば
)
もあれば、パン屋あり、洋菓子屋あり、洋品店、楽器店、書籍雑誌店
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「え?」と私は聞直した、——
勧工場
(
かんこうば
)
というものは其時分まだ国には無かったから。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
勧工場
(
かんこうば
)
まで追っかけて捜しに行きなどして、ひっきりなしに彼女を『
少尉夫人
(
バニ・ホルンジナ
)
』と呼びかけるので、初めのうちこそ、この『まめな親切な』人がなかったら自分はとほうに暮れていたとこだ
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
勧工場
(
かんこうば
)
へはいって、勧工場から吐き出されて来た時には、
各〻
(
めいめい
)
が、小さな小箱を一ツずつ胸にかかえていた。豆菊も持っていた。しかし、小さな淋しい顔は、明るい灯をあびるほど沈んでいた。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ある時北国のスエーデンでは冬期に開催される
勧工場
(
かんこうば
)
建設の必要に突然迫られたことがあったが、冬期に於ける建築物の急造はこの国では不可能である。従ってすべての建築家はこの仕事を
抛棄
(
ほうき
)
した。
厨房日記
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
礼ちゃんが新橋の
勧工場
(
かんこうば
)
で大きな人形を
強請
(
ねだ
)
って困らしたの、電車の中に
泥酔者
(
よっぱらい
)
が居て
衆人
(
みんな
)
を苦しめたの、真蔵に向て細君が、
所天
(
あなた
)
は寒むがり坊だから大徳で上等
飛切
(
とびきり
)
の舶来のシャツを買って来たの
竹の木戸
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
その跡へ横浜館と名づくる
勧工場
(
かんこうば
)
ができた。
おばけの正体
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
「
勧工場
(
かんこうば
)
の店番」
耽溺
(新字新仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
神田の通りで、
門並
(
かどなみ
)
旗を立てて、もう暮の売出しを始めた事だの、
勧工場
(
かんこうば
)
で紅白の幕を張って楽隊に景気をつけさしている事だのを話した末
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
銀座
(
ぎんざ
)
駒形
(
こまがた
)
人形町通
(
にんぎょうちょうどおり
)
の柳の
木
(
こ
)
かげに夏の
夜
(
よ
)
の露店
賑
(
にぎわ
)
う有様は、
煽風器
(
せんぷうき
)
なくとも天然の凉風自在に
吹通
(
ふきかよ
)
う星の
下
(
した
)
なる一大
勧工場
(
かんこうば
)
にひとしいではないか。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
先ず国事
探偵
(
たんてい
)
より種々の質問を受けしが、その口振りによりて昼のほど公園に遊び帰途
勧工場
(
かんこうば
)
に立ち寄りて
筆紙墨
(
ひっしぼく
)
を買いたりし事まで既に残りのう探り尽されたるを知り
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
角には博品館という東京一の
勧工場
(
かんこうば
)
があったが、これはもと博品館とはいわず、俗に新橋の勧工場といっていたが、私が十一、二の頃に改築されて博品館となったものである。
新古細句銀座通
(新字新仮名)
/
岸田劉生
(著)
シヤトルの
勧工場
(
かんこうば
)
でいろいろのみやげ物を買ったついでに、草花の種を少しばかり求めた。
柿の種
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
それは姿見で、唐草模様の浮出した
紫檀贋
(
したんまが
)
いの縁の、
対
(
むか
)
うと四角な
面
(
かお
)
も長方形になる、
勧工場
(
かんこうば
)
仕込の安物ではあったけれど、兎も角も是が上等室の
標象
(
シムボール
)
として
恭
(
うやうや
)
しく床の間に据えてあった。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
ここに
金鍔
(
きんつば
)
屋、荒物屋、
煙草
(
たばこ
)
屋、損料屋、場末の
勧工場
(
かんこうば
)
見るよう、狭い店のごたごたと並んだのを通越すと、一
間
(
けん
)
口に看板をかけて、丁寧に絵にして
剪刀
(
はさみ
)
と
剃刀
(
かみそり
)
とを
打違
(
ぶっちが
)
え、下に五すけと書いて
註文帳
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「物は提げ様一つさ。ハハハハ。こりゃ
勧工場
(
かんこうば
)
で買ったのかい。だいぶ精巧なものだね。紙屑を入れるのはもったいない」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
百貨店の前身は
勧工場
(
かんこうば
)
である。
新橋
(
しんばし
)
や
上野
(
うえの
)
や
芝
(
しば
)
の勧工場より以前には
竜
(
たつ
)
の
口
(
くち
)
の勧工場というのがあって一度ぐらい両親につれられて行ったような
茫
(
ぼう
)
とした記憶があるが、夢であったかもしれない。
自由画稿
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
「そんならね、晩に
勧工場
(
かんこうば
)
で買ってらッしゃいな。」
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
だから宗助の
淋
(
さび
)
しみは単なる散歩か
勧工場
(
かんこうば
)
縦覧ぐらいなところで、次の日曜まではどうかこうか
慰藉
(
いしゃ
)
されるのである。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
今日何人あばたに出逢って、その
主
(
ぬし
)
は男か女か、その場所は小川町の
勧工場
(
かんこうば
)
であるか、上野の公園であるか、ことごとく彼の日記につけ込んである。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「もし、
御閑
(
おひま
)
ならば、小野さんにいっしょに行っていただいて
勧工場
(
かんこうば
)
ででも買って来いと申しましたから」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「やあいつの間にか
勧工場
(
かんこうば
)
が活動に変化しているね。ちっとも知らなかった。いつ変ったんだろう」
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
中は
勧工場
(
かんこうば
)
のように真中を往来にして、
同
(
おなじ
)
く勧工場の
見世
(
みせ
)
に当る所を長屋の上り口にしてある。
満韓ところどころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
朗かに風の往来を渡る午後であった。新橋の
勧工場
(
かんこうば
)
を
一回
(
ひとまわり
)
して、広い通りをぶらぶらと京橋の方へ下った。その時代助の眼には、向う側の家が、芝居の書割の様に平たく見えた。
それから
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
指で人をさすなんかは失礼の骨頂だ。習慣がこうであるのにさすが
倫敦
(
ロンドン
)
は世界の
勧工場
(
かんこうば
)
だからあまり珍らしそうに外国人を
玩弄
(
がんろう
)
しない。それからたいていの人間は非常に忙がしい。
倫敦消息
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
どこまでも同情だとか、愛だとか、正義だとか、自由だとか、
浮世
(
うきよ
)
の
勧工場
(
かんこうば
)
にあるものだけで用を
弁
(
べん
)
じている。いくら詩的になっても地面の上を
馳
(
か
)
けてあるいて、
銭
(
ぜに
)
の勘定を忘れるひまがない。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
勧
常用漢字
中学
部首:⼒
13画
工
常用漢字
小2
部首:⼯
3画
場
常用漢字
小2
部首:⼟
12画
“勧工場”で始まる語句
勧工場式