かゝ)” の例文
新字:
「さア歸つてくれ。俺まで泥棒の仲間にされちや、賣り込んだ顏にかゝはる、——繩を附けて突き出さないのが、せめては親の慈悲だ」
理性のこれについて知るところは我皆汝に告ぐるをう、それより先は信仰にかゝはる事なればベアトリーチェを待つべし 四六—四八
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
はいする以上は藤三郎を家督かとくになすべきは順當じゆんたうなるを世評せひやうの樣子にてはうやら主税之助が甚だ欲情よくじやうかゝ自身じしん實子の佐五郎を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
生命にかゝはる危險にぶつかるかも知れぬから、おきみの方から、知らせがある迄は絶對に來てはならぬこと。
天国の記録 (旧字旧仮名) / 下村千秋(著)
贔負目ひいきめには雪中せつちゆううめ春待はるまつまの身過みす世過よす小節せうせつかゝはらぬが大勇だいゆうなり辻待つじまちいとま原書げんしよひもといてさうなものと色眼鏡いろめがねかけて世上せじやうものうつるは自己おのれ眼鏡めがねがらなり
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
にしとしあきのはじめ、汽船きせん加能丸かのうまる百餘ひやくよ乘客じようかく搭載たふさいして、加州かしう金石かないはむかひて、越前ゑちぜん敦賀港つるがかうはつするや、一天いつてん麗朗うらゝか微風びふう船首せんしゆでて、海路かいろ平穩へいをんきはめたるにもかゝはらず
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
その相語るを聞くに、方言にて解すべからず、されど我上にかゝはらざる如くなりき。
かれうしてあたらしいところつて、あたらしいものせつするのが、用向ようむき成否せいひかゝはらず、今迄いままでかずにぎたきた世界せかい斷片だんぺんあたまやうがしてなんとなく愉快ゆくわいであつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
八千石の大旗本が、つぶれるか立つか、人の命幾つにもかゝはる事だけに、平次もお靜も、八五郎も息も吐かずに神妙に聽入りました。
またたとひ人たる者がかくかくれたるまことをば世に述べたりとてあやしむなかれ、こゝ天上にてこれを見し者、これらの輪にかゝはる 一三六—
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
引放さんとなしけれ共お政は一※に我がをつとの無實の罪を辯解いひとかんと凝固こりかたまつたる念力ゆゑいつかなくつわを少しも放さずをつといのちかゝはる大事何卒御慈悲に御取上を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
もししてやらないと自分じぶん信用しんようかゝわるつて奔走ほんそうしてゐるんですからね。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
わが行末にかゝはりて汝の我に告ぐる所は我之をしるほかの文字と共に殘し置くべし、かくして淑女のわがそのもとにいたるに及びて 八八—
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
「ケチ兵衞の眼と大澤傳右衞門の足はそんなに惡いのか。大工の半次の身持はどんな具合か、わけても女のかゝり合ひはないか」
さて大橋文右衞門一件かゝあひ山崎町質渡世しちとせい家持いへもち五兵衞并びに同人家内の者奉公人に至るまで一同呼出よびだしになりし處此の番頭久兵衞のみ名前なまへこれなきにつき彼一人は留守るす
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
いざ行け、我見るに、この禍ひにかゝはりて罪の最も大いなるもの、一の獸の尾のもとにて曳かれ、罪赦さるゝためしなき溪にむかふ 八二—八四
神曲:02 浄火 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
「待て/\、お隣りの娘は殺されたといふことだが、それは拙者とは何んのかゝはりもないことだよ、——かう見えても拙者は若い女と岡つ引は嫌ひでな」
またもし明らかなる目を興りしといふことばにむけなば、こは數多くして良者よきものまれなる王達にのみかゝはるをみむ 一〇六—一〇八
神曲:03 天堂 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
「手觸りでもよく解る。中は確か三百八十兩。少し重いが、男一人の命にもかゝはつた金だ、しつかり持つて行け」
「本氣も、本氣この通りだ。娘の命にもかゝはること、に返つた彦兵衞が一生の頼みだ。聞いてくれ、東作」
「今度は繪圖面が紛失ふんしつして、お家の安危にかゝはるから、つて御出府を願ひたいと仰しやればいいんで——」
「お前さんは知つて居なさるだらう、かゝり合ひなんかにはしない、殺された男の身許だけでも教へてくれ」
「先づ阿波屋あはやだ。それから大村喜十郎と、鐵之助と、一と通りお久良とかゝはりのありさうなのを調べる、——それから、誰か一と走り、御奉行所へやつて見よう」
合せる人間があるものか。それは、死んだあとで曲者が直してやつたのだよ。流しや氣紛きまぐれの殺しぢやない。女の身内の者か、亭主か情夫いろか、かゝはりのあるものの仕業だ
「お町、人一人の命にかゝはることだ、確かりしておくれ。これだ、この櫛はお前のだらう」
「俺は立ち會はない方がよからう。——ぬかりもあるまいがこいつは久吉の命にかゝはることだ。隱宅を飛び出してから四半刻(三十分)の間、どこにゐたか、そいつを訊くんだぜ」
妹のお梅が命にもかゝはるやうな目に遭つてゐると聽いて、矢もたてもたまらず、近所の湯屋に奉公して居る、昔の召使の男を仲間にして、飛んでもない一と芝居を書き、前の晩には
「全龍先生、人間の命二つ三つにかゝはることだ。打あけてお話を願ひたいんだが——」
これは王若水の一軸とかゝはりのないことかも知れぬが、今朝本堂前の大賽錢箱を開けて見ると——これは彼岸會の後でいつもすることだが——おびたゞしい青錢、鍋錢、小粒などに交つて
「お名前だけは存じてをりますが、酒屋と札差ふださしでは、何んのかゝはりも御座いません」
でも、事件は獨り娘の生命にかゝはることで、さすがに見識も見得もかなぐり捨て
三杯みつき家の浮沈にもかゝはる危機一髮のところを救つて、辛くも事件は解決しました。
「待て/\八。武家の内證事ないしよごとは、こちとらのかゝはる事ではない。歸らう」
「ところで、お前は此處の主人と、どういふかゝり合ひになるんだ」
「人間一人の生命にかゝはることだ、宜いか」