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円
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つぶら
ふりがな文庫
“
円
(
つぶら
)” の例文
旧字:
圓
若い子の夢は
円
(
つぶら
)
でした。朝まで白いベッドの中で、頬を赤くして唇をかるく開いたままで、朝起た時はもう日がスッかり出て居ました。
無題(一)
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
神像のような口と
頤
(
おとがい
)
、——その色合が純然たる暗褐色から濃いきらきらした黒玉色へ変る、異様な、烈しい、
円
(
つぶら
)
な、
潤
(
うるお
)
いのある
眼
(
まなこ
)
しめしあわせ
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
幾はなお立ち去りかねて、老婦人が手中の書を、目を
円
(
つぶら
)
にしてうちまもりぬ。手品の種はかのうちに、と思えるなるべし。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
と、くるりと
此方
(
こなた
)
に
背
(
せな
)
向けつつ、
行懸
(
ゆきか
)
けしが立ち返りて、
円
(
つぶら
)
なる目に懸念の色あり。またむこう
向
(
むき
)
に身を返して
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
それは犬のやうな険悪な目ではなく、
円
(
つぶら
)
な眼全体が、青みを含んだ黒で、いふにいはれぬ優しさをたたへてゐた。栄蔵が近づいても、栄蔵の方を見なかつた。
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
▼ もっと見る
仮面
(
めん
)
は能面の
重荷悪尉
(
おもにあくじょう
)
で、狭い額、
円
(
つぶら
)
の眼、
扁平
(
へんぺい
)
の鼻、カッと開いた口、
顎
(
あご
)
に垂らした白い
髯
(
ひげ
)
、眼下の頬に畳まれた
蜒々
(
うねうね
)
とした縦横の皺——すべて陰深たる悪人の相で
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
母は
襦袢
(
じゅばん
)
の袖を噛み声も得たてず泣き出せば、十兵衛涙に浮くばかりの
円
(
つぶら
)
の
眼
(
まなこ
)
を
剥
(
む
)
き
出
(
いだ
)
し、まじろぎもせでぐいと
睨
(
ね
)
めしが、おおでかしたでかした、よくできた、
褒美
(
ほうび
)
をやろう
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
傍の女を
対手
(
あいて
)
にして
戯言
(
じょうだん
)
を云っていた宇賀の
老爺
(
おじい
)
は、小さな
円
(
つぶら
)
な眼を長者の方にやりました。「この老爺に用意も何もあるものではありません、これから
直
(
す
)
ぐでもお
供
(
とも
)
ができます」
宇賀長者物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
日本武尊
(
やまとたけるのみこと
)
も危うく駿河の焼津の野火で、屍体をまでも焼かれ給うべきところであった。また葛城
円
(
つぶら
)
の大臣は、黒彦皇子・眉輪王等とともに、雄略天皇の為に家ぐるみ焼かれてしまった。
火葬と大蔵:焼屍・洗骨・散骨の風俗
(新字新仮名)
/
喜田貞吉
(著)
夕飯の膳には、白い湯気が微かに上って、物静かに済むと、暗いランプの光りが
煤
(
すす
)
けた一間を照す。
室
(
へや
)
の隅に置かれた小鳥はランプの
火影
(
ほかげ
)
に驚いて黒い
円
(
つぶら
)
な眼を見張って
撞木
(
とまりぎ
)
を渡り始める。
不思議な鳥
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
つくづく機関大尉も困じ果てて、煙草に火を
点
(
つ
)
けたが、その
燐寸
(
マッチ
)
を擦った時に、そして煙草から煙が発した時に、一同どんなに
吃驚
(
びっくり
)
して、眼を
円
(
つぶら
)
に
瞠
(
みは
)
ってそれを熟視していたことであろうか。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
万顆匀円訝許同 万顆ことごとく
円
(
つぶら
)
にしてかくも同じきかを
訝
(
いぶ
)
かる
詩人への註文
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
美和子は、相変らず、物に動じない
円
(
つぶら
)
な瞳をジッと、見はって
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
チョビ安は
円
(
つぶら
)
な眼を見張って
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
米友は眼を
円
(
つぶら
)
にしました。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
と
言
(
い
)
はうとして、ふと
己
(
おのれ
)
を
顧
(
かへり
)
みて
呆
(
あき
)
れ
返
(
かへ
)
つた。
這個
(
この
)
髯斑
(
ひげまだら
)
に
眼
(
まなこ
)
円
(
つぶら
)
にして
面
(
おも
)
赤
(
あか
)
き
辺塞
(
へんさい
)
の
驍将
(
げうしやう
)
に
対
(
たい
)
