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蹂躪
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じゅうりん
ふりがな文庫
“
蹂躪
(
じゅうりん
)” の例文
彼が主力をひっ
提
(
さ
)
げてこれへ来るまでの間に、柴田勢が放火したり、田畑や
穀倉
(
こくそう
)
などを
蹂躪
(
じゅうりん
)
した地域はかなりの広さにわたっている。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そしてこれはあらゆる自然的感情の最大の
蹂躪
(
じゅうりん
)
であろうから、財貨の共有に対するこれ以上の有力な反対論はあり得ないのである。
人口論:01 第一篇 世界の未開国及び過去の時代における人口に対する妨げについて
(新字新仮名)
/
トマス・ロバート・マルサス
(著)
太子のあれほど祈念された「和」の精神は再び
群卿
(
ぐんけい
)
によって
蹂躪
(
じゅうりん
)
されはじめた。仄かに輝き出た飛鳥の黎明も太子の薨去をもって終ったかにみえる。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
国峰を
屠
(
ほふ
)
ってひた押しに攻め寄せた武田軍は、外塁を
蹂躪
(
じゅうりん
)
して城外へ
逼
(
せま
)
ったが、そのとき大手の攻め口に新しく堅固な
壕
(
ほり
)
が掘られてあるのを発見した。
一人ならじ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
青谷技師は激しく抵抗したが、署長の忠実なる部下の腕力のために
蹂躪
(
じゅうりん
)
されてしまった。彼の両手には鉄の手錠がピチリという音と共に
嵌
(
はま
)
ってしまった。
人間灰
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
自らの
有
(
も
)
てるものを以て、諸君は何をしているか? サヴァイイで? ウポルで? ツツイラで? 諸君は、それを豚共の
蹂躪
(
じゅうりん
)
に任せているではないか。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
なんでも、前線へ給水、補弾等の目的を達する
装甲
(
そうこう
)
輸送車であると同時に、あらゆる地形、障害物を無視し、
蹂躪
(
じゅうりん
)
して進む戦闘車の役割をもつとめるとのこと。
戦雲を駆る女怪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
個々としての人性は
蹂躪
(
じゅうりん
)
せられ、生活範囲は制限せられ、遂には絶対の権威を以て圧倒されてしまう。この時、機械や機関は決して生命のない無機物ではない。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
小さいけれども、詩の国のようなこの荘厳を
蹂躪
(
じゅうりん
)
するのは、人を殺害するよりも遥かに惜しい気がした。
鼻に基く殺人
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
それは貴賤上下に通じて、古来今日まで変らぬ、この里のおきてなのであるが——最近、そのおきてを
蹂躪
(
じゅうりん
)
——でなければ、除外例の特権を作らせた階級がある。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
然るが故に、新聞雑誌の議論にかぶれたる新しき女の、ともすれば貞操
蹂躪
(
じゅうりん
)
の訴訟に金銭を
獲
(
え
)
んとしてかへつて弁護士の喰物となるも、色よりは慾のあやまちなり。
桑中喜語
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
また自分は自分の
身体
(
からだ
)
の持ち主であるのに、それを暴力で
蹂躪
(
じゅうりん
)
された結果、意外な男の妻になるようなことも軽率で、その女を
侮蔑
(
ぶべつ
)
したくなるが、姫宮も元来弱い
源氏物語:34 若菜(上)
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
彼女を他の部屋へ運び出すと、裸にしてそこの真っ白いベッドの上に
革紐
(
かわひも
)
で固く縛りつけた。彼女はもはや、そのまま朝田の
蹂躪
(
じゅうりん
)
に任すよりほかに仕方がなかった。
猟奇の街
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
フランスの貴族たち、王党の人たちは、自分たちが貴族であり王党でさえいられるならと、大革命のとき、外国から軍隊を招きいれて、あんなに祖国を
蹂躪
(
じゅうりん
)
させた。
道標
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
人となり温柔なるモーセは民の
蹂躪
(
じゅうりん
)
するところとなりつつも、彼らのために罪の赦しを神に乞い求め
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
成経 野武士らはわしの
懇願
(
こんがん
)
を
下等
(
かとう
)
な
怒罵
(
どば
)
をもって拒絶した。そして扉を破って
闖入
(
ちんにゅう
)
し、
武者草鞋
(
むしゃわらじ
)
のままでわしの
館
(
やかた
)
を
蹂躪
(
じゅうりん
)
した。わしはすぐに飛び出て馬車に乗った。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
かくの如くにして国民は今や戦乱の
蹂躪
(
