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了簡
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りょうけん
ふりがな文庫
“
了簡
(
りょうけん
)” の例文
ちとやそっとの、ぶんぶんなら、夜具の襟を
被
(
かぶ
)
っても、成るべくは、蛍、
萱草
(
かやくさ
)
、行抜けに見たい
了簡
(
りょうけん
)
。それには持って来いの診察室。
沼夫人
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
理不尽
(
りふじん
)
に
阿魔女
(
あまっちょ
)
が女房のいる所へどか/\
入
(
へい
)
って来て話なんぞをしやアがって、もし
刃物三昧
(
はものざんまい
)
でもする
了簡
(
りょうけん
)
なら私はたゞは置かないよ
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
しおれた花、虫ばみ枯れかかった葉を故意にあさはかな
了簡
(
りょうけん
)
で除いて写した向日葵の絵は到底リアルな向日葵の絵ではあり得ない。
備忘録
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
そりゃ、親方悪い
了簡
(
りょうけん
)
だろうぜ。一体俺達が、妻子
眷族
(
けんぞく
)
を見捨てて、
此処
(
ここ
)
までお前さんに、
従
(
つ
)
いて来たのは、何の為だと思うのだ。
入れ札
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
なぜこんな余計な仮定をして平気でいるかというと、そこが人間の
下司
(
げす
)
な
了簡
(
りょうけん
)
で、我々はただ生きたい生きたいとのみ考えている。
文芸の哲学的基礎
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
しかし長く止まって居る事が出来ぬというお話でござれば長く
引留
(
ひきとめ
)
は致さぬけれども、とにかく私の一
了簡
(
りょうけん
)
で
極
(
き
)
める訳にいかないから
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
奴らも今になってそんな
卑怯
(
ひきょう
)
なことを言いだすくらいなら、何と思ってはるばる江戸まで下ってきたのだ? 俺にはその
了簡
(
りょうけん
)
が分らないね
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
言いわけも聞かないで縄にかけるというのはいかにも
了簡
(
りょうけん
)
がなり兼ねる、それはひどい、無理だ、と思ったから米友はムキになりました。
大菩薩峠:07 東海道の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
仮初
(
かりそめ
)
にも人に
疵
(
きず
)
を付ける
了簡
(
りょうけん
)
はないから、
唯
(
ただ
)
一生懸命に
駈
(
か
)
けて、堂島五丁目の
奥平
(
おくだいら
)
の倉屋敷に
飛込
(
とびこん
)
でホット
呼吸
(
いき
)
をした事がある。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
頭の悪い上に
了簡
(
りょうけん
)
の狭いことをくどくど云った。親爺の応対ははじめは冗談かと思うほどに、
理不尽
(
りふじん
)
極まるものであった。私も
中腹
(
ちゅうっぱら
)
になった。
安い頭
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
どうしてお粂がそんな
了簡
(
りょうけん
)
違いをしたろうということは、彼女の周囲にある親しい人たちの間にもいろいろと問題になった。
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
とはいえ、何しろ相手が
了簡
(
りょうけん
)
のわからない奇人快人揃いの事だからウッカリした事を発表したら何をされるかわからない。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
すぐ起きる
了簡
(
りょうけん
)
ではあるが、なかなかすぐとは起きられない。肩が痛む腰が痛む、手の節足の節共にきやきやして痛い。どうもえらいくたぶれようだ。
隣の嫁
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
どんな金高にも
易
(
か
)
へられない程の嫌やな思ひをさせてさんざつぱら女を苦しめておきながら見事面白がられてる
了簡
(
りょうけん
)
でゐる生粋の間抜共を見るたびにね。
ウォーレン夫人とその娘
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
タダの奉公人でも追出すような
了簡
(
りょうけん
)
で葉書一枚で解職を通知したぎりで
冷
(
す
)
ましているというは天下の国士を任ずる沼南にあるまじき不信であるというので
三十年前の島田沼南
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
町通りを行き過ぎた多市を見かけて、万吉もヒラリと土蔵の
蔭
(
かげ
)
を離れた。手紙と交換に阿波入りの事情や甲賀
世阿弥
(
よあみ
)
の身の上などを探り取ろうという
了簡
(
りょうけん
)
。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
武力に
愬
(
うった
)
えて、弱い者から飲み代を、稼ごうと言う
了簡
(
りょうけん
)
