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僵
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たお
ふりがな文庫
“
僵
(
たお
)” の例文
面貌
(
めんぼう
)
ほとんど生色なく、今にも
僵
(
たお
)
れんずばかりなるが、ものに激したる
状
(
さま
)
なるにぞ、介添は
心許
(
こころもと
)
なげに、つい居て着換を捧げながら
琵琶伝
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ローマのプリニウスの『
博物志
(
ヒストリア・ナチュラリス
)
』八巻十一章にも、インドの大竜大象と闘うてこれを捲き殺し地に
僵
(
たお
)
るる重量で竜も
潰
(
つぶ
)
れ死すと見ゆ
十二支考:03 田原藤太竜宮入りの話
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
或ときはむかし別れし妹に
逢
(
あ
)
ひたる兄の心となり、或ときは廃園に
僵
(
たお
)
れ
伏
(
ふ
)
したるヱヌスの像に、
独
(
ひとり
)
悩める彫工の心となり、或るときはまた
艶女
(
えんにょ
)
に心動され
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
空しくあたりを見廻した私の眼は、地上五、六尺の所からへし折れて笹の中に
僵
(
たお
)
れている太い樺の木に注いだ。急いで其上に登って改めて復あたりを見廻した。
秋の鬼怒沼
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
「助けてい!」と言いさまに、お雪は何を
狼狽
(
うろた
)
えたか、
扶
(
たす
)
けられた滝太郎の手を振放して、
僵
(
たお
)
れかかって拓の袖を千切れよと
曳
(
ひ
)
いた。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
隆
僵
(
たお
)
れて知るところなし、犬
徬徨涕泣
(
ほうこうていきゅう
)
走って船に還りまた草中に
反
(
かえ
)
る。同伴怪しみ随い往き隆の悶絶せるを見、
将
(
ひき
)
いて家に帰る。
十二支考:09 犬に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
少女は「あ」と叫びつつ、そのまま気を
喪
(
うしな
)
ひて、巨勢が
扶
(
たす
)
くる手のまだ及ばぬ
間
(
ま
)
に
僵
(
たお
)
れしが、傾く舟の一揺りゆらるると共に、うつ
伏
(
ぶせ
)
になりて水に
墜
(
お
)
ちぬ。
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
枯木自ら
僵
(
たお
)
れて虯竜路に横たはり、土柔かに苔潤ひ、老檜枝を交へて崇軒高聳し、白日猶ほ暗く、習習たる冷風谷より吹き上りて、白露衣襟に落つるなど、浮世に遠き山中とて
木曽駒と甲斐駒
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
戸を
犇
(
ひしめ
)
かして、男は打ち
僵
(
たお
)
れぬ。
朱
(
あけ
)
に染みたるわが手を見つつ、
重傷
(
いたで
)
に
唸
(
うめ
)
く声を聞ける白糸は、戸口に立ち
竦
(
すく
)
みて、わなわなと
顫
(
ふる
)
いぬ。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
舟には解けたる髪の泥水にまみれしに、
藻屑
(
もくず
)
かかりて
僵
(
たお
)
れふしたる少女の姿、たれかあはれと見ざらむ。をりしも漕来る舟に驚きてか、蘆間を離れて、岸のかたへ高く飛びゆく
螢
(
ほたる
)
あり。
うたかたの記
(新字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
滝川一益北条勢と戦い負けた時炎天ゆえ馬渇せしに、河水を飲ませて乗りしに走り
僵
(
たお
)
れ、飲ませなんだ馬は命を全うしたというに似ている。して見ると我輩も飲まぬ方がよいかしらん。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
にわかに
劇
(
はげ
)
しく腹の痛みて、立ってもいられず大地に
僵
(
たお
)
れ、苦しんでいる処へ誰やらん水を持来りて、呑ましてくるる者のあり。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
陰
(
くも
)
った日の空が
二人
(
ふたり
)
の頭上において裂け、そこから
一道
(
いちどう
)
の火が地上に
降
(
くだ
)
ったと思うと、
忽
(
たちま
)
ち耳を貫く音がして、二人は地に
僵
(
たお
)
れた。一度は
躋寿館
(
せいじゅかん
)
の講師の
詰所
(
つめしょ
)
に休んでいる時の事であった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「あ。」と一声血を絞れる、不意の叫声に驚きて、思わず軍夫が放てる手に、身を支えたる力を失して
後居
(
しりい
)
にはたと
僵
(
たお
)
れたり。
海城発電
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「あ。」と一声血を
絞
(
しぼ
)
れる、不意の叫声に驚きて、思はず軍夫が放てる手に、身を支えたる力を失して
後居
(
しりい
)
にはたと
僵
(
たお
)
れたり。
海城発電
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
とわッとばかりに泣出しざま、
擲
(
なげう
)
たれたらんかのごとく、障子とともに
僵
(
たお
)
れ出でて、
衝
(
つ
)
と
行
(
ゆ
)
き、勝手
許
(
もと
)
の
暗
(
やみ
)
を探りて、
渠
(
かれ
)
は得物を手にしたり。
化銀杏
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
猛獣
犠牲
(
いけにえ
)
を
獲
(
え
)
て直ぐには殺さず
暫時
(
しばらく
)
これを
弄
(
もてあそ
)
びて、早
慊
(
あきた
)
りけむ得三は、下枝をはたと蹴返せば、
苦
(
あっ
)
と
仰様
(
のけざま
)
に
僵
(