じゅうりん
)
するところとなって実に名状すべからざる惨況にある。
憲政の本義を説いてその有終の美を済すの途を論ず
(新字新仮名)
/
吉野作造
(著)
神の怒はいつ現われるのであるか、——正義の
蹂躪
(
じゅうりん
)
された時である。怒の神は正義の神である。
人生論ノート
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
人間の道を
蹂躪
(
じゅうりん
)
して
何時
(
いつ
)
まで永い娑婆があると思う? お前は自分の身が危うくなると、暗号を刷らせた仲間の印刷屋まで殺してしまったろう、それで証跡を隠せると思うのは大間違いだ。
青い眼鏡
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
その無礼に対しておまえが謝罪を要求するなら貞操
蹂躪
(
じゅうりん
)
の裁きの下に牢獄に下ることと、わたしは自分で生命を断つことと、この二つの何れの代価をも差出すことを用意していることを語った。
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
その記事の
中
(
うち
)
に、何か夫人がかねて神月に
恋
(
ラブ
)
をしていたというような意味が書いてあったといって、
嚊々
(
かかあ
)
め恐しく
憤
(
いきどお
)
って、名誉を
蹂躪
(
じゅうりん
)
された、世の中へ顔出しも出来ないてッたようなことを云って
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
インドの大敵を
蹂躪
(
じゅうりん
)
した武功に
勝
(
まさ
)
る事万々とプリニウスが頌讃した。
十二支考:10 猪に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
家も、安楽椅子も、飾つきの卓も、蓄音機も、骨董や、金庫も、すべて、ナラズ者の南兵の掠奪に
蹂躪
(
じゅうりん
)
されてしまうだろうと居留民たちは考えさせられた。残虐な共産系が南兵には多数まじっている。
武装せる市街
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
剣閃
(
けんせん
)
、雨に映え、人は草を
蹂躪
(
じゅうりん
)
して縦横に疾駆する。
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
その騎兵主義もはや威力はなく、弓隊を持たないので、みすみす敵をして、難なく
分倍河原
(
ぶばいがわら
)
の陣地も彼の
蹂躪
(
じゅうりん
)
にまかせてしまった。
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この男の意志を
蹂躪
(
じゅうりん
)
し、彼からは全然独立した・意地の悪い存在のように、その濃紺の背広の
襟
(
カラー
)
と短く刈込んだ粗い頭髪との間に
蟠踞
(
ばんきょ
)
した肉塊——
宿主
(
やどぬし
)
の眠っている時でも
狼疾記
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
魯鈍なる群衆の雑踏を見ては、私に一中隊の兵士があれば彼らを
蹂躪
(
じゅうりん
)
することができるなどと思った。私の目の前をナポレオンと
董卓
(
とうたく
)
と
将門
(
まさかど
)
との顔が通っては消えた。強者になりたい。
愛と認識との出発
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
彼女の温泉場への第一の目的は、都会の場末で
蹂躪
(
じゅうりん
)
された肉体の、修整であり保養であった。そして彼女は健康な肉体にかえり次第、これまでの生活から足を洗ってしまいたいと考えていた。
機関車
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
(ああ、内地までも、敵機の
蹂躪
(
じゅうりん
)
に合うのか!)参謀たちは、唇を噛んだ。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
まず手に持っているのが槍だか竿だかわからないのに、その使いぶりときた日には格も法も一切
蹂躪
(
じゅうりん
)
し去って野性
横溢
(
おういつ
)
、奇妙幻出、なんとも名状することができないのがあまりに不思議でありました。
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
武士たちはそれへの侮辱と
蹂躪
(
じゅうりん
)
を一種の快とし、随所でほしいままを振舞った。ひとり前述の高ノ師泰だけにかぎっていたわけではない。
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
新羅三郎
(
しんらさぶろう
)
以来二十六
世
(
せい
)
をへて、四
隣
(
りん
)
に
武威
(
ぶい
)
をかがやかした
武田
(
たけだ
)
の
領土
(
りょうど
)
は、いまや、
織田
(
おだ
)
と
徳川
(
とくがわ
)
の軍馬に
蹂躪
(
じゅうりん
)
されて、
焦土
(
しょうど
)
となってしまった。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その花園を兵馬で
蹂躪
(
じゅうりん
)
するやつがあれば、高時とて坐視していられぬ。高時と鎌倉とは一つものだ。守って見せる。見せいでか
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「いまや私は、東国の郷里では、父祖以来の家園も将門に
蹂躪
(
じゅうりん
)
され、まったく孤独無援の心細い立場になりました」
