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八釜
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やかま
ふりがな文庫
“
八釜
(
やかま
)” の例文
いゝよ親方から
八釜
(
やかま
)
しく言つて來たら其時の事、可愛想に足が痛くて歩かれないと言ふと朋輩の意地惡が置ざりに捨てゝ行つたと言ふ
わかれ道
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
うつつから続いているようなその声は、急に
八釜
(
やかま
)
しく耳の底を
掻
(
か
)
き乱した。私は
凝
(
じっ
)
とそれを聞きながら、時に悲しい思いを胸に
抱
(
いだ
)
いた。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
また、わたしとしても、悪いことは黙って見ていられない性分でございまして、子供の躾は、それは
八釜
(
やかま
)
しくいたしたつもりでございます
情状酌量
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
少女を誘惑する方法に二つある、なぞと云うと
八釜
(
やかま
)
しくなるが、実は何でもない。一つは手紙を出して見るので、普通の少年でもよくやる。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
我輩はその当時外務大臣で当局者であったから一層世間の攻撃が
八釜
(
やかま
)
しかったが、私は正直だから思った通りを述べたのである。事実その通りだ。
東亜の平和を論ず
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
▼ もっと見る
若しこの国民が
八釜
(
やかま
)
しい人民であるならば、……………は無いのである。——この話をして置かなければならない。
政治の破産者・田中正造
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
出来るだけ早く、そして多く入れようというゲイムだ——は、充分の雪量と適度の寒ささえあれば、雪の質にまであんまり
八釜
(
やかま
)
しいことを言う必要はない。
踊る地平線:11 白い謝肉祭
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
そうして僕達が結局彼女等を相手にせず素通りするものと観察した瞬間に彼女等が揃って、オーケストラの如く僕達へ浴びせかけた悪口の
八釜
(
やかま
)
しさは何うだ。
赤げっと 支那あちこち
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
食物
(
くいもの
)
ア江戸口で、お
前
(
めえ
)
塩の甘たっけえのを、江戸では斯う云う
旨
(
うめ
)
え
物
(
もん
)
喰って居るからって、
食物
(
くいもな
)
ア大変
八釜
(
やかま
)
しい、
鰹節
(
かつぶし
)
などを山の様に掻いて、
煮汁
(
にしる
)
を取って
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
しかし仕事をしている時のヘルンは、最も気むずかしやの
八釜
(
やかま
)
しい主人であった。家内のちょっとした物音や話声にも、感興を破られたといって苦情を言った。
小泉八雲の家庭生活:室生犀星と佐藤春夫の二詩友を偲びつつ
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
赤いのや、濃い紫や、浅黄のが取りだされて
八釜
(
やかま
)
しぼりとか、麻の葉とか、つのしぼりとか、赤の黄上げのだとか、種々な
鹿
(
か
)
の
子
(
こ
)
絞りにも名のあるのをあたしは知った。
旧聞日本橋:05 大丸呉服店
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
此方
(
こつち
)
にはちやんと
證據物件
(
しようこぶつけん
)
が
厶
(
ござ
)
る、そんなに
八釜
(
やかま
)
しく
言
(
い
)
ふなら、サア
來
(
き
)
て
見
(
み
)
なせいと
云
(
い
)
つて、
山奧
(
やまおく
)
へ
連
(
つ
)
れて
行
(
い
)
つて、
其
(
その
)
紀念塔
(
きねんたふ
)
を
見
(
み
)
せてやるのだ、どうだい
此
(
この
)
字
(
じ
)
が
讀
(
よ
)
めぬか
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
その年はちょうど三十何年目に一度廻って来る
家
(
うち
)
の大祭の年に当り、祭は鄭重を極め、正月中掲げられた影像の前には多くの供え物をなし、祭器の撰択が
八釜
(
やかま
)
しく行われ
故郷
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
蛁蟟
(
つくつくほうし
)
が
八釜
(
やかま
)
しいまで鳴いているが車の音の聞えぬのは有難いと思うていると上野から出て来た列車が煤煙を吐いて通って行った。三番と掛札した踏切を越えると桜木町で辻に交番所がある。
根岸庵を訪う記
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
只親指に墨を塗り姓名の下に押す、即ち
拇印
(
ぼいん
)
爪印
(
つめいん
)
とも申ます、
平常
(
ふだん
)
実印を用いても、
極
(
ごく
)
八釜
(
やかま
)
しい事、即ち調べを受けて証拠でも取られるというような時に至って、必ず拇印をいたしますが
探偵小説の「謎」
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
指し乍ら「
温和
(
おとな
)
し相でゐて心底の骨の強い人には妾決して惚れる事は出来ないの。此人はこんな人の善さ相な顔してゐて
心
(
しん
)
はそれは氷のやうにきついんですからね。ほゝどうもお
八釜
(
やかま
)
しう。」
