呉床あぐら)” の例文
後に更に吉野えしのにいでましし時に、その童女の遇ひし所に留まりまして、其處そこに大御呉床あぐらを立てて、その御呉床にましまして、御琴を彈かして、その童女に儛はしめたまひき。
りゅう生絹すずし、供えものの唐櫃からびつ呉床あぐら真榊まさかき根越ねごしさかきなどがならび、萩乃とお蓮さまの輿こしには、まわりにすだれを下げ、白い房をたらし、司馬家の定紋じょうもんの、雪の輪に覗き蝶車の金具が
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
兵を河のに隱し、またその山の上に、絁垣きぬがきを張り、帷幕あげばりを立てて、詐りて、舍人とねりを王になして、あらは呉床あぐらにませて、百官つかさづかさゐやまひかよふ状、既に王子のいまし所の如くして
白黒の鯨幕くじらまく、四りゅう生絹すずし唐櫃からびつ呉床あぐら真榊まさかき、四方流れの屋根をかぶせた坐棺ざかんの上には、紙製の供命鳥くめいちょうをかざり、棺の周囲には金襴きんらんの幕……昔は神仏まぜこぜ、仏式七分に神式三分の様式なんです。
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
兵士いくさびとを隱し伏せ、鎧を衣の中にせて、河の邊に到りて、船に乘らむとする時に、その嚴飾かざれる處をみさけて、弟王その呉床あぐらにいますと思ほして、ふつにかぢを取りて船に立ちませることを知らず