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だうぐや
併し
此節は
門並道具屋さんが
殖まして、
斯様な
品は
誰も
見向もしないやうになりましたから、
全然値がないやうなもんでげす、
何うも
酷く
下落をしたもんで。
二人の
意識の中にはたつた三
間しかない古びた
貸家である自分の
家が、ほんとに
猫の
額ほどの
庭が、やつとの
思ひで古
道具屋から
買つて※たただ一
脚のトイスが、いや
弥「へえ、それは
造作もねえ、
破くか。長「
破く
奴が
有るか、知れねえやうに
瑾を
附けるのが
道具商の
秘事だよ。弥「フヽヽ「ヒヂ」は
道具商より
畳職の
方がつよいで。
長「にゆうを知らんか、
道具商の
御飯を
喰つてゝ「にゆう」を知らん
奴もねえもんだ。弥「アハヽヽ
何の
事た。長「
瑾が
出来たと
云つては
余り
素人染るから、
瑾を「にゆう」と
云ふが
道具商の
通言だ。
黒人の
道具商さんが
掘出物を
蹈み
倒にやつて
参ります。