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
それに、万事
八釜
(
やかま
)
しいことを言はぬやうになるのが、何より重宝です。
元日の釣
(新字旧仮名)
/
石井研堂
(著)
それからお父さんは伯父さんから手紙が来た時又面倒な
八釜
(
やかま
)
しやが
御出
(
おいで
)
になるんだなといった事、けれどもお母さんは
彼
(
あ
)
の
聾耳
(
つんぼ
)
は滞在中の
雑用
(
ぞうよう
)
を払うから、伯母さんよりか始末が善いといった事
いたずら小僧日記
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「ウワア、こいつは驚いた。恐しく
八釜
(
やかま
)
しいのが出て来た。何かい、君は弁護士試験か、高文試験でも受けた事があるのかい」
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
さうはいふが、
八釜
(
やかま
)
しい姑をもつて、その姑より嚴しくやかましい母を私はよく知つてゐたから
日本橋あたり
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
とにかく
英吉利
(
イギリス
)
では「結婚を目的としない婚約」が性道徳の破壊行為として
八釜
(
やかま
)
しく論じられ、一方には、それほどの問題となるまでに、若い男女間に広く実行されている。
踊る地平線:11 白い謝肉祭
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
今度も
左様
(
さう
)
です、松島が負傷したに就て、軍隊や元老の方からも
八釜
(
やかま
)
しく言うて来て困る、是非何とかして、篠田を
引
(
ひ
)
ツ
縛
(
くゝ
)
らねばならぬからと言ふんでせう——其りや成程
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
親方どうも大きな声をしてお
八釜
(
やかま
)
しゅうございます、え、おいお
爺
(
とっ
)
さん、己ア此処迄に
四度
(
よたび
)
飲んで来たが、直ぐに
酔
(
よい
)
が醒めるんだ、醒めるから又居酒屋へ飛び込んで
飲
(
や
)
って来たが
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「子供も連れて行きます。置いて行くと
八釜
(
やかま
)
しくって
御蒼蠅
(
おうるさ
)
いでしょうから」
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
西郷の銅像の後ろから
黒門
(
くろもん
)
の前へぬけて動物園の方へ曲ると外国の水兵が
人力
(
じんりき
)
と何か
八釜
(
やかま
)
しく云って
直
(
ね
)
ぶみをしていたが話が
纏
(
まと
)
まらなかったと見えて間もなく商品陳列所の方へ行ってしまった。
根岸庵を訪う記
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
何しろ船長は支那人を二十人ばかり雇いこんだが、
其奴
(
そいつ
)
等は馬鹿に忠実で、よく働いて、僅かな給料と半人前の
食物
(
くいもの
)
を充てがわれ、軍艦同様な
八釜
(
やかま
)
しい規則にも、不平一つ云わずに服従しているんだ。
ラ・ベル・フィユ号の奇妙な航海
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
この頃、長崎の役人の調べが急に
八釜
(
やかま
)
しくなって、仕事が
危険
(
やば
)
くなりましたのに、この風で船が出なくなって、皆青くなっているところです。
名娼満月
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「丁銀のおばあさんも
八釜
(
やかま
)
しやで、
灸
(
きゅう
)
が大好きだから、
祖母
(
おふくろ
)
の気が合ってたんでやられたのだ。」
旧聞日本橋:15 流れた唾き
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
忽
(
たちま
)
ち山倉は名主へ引かれ、間が悪い事に名主の瓜畑だから
八釜
(
やかま
)
しく、庭へ引かれ、麻縄で縛られますと、
廃
(
よ
)
せばよいに名主惣次郎は情深い人だから縁側へ煙草盆を持ち出して参って
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
政治家を以て任じていた彼女の父は、教育に関して
殆
(
ほと
)
んど無定見であった。母はまた普通の女のように
八釜
(
やかま
)
しく子供を育て上る
性質
(
たち
)
でなかった。彼女は
宅
(
うち
)
にいて比較的自由な空気を呼吸した。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ウム、其れは
先
(
ま
)
づ其れとしても、君、山木が早く
取定
(
とりきめ
)
ないのは
不埒
(
ふらち
)
極まる、
今日
(
こんにち
)
まで彼を
庇護
(
ひご
)
して遣つたことは
何程
(
どれほど
)
とも知れたもンぢやない、
彼
(
あ
)
の砂利の牛肉鑵詰事件の時など新聞は
八釜
(
やかま
)
しい……
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
大阪の新聞社の支局へも挨拶しないまま、今から直ぐに出発したいという我ままな願いも、そんなに
八釜
(
やかま
)
しく仰言らずに承知して下さいました。
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
代助から
云
(
い
)
ふと寧ろ賛成な位なもので、
彼
(
かれ
)
は
妾
(
めかけ
)
を置く余裕のないものに
限
(
かぎ
)
つて、
蓄妾
(
ちくしよう
)
の攻撃をするんだと考へてゐる。
親爺
(
おやぢ
)
は又
大分
(
だいぶ
)
の
八釜
(
やかま
)
し
屋
(
や
)
である。小供のうちは
心魂
(
しんこん
)
に
徹
