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不躾
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ぶしつけ
ふりがな文庫
“
不躾
(
ぶしつけ
)” の例文
昔は客のいる前であまり
不躾
(
ぶしつけ
)
な話もできないというので小さな声で喋ったのであろうが、これを客が聞くとなおさらいやなものだ。
符牒の語源
(新字新仮名)
/
三遊亭金馬
(著)
鐘を見ようと思いますが、ふと
言
(
ことば
)
を交わしたを御縁に、余り
不躾
(
ぶしつけ
)
がましい事じゃが、茶なりと湯なりと、一杯お振舞い下さらんか。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
わたくしはひとまずあなたのお手紙をお返し申しますが、どうぞ
不躾
(
ぶしつけ
)
な
仕業
(
しわざ
)
とお怨み下さりませぬよう、幾重にもお願い申します
世界怪談名作集:03 スペードの女王
(新字新仮名)
/
アレクサンドル・セルゲーヴィチ・プーシキン
(著)
と、塔十郎は
不躾
(
ぶしつけ
)
にならない程度に、花世の顔を正視しながら、初対面の挨拶を交わして、静かに、品よく、
四方山
(
よもやま
)
の座談に移る
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
不躾
(
ぶしつけ
)
でもある。あらためて翁と呼ぶ。翁が今住んで居る家は、明治三十九年に出来た官設の
駅逓
(
えきてい
)
で、四十坪程の質素な木造。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
▼ もっと見る
しばらく待つと、黄筋入黒塗の
椀
(
わん
)
が運ばれてきた。なかは信州味噌を
漉
(
こ
)
した味噌汁である。
不躾
(
ぶしつけ
)
ながら、箸のさきで椀のなかを
掻
(
か
)
きまはしてみた。
たぬき汁
(新字旧仮名)
/
佐藤垢石
(著)
酔ひに乗じた男の
不躾
(
ぶしつけ
)
な行動を警戒する気持と、五人のうちの誰が真つ先に自分の後を追つて来たかといふ好奇心とが、あやしく胸ををどらせた。
落葉日記
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
不躾
(
ぶしつけ
)
ながら——ひそかに父と存じあげていたしましたこと、できることならお膝に
縋
(
すが
)
って、たった一度でも父上さまと……甘えてみとうござりました。
嫁取り二代記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
蘭堂は
不躾
(
ぶしつけ
)
にも、薄絹に顔をくッつける様にして、京子の寝顔を覗き込んでいたが、やがて、何に気附いたのか、ただならぬ様子で夫人の腕を
捉
(
とら
)
えた。
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
私
(
わたくし
)
は
不躾
(
ぶしつけ
)
とか、
遠慮
(
えんりょ
)
とか
言
(
い
)
ったようなことはすっかり
忘
(
わす
)
れて
了
(
しま
)
い、
早速
(
さっそく
)
近
(
ちか
)
づいて
附添
(
つきそい
)
のお
爺
(
じい
)
さんに
訊
(
たず
)
ねました。——
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
「今度はおれがいないも同然だ」と、Kは思い、商人がレーニの
不躾
(
ぶしつけ
)
を引取って次のように言ったとき、ほとんど商人に対してさえ気をわるくしていた。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
ですけど、頭からそう申す事は、余り
不躾
(
ぶしつけ
)
なようで出来かねます。だんだん書いてまいりますうちに、そんな事も申されるようになりますかも知れません。
田舎
(新字新仮名)
/
マルセル・プレヴォー
(著)
「それはどうも、御親切にありがとうございますが、見ず知らずの方に、それでは余り
不躾
(
ぶしつけ
)
にございますから」
切支丹転び
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
しかしお迎いにも出ず、御挨拶にも出ずにいて、突然伺うのが、余り
不躾
(
ぶしつけ
)
な様ですから、
躊躇
(
ちゅうちょ
)
していたのです。
蛇
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「つきましては、
甚
(
はなは
)
だ
不躾
(
ぶしつけ
)
でございますが、わたくしの考えだけを申し上げますと、それはおやめになった方がおためかと考えますのでございますが……」
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「では太子殿下が
亜米利加
(
アメリカ
)
へいらっしゃるのでしたら、あなたもやはり亜米利加へおいでになりますか?」と
不躾
(
ぶしつけ
)
だとは思ったが私が聞いてみたら別に否みもせずに
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「近頃
不躾
(
ぶしつけ
)
乍ら、仔細あって、そのお乗物の中を拝見さして頂き度い、如何なもので御座ろう」
新奇談クラブ:05 第五夜 悪魔の反魂香
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