して、
爾
(
しか
)
き
言
(
こと
)
を
出
(
だ
)
さむには、
当時
(
たうじ
)
流行
(
りうかう
)
の
剣劇
(
けんげき
)
の
朱鞘
(
しゆざや
)
で
不可
(
いけず
)
、
講談
(
かうだん
)
ものゝ
鉄扇
(
てつせん
)
でも
不可
(
いけな
)
い。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
南部集五郎だ、年の頃は二十七、八、
赧
(
あか
)
ら顔で大兵肥満、
上身長
(
うわぜい
)
があって立派である。眉太く、眼は
円
(
つぶら
)
、鼻梁長く、口は大きい。眉の間に二本の縦皺、これがあるために陰険に見える。
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
十兵衞涙に浮くばかりの
円
(
つぶら
)
の眼を剥き出し、
瞤
(
まじろ
)
ぎもせでぐいと睨めしが、おゝ
出来
(
でか
)
した出来した、好く出来た、褒美を与らう、ハッハヽヽと咽び笑ひの声高く屋の棟にまで響かせしが
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
真っ赤になってうなずいた私を見ると、
円
(
つぶら
)
にみはった
眸
(
め
)
の中から大粒な涙が、
転
(
ころ
)
がり出たと思った次の瞬間、身を翻してスパセニアはたちまち
脱兎
(
だっと
)
のごとく、階下へ駈け降りていってしまいました。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
また余りの
静
(
しずか
)
さに、自分の
身体
(
からだ
)
が消えてしまいはせぬか、という懸念がし出して、
押瞑
(
おしつぶ
)
った目を夢から覚めたように
恍惚
(
うっとり
)
と、しかも
円
(
つぶら
)
に開けて、
真直
(
まっすぐ
)
な燈心を
視透
(
みす
)
かした時であった。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
言葉そゞろに勧むれば十兵衞つひに絶体絶命、下げたる頭を
徐
(
しづか
)
に上げ
円
(
つぶら
)
の眼を剥き出して、一ツの仕事を二人でするは、よしや十兵衞心になつても副になつても、厭なりや何しても出来ませぬ
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
妻はそのうっとりと
潤
(
うる
)
み、時にぎらぎらと熱情的にまた憎悪に激しく輝く抑揚に富んだ美しい
眸
(
ひとみ
)
を
円
(
つぶら
)
に見開いて、しきりにもの珍しそうにあたりに迫ってくる
汚穢
(
むさくる
)
しい家々の景色に見惚れ切っていた。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「
厭
(
いや
)
だぜ、おいら虫じゃあねえよ。」と
円
(
つぶら
)
に目を
睜
(
みは
)
ってわざと真顔になる。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
言葉そぞろに勧むれば十兵衛ついに絶体絶命、下げたる
頭
(
こうべ
)
を
徐
(
しず
)
かに上げ
円
(
つぶら
)
の
眼
(
まなこ
)
を
剥
(
む
)
き出して、一ツの仕事を二人でするは、よしや十兵衛心になっても副になっても、厭なりゃどうしてもできませぬ
五重塔
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
時に棟に通ずる
件
(
くだん
)
の
階子
(
はしご
)
を棟よりして
入来
(
いりきた
)
る、
岩代国
(
いわしろのくに
)
麻耶郡
(
まやごおり
)
猪苗代の城、千畳敷の
主
(
ぬし
)
、亀姫の
供頭
(
ともがしら
)
、朱の盤坊、大山伏の
扮装
(
いでたち
)
、頭に
犀
(
さい
)
のごとき角一つあり、
眼
(
まなこ
)
円
(
つぶら
)
かに
面
(
つら
)
の色朱よりも赤く、手と脚
天守物語
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
怒眼を
円
(
つぶら
)
に張って項王を
睨
(
にら
)
んだにも勝ったろう。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
太い眉の
顰
(
ひそ
)
んだ下に、
眼
(
まなこ
)
を
円
(
つぶら
)
にして
四辺
(
あたり
)
を眺めた。
悪獣篇
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
道学者はアッと痘痕、目を
円
(
つぶら
)
かにして口をつぐむ。
婦系図
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
滝太郎は目を
円
(
つぶら
)
にして
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
国麿は眼を
円
(
つぶら
)
にしつ。
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
“円”の意味
《名詞》
円(えん)
(エン)丸。丸い形。また、そうであるさま。
(エン)(数学)面上で、ある1点から距離の等しい点を結ぶ曲線。
(エン)ある地域一帯。
(エン)日本の通貨単位。
(出典:Wiktionary)
円
常用漢字
小1
部首:⼌
4画
“円”を含む語句
円柱
円形
円卓
円満
円座
円卓子
円頂
楕円形
大団円
円屋根
円天井
円髷
円朝
円滑
円蓋
円石
高円
円筒
円顱
円居
...