(
てつ
)
して困却した事がある。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
何処
(
どこ
)
かで一緒になったで口でもきゝ合った訳だんべえ、それでまア娘が気に、
彼
(
あ
)
ア云う人を
何卒
(
どうか
)
亭主
(
ていし
)
に
為
(
し
)
たいとか
内儀
(
かみさん
)
になりてえとか云う訳で、心に思っても
兄
(
あに
)
さまが
堅
(
かて
)
えから
八釜
(
やかま
)
しい事云うので
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
永久に説明出来ない現象が存在する事を如実に証拠立て得る事になるという、トテモ
八釜
(
やかま
)
しい
瘤
(
こぶ
)
なんだよ、それは……すなわち君の頭の痛みは
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
決して悪気でした事では御座いませんじゃったが、人間の
生胆
(
きも
)
と
枕草紙
(
かよい
)
は警察が
八釜
(
やかま
)
しゅう御座いますケニなあ……。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
しかし御承知の通り父はとても
凝
(
こ
)
り
性
(
しょう
)
でしたので、
指
(
さ
)
し
図
(
ず
)
がなかなか
八釜
(
やかま
)
しくて職人は面喰い通しだったそうです。
押絵の奇蹟
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
近来「男子の姦通罪を認めよ」とか「認めるな」とかいう問題が次第に
八釜
(
やかま
)
しくなって、議会にかけるとかかけぬとか騒がれているようになりました。
鼻の表現
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「……妾たちの知った事じゃ御座んせぬもの。それじゃけに事が
八釜
(
やかま
)
しゅうなれば、わたし達を連れて薩州へ
退
(
の
)
いて見せると、大殿は言い御座ったけになあ」
名君忠之
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それをこの頃になって亜米利加の学者たちが
八釜
(
やかま
)
しくいって研究しているけども、それはただ学問の研究だけで、本当にやって見ようなんていう度胸のある人間は
支那米の袋
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「
左様左様
(
さようさよう
)
。その船は実をいうと禁断のオロシャ通いで、表向きに世話すると
八釜
(
やかま
)
しいげなが……」
名君忠之
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「
藁
(
わら
)
屋根は防火上危険だから」と言って、警察から
八釜
(
やかま
)
しく言って来ても、物置の建築費がないからと言って、県の当局の方を長いことお困らせになったのでしょう。
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
支那人と日本人の好みが違うかね。僕はカラッキシ
素人
(
しろうと
)
なんだが。フウン。あの団子みたいな模様と、鳥の恰好が、特に日本人は
八釜
(
やかま
)
しい。そんなものかねえ。成る程。
焦点を合せる
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
博多の
小山
(
おやま
)
という所の母方の御親戚に当るお婆さんの処へ行って、
機織
(
はたおり
)
、
裁
(
た
)
ち
縫
(
ぬ
)
いなぞをお習いになりましたが、そのお婆さんが名高い
八釜
(
やかま
)
し
屋
(
や
)
のお師匠さんでしたのに
押絵の奇蹟
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ナアニ、どこへも聞こえやしないよ。機械の音が
八釜
(
やかま
)
しいから……ナニイ……何だって……。
焦点を合せる
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「この頃はルーム点けないと
八釜
(
やかま
)
しいんです。直ぐに
赤自動自転車
(
アカバイ
)
が追っかけて来るんです」
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
科学、法律、道徳といったような
八釜
(
やかま
)
しい条件に縛られながら生きている事を、文化人の自覚とか何とか錯覚している馬鹿どもの世界には、夢にも帰りたくなくなったのです。
キチガイ地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
そんな動物連中の排泄物や、体臭や、猛烈に腐敗した食餌の
落零
(
おちこぼ
)
れの発酵
瓦斯
(
がす
)
で、気が遠くなるほど臭い上に、ギャアギャアワンワンニャーニャーガンガン
八釜
(
やかま
)
しい事
夥
(
おびただ
)
しい。
超人鬚野博士
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
最近にヤンキーのインチキ野郎を一人、半殺しにしたのが
八釜
(
やかま
)
しくなって、領事の顔を立てるために香港を飛び出した位の荒武者だったから、普通人程にビク付きはしなかった。
幽霊と推進機
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
青柳喜平というのは当時から福岡の青物問屋でも一番の
老舗
(
しにせ
)
で
双水執流
(
そうすいしつりゅう
)
という昔風の柔道の家元で、武徳会の範士という、仁三郎には不似合いな
八釜
(
やかま
)
しい肩書附の親友であった。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
八
常用漢字
小1
部首:⼋
2画
釜
常用漢字
中学
部首:⾦
10画
“八釜”で始まる語句
八釜敷
八釜間敷