火鉢とお茶を持って上って来た夫人に、私は
不躾
(
ぶしつけ
)
ながら、色々な質問をせざるを得ない気持であった。きいてみると、
目白
(
めじろ
)
の女子大の出身で、専攻は英文学であったそうである。
I駅の一夜
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
富「其様な大きな声をするな、是から縁側づたいにまいるのだ、間違えてはいかんよ、
彼処
(
あれ
)
へ出ると
直
(
すぐ
)
にお目見え仰せ付けられるが、
不躾
(
ぶしつけ
)
に殿様のお顔を見ちゃアなりませんよ」
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
お前は、ある婦人に
不躾
(
ぶしつけ
)
なことを言った——「これは、あなたに言うのではありません」
ぶどう畑のぶどう作り
(新字新仮名)
/
ジュール・ルナール
(著)
不躾
(
ぶしつけ
)
に片側に押しのけられて——それが私には本當に望ましかつたのである——彼は私の場所を奪ふと、自分で伴奏しはじめた。彼は歌ふのと同じく
彈
(
ひ
)
くことも出來たのである。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
雍
(
しとや
)
かに
紙門
(
ふすま
)
を
押啓
(
おしひら
)
きて
出来
(
いできた
)
れるを、
誰
(
たれ
)
かと見れば満枝なり。彼
如何
(
いか
)
なれば
不躾
(
ぶしつけ
)
にもこの席には
顕
(
あらは
)
れけん、と
打駭
(
うちおどろ
)
ける
主
(
あるじ
)
よりも、荒尾が心の中こそ更に
匹
(
たぐ
)
ふべくもあらざるなりけれ。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
人を
傭
(
やと
)
うて書き立ててもらおうにも銭がないから、
不躾
(
ぶしつけ
)
ながら自筆で自慢譚とする。
十二支考:05 馬に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「行き暮れました旅の者、近頃
不躾
(
ぶしつけ
)
のお願いながら、一夜の宿をご無心したく……」
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
スチームへ尻をあてがって新聞を読んでいた預金部長の
禿
(
はげ
)
は、眼鏡越しにギロリと彼女を覗き、直ぐに
不躾
(
ぶしつけ
)
を取り戻すかのように、めめずのような笑皺を泥色した唇の周りへ
匍
(
は
)
わせた。
罠を跳び越える女
(新字新仮名)
/
矢田津世子
(著)
『十五年も前の古い
馴染
(
なじみ
)
だから、ツイ
引
(
ひ
)
ツ
張
(
ぱ
)
られて、君と
一所
(
いつしよ
)
にこんなとこへ來たんだね。……初めて會つたんだと、僕は君なんぞ見向きもしないんだけど。』と、
不躾
(
ぶしつけ
)
に言ひ放つた。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
不躾
(
ぶしつけ
)
ながら手慣れておりますタイプライターの英文にて御意を得させて頂きます。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
乳母がおどろいたのは、今の話を聞かれたと思う憂慮のためばかりではない、あまり突然に音もなく寄って来て、人に物を尋ねるにしては
不躾
(
ぶしつけ
)
なほど近い距離に立ち止まったからである。
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
「あれ、そっちへ行っておいでよ! 人が着物着更えてるのに、
不躾
(
ぶしつけ
)
千万だね」
深川女房
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
「時に——若旦那、甚だ、
不躾
(
ぶしつけ
)
で、叱らんで下せえ。あんた、路銀は?」
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
「
不躾
(
ぶしつけ
)
ですけど、なにがはいっているのか、伺っちゃいけないの?」
あなたも私も
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
不躾
(
ぶしつけ
)
ですが、
御手洗
(
みたらし
)
で清めた指で触って見ました。冷い事、氷のようです。湧いて響くのが一粒ずつ、
掌
(
てのひら
)
に玉を拾うそうに思われましたよ。
半島一奇抄
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
不躾
(
ぶしつけ
)
にも立聞きをしていたらしい、右衛門の渋い顔は、そこでなごやかになり、温厚なおちついた微笑がうかんだ。
思い違い物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
すでにならわしとなった
不躾
(
ぶしつけ
)
な態度でキューネ氏が、自分はしなければならぬことはよくわきまえている、こんな命令はただ儀礼上聞いてやっているのだ
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
後に聞けば、飾磨屋が履物の間違った話を聞いて、客一同に新しい駒下駄を贈ったが、僕なんぞには
不躾
(
ぶしつけ
)
だと云う遠慮から、この贈物をしなかったそうである。
百物語
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
