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雨露
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うろ
ふりがな文庫
“
雨露
(
うろ
)” の例文
その
辺
(
あたり
)
を打見ますと、
樵夫
(
きこり
)
の小屋か但しは僧侶が坐禅でもいたしたのか、家の形をなして、
漸
(
ようや
)
く
雨露
(
うろ
)
を
凌
(
しの
)
ぐぐらいの小屋があります。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
尋ね出して
夫
(
をつと
)
道十郎殿の惡名を
雪
(
すゝ
)
がせん者をと夫より心を定め
赤坂
(
あかさか
)
傳馬町
(
でんまちやう
)
へと引取られ同町にて
表
(
おもて
)
ながらも
最
(
いと
)
狹
(
せま
)
き
孫店
(
まごだな
)
を
借受
(
かりうけ
)
爰に
雨露
(
うろ
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
それは
丸太
(
まるた
)
を
切
(
き
)
り
組
(
く
)
んで
出来
(
でき
)
た、やっと
雨露
(
うろ
)
を
凌
(
しの
)
ぐだけの、
極
(
きわ
)
めてざっとした
破屋
(
あばらや
)
で、
広
(
ひろ
)
さは
畳
(
たたみ
)
ならば二十
畳
(
じょう
)
は
敷
(
し
)
ける
位
(
くらい
)
でございましょう。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
家屋の目的は
雨露
(
うろ
)
を
凌
(
しの
)
ぐので、人を
拒
(
ふせ
)
ぐのでないと云ふのが先生の哲学だ、戸締なき家と云ふことが、先生の共産主義の立派な証拠ぢやないか
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
「なにさま……」と、尊氏は
雨露
(
うろ
)
や泥にまみれた無数の旗を見まわして「——浮きつ沈みつの、
流転
(
るてん
)
そのまま、波間の泡ツブでも見るようだわえ」
私本太平記:11 筑紫帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
實
(
げ
)
にや
輪王
(
りんのう
)
位
(
くらゐ
)
高
(
たか
)
けれども
七寶
(
しつぱう
)
終
(
つひ
)
に身に添はず、
雨露
(
うろ
)
を凌がぬ
檐
(
のき
)
の下にも
圓頓
(
ゑんどん
)
の花は匂ふべく、
眞如
(
しんによ
)
の月は照らすべし。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
惜
(
おし
)
い事に、
雨露
(
うろ
)
、
霜雪
(
そうせつ
)
に
曝
(
さら
)
され、
蝕
(
むしばみ
)
もあり、その額の裏に、彩色した
一叢
(
ひとむら
)
の野菊の絵がほのかに見えて、その
一本
(
ひともと
)
の根に(きく)という
仮名
(
かな
)
があります。
菊あわせ
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
で、どうせ、それは、
蜘蛛
(
くも
)
の巣だらけでは有ったろうけれど、兎も角も
雨露
(
うろ
)
を
凌
(
しの
)
ぐに足る椽の下の
菰
(
こも
)
の上で、
甘
(
うま
)
くはなくとも朝夕二度の汁掛け飯に事欠かず、まず無事に
暢
(
のん
)
びりと育った。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
乘組
(
のりくみ
)
の
人員
(
じんゐん
)
は、
五人
(
ごにん
)
が
定員
(
てんゐん
)
で、
車内
(
しやない
)
には
機械室
(
きかいしつ
)
の
外
(
ほか
)
に、
二個
(
にこ
)
の
區劃
(
くくわく
)
が
設
(
まう
)
けられ、
一方
(
いつぽう
)
は
雨露
(
うろ
)
を
凌
(
しの
)
ぐが
爲
(
た
)
めに
厚
(
あつ
)
さ
玻璃板
(
はりばん
)
を
以
(
もつ
)
て
奇麗
(
きれい
)
に
蔽
(
おほ
)
はれ、
床上
(
しやうじやう
)
には
絨壇
(
じゆうたん
)
を
敷
(
し
)
くもよし、
毛布
(
ケツトー
)
位
(
ぐら
)
いで
濟
(
す
)
ますもよし
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
「
雨露
(
うろ
)
をさえ
凌
(
しの
)
がせていただけば……」
大菩薩峠:21 無明の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
上
種子
(
たね
)
一粒
(
いちりゅう
)
が
雨露
(
うろ
)
に養わる
風流仏
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
きのうまでは、
甲山
(
こうざん
)
の軍神といわれた、
信玄
(
しんげん
)
の孫伊那丸も、いまは
雨露
(
