“あぐら”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
胡坐68.4%
胡座20.5%
安坐2.1%
安座2.1%
胡床1.6%
趺坐1.1%
呉床0.5%
趺座0.5%
箕坐0.5%
0.5%
跪座0.5%
胡踞0.3%
円座0.3%
安居0.3%
足坐0.3%
足座0.3%
踞座0.3%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
おまけに一人の親仁おやじなぞは、媽々衆かかしゅう行水ぎょうずいの間、引渡ひきわたされたものと見えて、小児こどもを一人胡坐あぐらの上へ抱いて、雁首がんくび俯向うつむけにくわ煙管ぎせる
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
この人は自宅うちに居る折は、座敷に胡座あぐらをかいたまゝ、すぐ手をのばしたらとゞきさうな巻煙草一つ、自分からは手にとらうとしなかつた。
父は大きな安坐あぐらをかいたまま煙草をのんで、別な方を見ていた。——母は健を見ると、いつになくけわしい顔をした。
不在地主 (新字新仮名) / 小林多喜二(著)
本町辺は薬種やくしゅ問屋の多いところなので、あたしは安座あぐらをかいて、薬草くすりぐさを刻んでいるのを見て知っていたからよくわかった。
その前に胡床あぐらを掻き、赤銅の煙管を火鉢の縁にうち付けながら早朝から誰でも引見して談論風発するという豪傑肌でした。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
そこの濱邊に十掬とつかの劒を拔いて逆さまに刺し立て、その劒の前に趺坐あぐらをかいて、國讓りの談判を迫られたといふ時、大國主の神がひそかに使者を小舟に乘せて助言を求めたのも
山陰土産 (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
りゅう生絹すずし、供えものの唐櫃からびつ呉床あぐら真榊まさかき根越ねごしさかきなどがならび、萩乃とお蓮さまの輿こしには、まわりにすだれを下げ、白い房をたらし、司馬家の定紋じょうもんの、雪の輪に覗き蝶車の金具が
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
というや、今までの豪傑は急に狼狽ろうばいしはじめた。露出した膝頭ひざがしらを気にして、衣服きものおおわんとしたり、あるいは趺座あぐらをかいた足を幾分かむすび直し、正座の姿に移らんとした。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「京都という所は、いやに寒い所だな」と宗近むねちか君は貸浴衣かしゆかたの上に銘仙めいせんの丹前を重ねて、床柱とこばしらの松の木を背負しょって、傲然ごうぜん箕坐あぐらをかいたまま、外をのぞきながら、甲野こうのさんに話しかけた。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
かれひるには室内しつないまどからまど往來わうらいし、あるひはトルコふう寐臺ねだいあぐらいて、山雀やまがらのやうにもなくさへづり、小聲こゞゑうたひ、ヒヽヽと頓興とんきようわらしたりてゐるが、よる祈祷きたうをするときでも、猶且やはり元氣げんき
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
あたかも何かそこに影のようなものでも折折見出さなければならないように……しかし童子はおとなしく、ただ小さい跪座あぐらをくんで、ひとりで、それがひとりであるために充分であるように
後の日の童子 (新字新仮名) / 室生犀星(著)
悠然とストーブの側に胡踞あぐらかき、関翁が婆ァ婆ァと呼ぶほおげたきかぬ気らしい細君は、モンペはかまをはいて甲斐〻〻しく流しもとに立働いて居ると
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
あまり暑いからかみでも苅ろうかと、座敷の縁に胡踞あぐらかく。バリカンが駄目なので、はさみで細君が三分に苅ってくれた。今朝苅った芝が、最早枯れて白くかわいて居る。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
その騒ぎで、雨のように落ちて来る、枝葉のしずくを、避けながら、半之助は快さそうな、期待の微笑をうかべ、岩の食卓の左右に、自分で編んだらしい、がま円座あぐらを置いた。
山彦乙女 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
めて安居あぐらしていたが、不きげんだった。またひどく青白い。
私本太平記:08 新田帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「……まあ、僕は傍にゐなかつたんだから、よく分らないが」椅子いすのうへに足坐あぐらをかいた野田が、話のさきを続けた。そしてしきりに繰り返してゐた。
朧夜 (新字旧仮名) / 犬養健(著)
食事の時はいつも、堯は私の足座あぐらの中に坐って物を食べた。その日は堯が眠っているので、珍らしく餉台の前に一人で坐ると、私は妙に物淋しかった。
生と死との記録 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
それともう一つは格別勝負事には興味を持ち得ぬ私にとっては、暑くとも日の照る砂地に踞座あぐらでもかいている方がよかった。私は手をあげてセーニャを呼んだ。セーニャも見に来ていた。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)