たお
)
れつつ
呼吸
(
いき
)
も絶ゆげに
唸
(
うめ
)
きいたり。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
幾度か水火の中に出入して、場数巧者の探偵吏、三日月と名に負う倉瀬泰助なれば、何とて
脆
(
もろ
)
くも得三の
短銃
(
ピストル
)
に
僵
(
たお
)
るべき。
活人形
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
亭主は
鳩尾
(
みぞおち
)
のところを突き
洞
(
とお
)
される、女房は
頭部
(
あたま
)
に三箇所、肩に一箇所、左の乳の下を
刳
(
えぐ
)
られて、
僵
(
たお
)
れていたその手に、男の片袖を
掴
(
つか
)
んでいたのだ
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
痩せたる上に色さえ
朧
(
おぼろ
)
、見る影もない
状
(
さま
)
ながら、なお床を這い板に
僵
(
たお
)
るる患者の
中
(
うち
)
に、独り身を起していた姿、連添う身に、いかばかりの
慰藉
(
いしゃ
)
なりけむ。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と遠慮がちに訴うるは、美人の膝枕せし
老夫
(
おやじ
)
なり。馬は群がる
蠅
(
はえ
)
と
虻
(
あぶ
)
との中に優々と水飲み、奴は
木蔭
(
こかげ
)
の
床几
(
しょうぎ
)
に大の字なりに
僵
(
たお
)
れて、むしゃむしゃと菓子を
吃
(
く
)
らえり。
義血侠血
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
すわやと見る目の前の、鷲の翼は
四辺
(
あたり
)
を暗くした中に、娘の白い
膚
(
はだえ
)
を包んで、はたと
仰向
(
あおむけ
)
に
僵
(
たお
)
れた。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
少年が勇威
凜々
(
りんりん
)
として今大鷲を
搏
(
う
)
った時の風采は、理学士をして思わず
面
(
おもて
)
を伏せて、
僵
(
たお
)
れたる肉一団何かある、我が妻をもてこの神将に捧げんと思わしめたのである。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「や……妙なものが
僵
(
たお
)
れている。何だ。やはり人らしい。しかも女だ。誰だろう。」
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
其時
(
そのとき
)
最後の痛苦の絶叫、と見ると、
苛
(
さいな
)
まるゝ
婦人
(
おんな
)
の下着、樹の枝に届くまで、すツくりと立つたので、我を忘れて
突立
(
つった
)
ち
上
(
あが
)
ると、
彼方
(
かなた
)
はハタと又
僵
(
たお
)
れた、今は
皮
(
かわ
)
や破れけん、
枯草
(
かれくさ
)
の白き上へ
二世の契
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
いかにも大木の
僵
(
たお
)
れたのが草がくれにその幹をあらわしている、乗ると
足駄穿
(
あしだばき
)
で
差支
(
さしつか
)
えがない、丸木だけれどもおそろしく太いので、もっともこれを渡り果てるとたちまち
流
(
ながれ
)
の音が耳に
激
(
げき
)
した
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
という声もろとも、
咽喉
(
のんど
)
に
白刃
(
しらは
)
を刺されしまま、伝内はハタと
僵
(
たお
)
れぬ。
琵琶伝
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
おい
皆
(
みんな
)
聞かっし、初手はな、
支那人
(
チャンチャン
)
の金満が
流丸
(
ながれだま
)
を
啖
(
くら
)
って
路傍
(
みちばた
)
に
僵
(
たお
)
れていたのを、中隊長様が可愛想だってえんで、お手当をなすってよ、
此奴
(
こいつ
)
にその家まで送らしておやんなすったのがはじまりだ。
海城発電
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
おい
皆
(
みんな
)
聞かつし、
初手
(
しょて
)
はな、
支那人
(
チャンチャン
)
の金満が
流丸
(
ながれだま
)
を
啖
(
くら
)
つて
路傍
(
みちばた
)
に
僵
(
たお
)
れてゐたのを、中隊長様が可愛想だつてえんで、お手当をなすつてよ、
此奴
(
こいつ
)
にその家まで送らしてお
遣
(
や
)
んなすつたのがはじまりだ。
海城発電
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
身悶
(
みもだ
)
えして帯を解棄て、毛を
掻挘
(
かきむし
)
り
髷
(
まげ
)
を
毀
(
こわ
)
せば、
鼈甲
(
べっこう
)
の
櫛
(
くし
)
、
黄金笄
(
きんこうがい
)
、畳に散りて乱るる
態
(
すがた
)
、蹴出す
白脛
(
しろはぎ
)
裳
(
もすそ
)
に
絡
(
から
)
み、横に
僵
(
たお
)
れて、「ええ、悔しい!」
柳眉
(
りゅうび
)
を逆立て、星眼血走り、我と
我
(
わが
)
手に喰附けば
貧民倶楽部
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、ミリヤアドの枕の
許
(
もと
)
に
僵
(
たお
)
れふして、胸に
縋
(
すが
)
りてワッと泣きぬ。
誓之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
よろよろと
僵
(
たお
)
れかかれる、肩を支えて、腕を
掴
(
つか
)
みて
琵琶伝
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この声とともに、
船子
(
ふなこ
)
は
礑
(
はた
)
と
僵
(
たお
)
れぬ。
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
僵
漢検1級
部首:⼈
15画
“僵”を含む語句
僵尸
僵臥
僵掛
僵瘃
吹僵
吹雪僵
寝僵
引僵
打僵
曳僵
横僵