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だうぐや
「
御拂になるなら」と
少し
考へて、「六
圓に
頂いて
置きませう」と
否々さうに
價を
付けた。
御米には
道具屋の
付けた
相場が
至當の
樣に
思はれた。
本人は、
引手茶屋で、
勘定を
値切られた
時と
同じに、
是は
先方(
道具屋の
女房)も
感情を
害したものと
思つたらしい。
併し
此節は
門並道具屋さんが
殖まして、
斯様な
品は
誰も
見向もしないやうになりましたから、
全然値がないやうなもんでげす、
何うも
酷く
下落をしたもんで。
二人の
意識の中にはたつた三
間しかない古びた
貸家である自分の
家が、ほんとに
猫の
額ほどの
庭が、やつとの
思ひで古
道具屋から
買つて※たただ一
脚のトイスが、いや
立出江戸馬喰町熊谷屋利八方へ
泊り
込しが
日永の頃なれば
退屈なりとて直八は兩國淺草又は
上野山下邊など見物なし
廣小路へ出で五條の天神
前へ來りし所に
天道干の
道具屋に二尺五寸程の
脇差ありしが何やら見覺えのある品
故直八は
立止まり此脇差を
御米は
此存在な
言葉を
聞いて
其儘宅へ
歸つたが、
心の
中では、
果して
道具屋が
來るか
來ないか
甚だ
疑はしく
思つた。
お
噂には
毎度承はつて
居りましたよ、
立派なお
住宅でお
庭は
斯う、
何は
斯うと、
能くまア、
何んでございますよ、
名草屋の
金七といふ
道具屋が
参りまして
始終お
噂でございますよ。
一度蕉園さんが
住んで
居た、おまじなひ
横町へ
入らうとする、
小さな
道具屋の
店に、
火鉢、
塗箱、
茶碗、
花活、
盆、
鬱金の
切の
上に
古い
茶碗、
柱にふツさりと
白い
拂子などの
掛つた
中に
一人で
何時もの
樣に
簡單な
食事を
濟まして、
清に
膳を
下げさしてゐると、いきなり
御免下さいと
云つて、
大きな
聲を
出して
道具屋が
玄關から
遣つて
來た。
「
道具屋の
女房は、
十錢値切つたのを
癪に
觸らせたのに
違ひない。」