を考えると、人間の風上に置けない気がした。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
事もあろうに月々三百八十円ずつの保証人になろうというのは大した
了簡
(
りょうけん
)
で、世間でそれほどまでに買ってくれるかどうかは考えてみてもわかりそうなものであったが
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「
私
(
わし
)
もこの四五日
忙
(
せわ
)
しいんで、聞いてみる
隙
(
ひま
)
もなかったが、全体お前の
了簡
(
りょうけん
)
はどういうんだな」
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
自分の本当の
了簡
(
りょうけん
)
で、自分の嗜好で、自分の見識で習いますときに、たとえ先生が一人であっても、習う者が百人おりましたら、百人とも違った字ができるはずであります。
習書要訣:――美の認識について――
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
汝
(
なんじ
)
は人の前に立ち、少しでもよく自分を思われたいと、自分の真価以上に
看板
(
かんばん
)
をかけたい
了簡
(
りょうけん
)
なるか、相手の人に
褒
(
ほ
)
められたいと思っておりはせぬか、あるいは何か求むる所があって
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
諸人の
頭
(
かしら
)
をもする者ども、軍法だてをして
床几
(
しょうぎ
)
に腰を掛け、
采配
(
さいはい
)
を持って人数を使う手をも汚さず、口の先ばかりにて
軍
(
いくさ
)
に勝たるるものと心得るは大なる
了簡
(
りょうけん
)
違いなり、一手の大将たる者が
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
どうするか覚えていろと、
果
(
はて
)
わ
悔
(
くや
)
しまぎれに良くない
了簡
(
りょうけん
)
を起しました。
三角と四角
(その他)
/
巌谷小波
(著)
第一、と言いかけるを押し
止
(
とど
)
めて、もういいわ、お前はお前の
了簡
(
りょうけん
)
で
嫌
(
きら
)
うさ。
私
(
わし
)
は私で
結交
(
つきあ
)
うから、もうこのことは言わぬとしよう。それでいいではないか。顔を赤め合うのもつまらんことだ。
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
「悪い
了簡
(
りょうけん
)
を起こしまして」
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
「どうする
了簡
(
りょうけん
)
じゃ」
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
炬燵櫓
(
こたつやぐら
)
を
跨
(
また
)
いだ同然、待て待て禁札を打って、先達が登山の印を残そうと存じましたで、携えました金剛を、一番
突立
(
つった
)
てておこう
了簡
(
りょうけん
)
。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
高柳君は
床
(
とこ
)
のなかから
這
(
は
)
い出した。
瓦斯糸
(
ガスいと
)
の
蚊絣
(
かがすり
)
の綿入の上から
黒木綿
(
くろもめん
)
の羽織を着る。机に向う。やっぱり翻訳をする
了簡
(
りょうけん
)
である。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
これは驚いた、そんな
了簡
(
りょうけん
)
で金貸しができるものか。今度来たら私のところへ取次いで下さい、私が掛合うから。いや、そんな
間緩
(
まぬる
)
いことを
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それに
就
(
つい
)
てはお隣の源次郎様をと
内々
(
ない/\
)
殿様にお勧め申しましたら、殿様が源次郎はまだ若くッて
了簡
(
りょうけん
)
が定まらんからいかんと仰しゃいましたよ
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
見っともない恰好の鼻でも
了簡
(
りょうけん
)
一つでは美しい感じを他人に与える。うっかり出来ないと思われるに違いありませぬ。
鼻の表現
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
旦那さん悪さをしてはいけまへんと
云
(
いっ
)
たのは、
吾々
(
われわれ
)
の
風体
(
ふうてい
)
を見て万引をしたと
云
(
い
)
う意味だから、サア
了簡
(
りょうけん
)
しない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
縁談の儀は旧好を
続
(
つ
)
ぎ、
親
(
しん
)
を厚うし候ことにて、双方よかれと存じ候事に候えども、当人種々娘ごころを案じめぐらせし上にもこれあり候か、
了簡
(
りょうけん
)
違いつかまつり
夜明け前:04 第二部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
わしは藩政にかかわりない隠居、わしの頼みでも成らぬことがよく分ったであろう。それで
了簡
(
りょうけん
)
せい
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その頃江戸川
畔
(
べり
)
に住んでいた私は偶然
川畔
(
かわべり
)
を
散策
(
ぶらつ
)
いていると、流れを
下
(
お
)
りて来る川舟に
犢鼻褌
(
ふんどし
)