「それがしに取っては、又なき君恩の品、唯一の家宝ともしておる物を、何で火中へ投じられたか。御辺にも似あわぬ
不躾
(
ぶしつけ
)
な所業。何かおふくみあっての事か」
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
当時
(
とうじ
)
の
言語
(
ことば
)
は
含蓄
(
がんちく
)
が
深
(
ふか
)
いと
申
(
もう
)
しますか、そのままではとても
私
(
わたくし
)
どもの
腑
(
ふ
)
に
落
(
お
)
ちかぬるところがあり、
私
(
わたくし
)
としては、
不躾
(
ぶしつけ
)
と
知
(
し
)
りつつも、
何度
(
なんど
)
も
何度
(
なんど
)
も
問
(
と
)
いかえして
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
最初其カスレた声を聞き苦しく思い、斯人に談話を強うるの
不躾
(
ぶしつけ
)
を気にして居た彼は、何時の間にかつり込まれて、悠々と話込んだ。話半に家の人が来客を報ぜられた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
幸ひ浪宅の家主が、八五郎殿のお知合と申すことで、
不躾
(
ぶしつけ
)
乍らその縁にお願ひに參りました。伜が何處にどうして居りますことやら、せめてその樣子だけでも知りたうございます
銭形平次捕物控:078 十手の道
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
それで、こんな
不躾
(
ぶしつけ
)
なお願いにも伺いましたようなわけで、どうぞ御不快に
思召
(
おぼしめ
)
し下さいませんように、と
袖
(
そで
)
で涙を
拭
(
ふ
)
いているのを見ると、私も暗い気持がして、言葉が出なかった。
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
まことに
不躾
(
ぶしつけ
)
では御座いますが費用も手数も一切いといませぬから、どうぞ奥様の一世一代のおつもりで
後
(
のち
)
の世に伝えるものを頂戴致しまして、私の娘にあやからせて頂きとう御座いますが
押絵の奇蹟
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
日頃の文代さんに似合わしからぬ、
不躾
(
ぶしつけ
)
なやり方である。が、その実は、こうして、男の手をふさいでおいて、彼女が化粧室に入っている間、例のケースが紛失したことを気付かせまい策略であった。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
不躾
(
ぶしつけ
)
に参上いたし候段は幾重にも、
御詫申上
(
おんわびまをしあげ
)
まゐらせ候。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
真先
(
まっさき
)
にこれを一つと思ったんです。もう堂の中に居るのですから、
不躾
(
ぶしつけ
)
に
廚裡
(
くり
)
へ向って、
大
(
おおき
)
な声は出せません。本堂には祖師の壇があります。
河伯令嬢
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「たいへん
不躾
(
ぶしつけ
)
なことばかり申上げました、どうぞお忘れ下さい、——おい冗談じゃない、つまらないことを云わせないでくれ」万三郎は口を
尖
(
とが
)
らせた。
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
幸い浪宅の家主が、八五郎殿のお知合と申すことで、
不躾
(
ぶしつけ
)
ながらその縁にお願いに参りました。倅がどこにどうしておりますことやら、せめてその様子だけでも知りとうございます
銭形平次捕物控:078 十手の道
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「ははあ。では……
不躾
(
ぶしつけ
)
なことばかり伺いますが、貴女の母上は、ご生存ですか」
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
太子もまた平然として何事をも言われなかったから私一人
不躾
(
ぶしつけ
)
に口を出すわけにもならず、そのまま脳裏を
掠
(
かす
)
めた一瞬の出来事として私もやがて心の中でこの記憶を葬り去ってしまったが
ナリン殿下への回想
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
さるにても御身の唐津を立
退
(
の
)
き給ひし時、申すも恥かしき吾が
不躾
(
ぶしつけ
)
、御咎めも無く、わが心根を察し賜はりて、継母と仲人への
怨
(
うらみ
)
を晴らし賜はりし男らしき御仕打ち、今更に勿体なく有難く
白くれない
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「エエ、僕は泊めて頂ければ有難いですけれど、ご婦人お一人のうちへ、あまり
不躾
(
ぶしつけ
)
ですから。じゃ、書生さんが帰り次第お暇することにしましょう。汽車がなくなったっていいですよ。鎌倉には友達もあるんですから」
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
不
常用漢字
小4
部首:⼀
4画
躾
漢検1級
部首:⾝
16画
“不”で始まる語句
不可
不思議
不憫
不図
不味
不審
不埒
不幸
不愍
不相変