うろ
)
によごれた
小袖
(
こそで
)
の着がえもなかった。足は
茨
(
いばら
)
にさかれて、みじめに血がにじんでいた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
宗吉は学資もなしに、無鉄砲に国を出て、
行処
(
ゆきどころ
)
のなさに、その頃、ある一団の、取留めのない不体裁なその日ぐらしの人たちの世話になって、辛うじて
雨露
(
うろ
)
を
凌
(
しの
)
いでいた。
売色鴨南蛮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
何か知らんと
透
(
すか
)
して見れば、
樵夫
(
きこり
)
が立てましたか、
但
(
たゞ
)
しは
旅僧
(
たびそう
)
が
勤行
(
ごんぎょう
)
でもせし処か、家と云えば家、ほんの
雨露
(
うろ
)
を
凌
(
しの
)
ぐだけの小屋があります。文治は立止って表から大声に
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
その日から食には飢え、
野伏
(
のぶせ
)
りや敵の斥候に
脅
(
おびや
)
かされ、暮れては
雨露
(
うろ
)
のしのぎにも困り、明けては血にそんだ白い足をたがいに励まし励まし逃げるのであった。
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
雨露
(
うろ
)
に朽ちて、
卒堵婆
(
そとば
)
は絶えてあらざれど、傾きたるまま
苔蒸
(
こけむ
)
すままに、共有地の墓いまなお残りて、松の蔭の処々に数多く、春夏冬は人もこそ
訪
(
と
)
わね、
盂蘭盆
(
うらぼん
)
にはさすがに
詣
(
もう
)
で来る縁者もあるを
清心庵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
しかし
短檠
(
たんけい
)
の光に照らされたその
風貌
(
ふうぼう
)
をみるに、色こそ
雨露
(
うろ
)
にさらされて
下人
(
げにん
)
のごとく日にやけているが、
双眸
(
そうぼう
)
らんとして人を
射
(
い
)
るの光があり、
眉色
(
びしょく
)
うるしのごとく
濃
(
こ
)
く
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
半
(
なか
)
ば
朽
(
く
)
ちかけた額堂の
欄間
(
らんま
)
には、
琵琶
(
びわ
)
を抱いた蝉丸の像や、
関寺小町
(
せきでらこまち
)
の彩画や、八
景
(
けい
)
鳥瞰
(
ちょうかん
)
の
大額
(
おおがく
)
などが、
胡粉
(
ごふん
)
に
雨露
(
うろ
)
の気をただよわせ、
埃
(
ほこり
)
と
蜘蛛
(
くも
)
の巣の
裡
(
うち
)
にかけられてあった。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その夜の泊りも、ひどい
山宿
(
やまやど
)
だった。
雨露
(
うろ
)
をしのぐだけの掛屋根、
莚
(
むしろ
)
があるだけの
猪小屋
(
ししごや
)
。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
宋朝
(
そうちょう
)
初期のころには、
紫雲
(
しうん
)
の
薫香
(
くんこう
)
、
精舎
(
しょうじゃ
)
の鐘、とまれまだ人界の
礼拝
(
らいはい
)
の上に
燦
(
かがや
)
いていた
名刹
(
めいさつ
)
瓦罐寺
(
がかんじ
)
も、
雨露
(
うろ
)
百余年、いまは
政廟
(
せいびょう
)
のみだれとともに
法灯
(
ほうとう
)
もまた到るところ
滅
(
ほろ
)
びんとするものか
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「ここだな」
仙洞御所
(
せんとうのごしょ
)
の前に立って、弁円は杖をとめた。御門垣から少し離れた所には、例の松虫、鈴虫の
詮議
(
せんぎ
)
に関する厳達が高く掲示されてあり、その板も、もう
雨露
(
うろ
)
に墨がながれていた。
親鸞
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そしてふたたび、
東京
(
とうけい
)
さしての旅また旅をかさねてゆくうち、はからずも、ここ
瓦罐寺
(
がかんじ
)
と呼ぶ
奇峭
(
きしょう
)
怪峰
(
かいほう
)
の荒れ寺に、一夜の
雨露
(
うろ
)
を
凌
(
しの
)
がんと立ち寄って、彼は、世にあるまじき人間のすがたを見た。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こうして
枯林
(
こりん
)
の廃寺に一時
雨露
(
うろ
)
を
凌
(
しの
)
いでいたわけだ、と話す。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“雨露”の意味
《名詞》
雨と露
あまねく行き渡る恵み。
(出典:Wiktionary)
雨
常用漢字
小1
部首:⾬
8画
露
常用漢字
中学
部首:⾬
21画
“雨露”で始まる語句
雨露次