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
咲耶子は
夜来
(
やらい
)
の
変事
(
へんじ
)
をつぶさに話して、いまに、この谷へも、
大久保長安
(
おおくぼながやす
)
の
手勢
(
てぜい
)
がきて、小太郎山の
砦
(
とりで
)
どうよう、ぞんぶんに
蹂躪
(
じゅうりん
)
するであろうとつげた。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
謙信の馬蹄に
蹂躪
(
じゅうりん
)
された武田方の中枢部は、その愕きと陣形の
紊
(
みだ
)
れとを、容易に回復することができなかった。
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それに、敵の首将信玄に対しては、なお遺憾な一太刀を残したにせよ、彼の中軍は
蹂躪
(
じゅうりん
)
し尽したといえるので、年来
鬱積
(
うっせき
)
していた宿念の一端を放つとともに
上杉謙信
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
だが、新田の者の
蹂躪
(
じゅうりん
)
も、そこらの森の浅瀬へちょっと踏み込んだまでにすぎない。彼らは、たちどころにまた、城戸内から散り散りになって逃げ出して来た。
私本太平記:01 あしかが帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それに部下の兵
若干
(
じゃっかん
)
とはいえ、鉄砲や
素槍
(
すやり
)
をたずさえ、それらの兵は甲州全地を
蹂躪
(
じゅうりん
)
して、皆どこかで鮮血を味わっている、いわゆる常ならぬ殺気の持主だった。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それが五、六十名の土匪のために、年ごとの収穫を掠奪され、若い女や家畜など、
蹂躪
(
じゅうりん
)
し尽されても
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もし彼が、積極的に玄蕃允盛政と力を
協
(
あわ
)
すとしたら、茂山、足海の線でも、長途の兵たる秀吉方をして、ああまで思いのまま
蹂躪
(
じゅうりん
)
させるようなことはなかったろう。
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
こうして呂宋兵衛たちは、この村を
食
(
く
)
いつくしたら、次の部落へ、つぎの部落を
蹂躪
(
じゅうりん
)
しきったらその次へ、
群
(
ぐん
)
をなして
桑田
(
そうでん
)
を
枯
(
か
)
らす害虫のように渡りあるく
下心
(
したごころ
)
でいるのだ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
呂布につづく高順、張遼の軍勢も、またたくうち橋を渡って、城門内を埋めてしまい、楼台城閣は炎を吐き、小沛の小城は今や完全に、彼の
蹂躪
(
じゅうりん
)
するところとなってしまった。
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
藩祖
教景公
(
のりかげこう
)
このかたここに五代、越前の名門
庶流
(
しょりゅう
)
、あわせて三十七同族、世々
恩顧
(
おんこ
)
のさむらいを養うことも何十万、それがいま、祖先の地を敵兵に
蹂躪
(
じゅうりん
)
され、本城も
墜
(
お
)
ちんとするのに
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
領内一円は、敵兵の
蹂躪
(
じゅうりん
)
に委せてしまう。……
阿鼻叫喚
(
あびきょうかん
)
だ……。親にはぐれて泣く子、子をさがしてよろぼう
老人
(
としより
)
。悲鳴をあげて逃げまどう若い娘。誰にも顧みられずに
巷
(
ちまた
)
で焼け死ぬ病人。
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかるに、蒋門神のため、その
素地
(
したじ
)
を
蹂躪
(
じゅうりん
)
され、しかも軍権力もあるため、無念をのんでいた折です。そこへはからず高名な
足下
(
そっか
)
をここに見いだして、まさに雲を
撥
(
はら
)
ッて陽を見るの思いです。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
寇州
(
こうしゅう
)
の地方より
頻々
(
ひんぴん
)
たる早馬や
落去
(
らっきょ
)
の地方吏が門を打ち叩き、梁山泊の賊徒のために、州城は
蹂躪
(
じゅうりん
)
され、国財もことごとく奪われ、あまつさえ州の奉行
高廉
(
こうれん
)
は
虐殺
(
ぎゃくさつ
)
されたとの
報
(
し
)
らせにござりまして
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この特権と信仰の
塁
(
とりで
)
に対しては、どんな猛勇な兵も、そうやすやす、駈けあがって来ることはできまい——宝塔
伽藍
(
がらん
)
を
蹂躪
(
じゅうりん
)
するまでのことはなし得まい——と、そう充分に
恃
(
たの
)
んでいたふうもあった。
新書太閤記:04 第四分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ふたりは無人の境を行くように、呂布の備えを
蹂躪
(
じゅうりん
)
した。
三国志:04 草莽の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
蹂
漢検1級
部首:⾜
16画
躪
漢検1級
部首:⾜
26画
“蹂”で始まる語句
蹂躙
蹂
蹂口
蹂躙下
蹂躙隊