一つで元気に
棹
(
さお
)
をさしてるのが眉山で、
吉原
(
よしわら
)
通いの
山谷堀
(
さんやぼり
)
でも
下
(
くだ
)
る
了簡
(
りょうけん
)
で
硯友社の勃興と道程:――尾崎紅葉――
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
一般には云われないまでもそういう
了簡
(
りょうけん
)
の人もまるでないとは云われないようである。
雑記(Ⅰ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
しておくれ。私はそんなだいそれた
了簡
(
りょうけん
)
ではない。ゆんべあんなに泣いたは全く私が悪かったから、全く私がとどかなかったのだから、お増や、お前がよく申訣をそういっておくれ……
野菊の墓
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
なに、今になって
退
(
の
)
くような奴らは、皆大学様の
御左右
(
ごさう
)
をうかがって、万一お家お取立てになった場合、真先にお見出しに
預
(
あず
)
かろうという
了簡
(
りょうけん
)
から、心にもない義盟に加わってきたのだ。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
それでもね、妹が美しいから負けないようにって、——どういう
了簡
(
りょうけん
)
ですかね、兄さんが
容色
(
きりょう
)
望みで
娶
(
と
)
ったっていうんですから……
陽炎座
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
金時計だの金鎖が幾つも並べてあるが、これもただ美しい色や
恰好
(
かっこう
)
として、彼の
眸
(
ひとみ
)
に映るだけで、買いたい
了簡
(
りょうけん
)
を誘致するには至らなかった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
つまり一世一代の
了簡
(
りょうけん
)
が、そのいでたちにまで現われて、今度の仕事は冗談じゃない、という気にもなったのでしょう。
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「……ヨシッ……わかった……泣くな泣くな……畜生めら……そんな
了簡
(
りょうけん
)
で、あの赤い鳥を連れて
来腐
(
きくさ
)
ったんだナ……ヨシッ……二人とも一緒に来い……」
いなか、の、じけん
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
ついては、
水戸
(
みと
)
の隠居(烈公)は年来海外のことに苦心して、定めしよい
了簡
(
りょうけん
)
もあろうから、自分の死後外国処置の件は隠居に相談するようにと言い置いたという。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
夜になればお賤の処へしけ込んでおり、お前が塩梅が悪くっても、子供が虫が
発
(
おこ
)
っても薬一服呑ませる
了簡
(
りょうけん
)
もない不人情な新吉、金を
遣
(
や
)
れば手が切れるから手を切ってしまえ
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
Yはマダ人間が出来ておらんから
直
(
す
)
ぐ誘惑される。チンコロのようにオモチャにされたんで罪を犯す
了簡
(
りょうけん
)
があったんじゃない。島田の許へ連れてって
詫
(
あや
)
まらせたが、オイオイ声を
三十年前の島田沼南
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
どう腹の中でこねかえしても、つまりおとよさんは憎くない。いよいよおとよさんがおれを思ってるに違いなけりゃ、どうせばよいか。まさかぬしある女を……おとよさんもどういう
了簡
(
りょうけん
)
かしら。
隣の嫁
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
同僚の
噂咄
(
うわさばなし
)
はわが注文書の腹稿となり、色の黒き大の男が
節
(
ふし
)
くれ立ちたるその指に金の指輪はちと不似合いと自分も心に知りながら、これも西洋人の風なりとて無理に
了簡
(
りょうけん
)
を取り直して銭を奮発し
学問のすすめ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
が、こうした事に、もの
馴
(
な
)
れない、学芸部の
了簡
(
りょうけん
)
では、会場にさし向う、すぐ目前、
紅提灯
(
べにぢょうちん
)
に景気幕か、時節がら、藤、つつじ。
開扉一妖帖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
だからなるべくこれを避けて時と心の余裕を得ようとする。文学者も今まではやはりそう云う
了簡
(
りょうけん
)
でいたのです。そう云う了簡どころではない。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
年の若いうちに度々そんなことはあったっけ、僅かの金で小吉を
瑕物
(
きずもの
)
にはできぬ故、何とか
了簡
(
りょうけん
)
してみてやれと言った。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
“了簡”の意味
《名詞》
了簡(りょうけん)
思案。考え。
(context、dated)取り計らい。
《動詞》
考えをめぐらす。
我慢する。堪える。おおめにみる。
(出典:Wiktionary)
了
常用漢字
中学
部首:⼅
2画
簡
常用漢字
小6
部首:⽵
18画
“了簡”で始まる語句
了簡方
了簡違
了簡通
了簡次第