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親爺
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おやぢ
ふりがな文庫
“
親爺
(
おやぢ
)” の例文
親爺
(
おやぢ
)
は幾度か叱り飛ばして
漸
(
やつ
)
と芋畑に連れ出しはしたが、成斎は
鼬
(
いたち
)
のやうにいつの間にか畑から滑り出して、自分の
家
(
うち
)
に帰つてゐた。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
実際を云ふと
親爺
(
おやぢ
)
の所謂薫育は、此父子の
間
(
あひだ
)
に纏綿する
暖
(
あたゝ
)
かい情味を次第に冷却せしめた丈である。少なくとも代助はさう思つてゐる。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
吉
(
きち
)
さんと
云
(
い
)
ふのは
地方町
(
ぢかたまち
)
の小学校時代の友達で、
理髪師
(
とこや
)
をしてゐる
山谷通
(
さんやどほ
)
りの
親爺
(
おやぢ
)
の店で、
此
(
こ
)
れまで
長吉
(
ちやうきち
)
の髪をかつてくれた
若衆
(
わかいしゆ
)
である。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
乞食野郎奴
(
こちきやらうめ
)
、
汝
(
わ
)
ツ
等
(
ら
)
が
親爺
(
おやぢ
)
は
見
(
み
)
やがれ、
汝
(
われ
)
こた
醫者
(
いしや
)
さ
連
(
つ
)
れてく
錢
(
ぜに
)
持
(
も
)
つてけつかつて、
此處
(
ここ
)
さは一
度
(
ど
)
でも
來
(
き
)
やがんねえ
畜生
(
ちきしやう
)
だから、
見
(
み
)
ろう。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
その話はさつき児玉の
親爺
(
おやぢ
)
さんから聞いたが……(児玉の方をちよつと見る)先生もあゝいふし、僕はこれから方針を変へようと思ふんだ。
五月晴れ
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
▼ もっと見る
「知つてるとも。ケチで高慢で、女道樂がひどくて、五十になるまで、よく罰も當らずに生きて居ると思ふやうな
親爺
(
おやぢ
)
だ」
銭形平次捕物控:224 五つの壺
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
いんにや、ゴパックはあんな風にやあ、踊らねえだ! ちやんと、覚えといて貰ひてえだよ、ほんとに、てんでなつちやゐねえや。あの
親爺
(
おやぢ
)
め、何を
ディカーニカ近郷夜話 前篇:05 五月の夜(または水死女)
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
宿の主人が名人とやらで、それに教はつて釣り始めたのですが、三度四度と行くうちにいつか主人より私の方が餘計釣る樣になりました。
親爺
(
おやぢ
)
負惜しんで曰く
樹木とその葉:33 海辺八月
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
始末は
大抵
(
たいてい
)
極つてゐるさ。
此間
(
こなひだ
)
お前の
親爺
(
おやぢ
)
に會つた時にもあの家の内幕を一寸
微見
(
ほのめ
)
かしてゐたよ。
孫だち
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
子供は、何故こんな事を聞かれるのかと心配相な顏をし乍ら、自分は早くから寢てゐたからよくは聞かないが、家の
親爺
(
おやぢ
)
と何か先生の事を話してゐたやうだつたと答へた。
葉書
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
これの
親爺
(
おやぢ
)
はもと矢張り此所の造船場でわつしの組下にをりやして、百六番船の試運転の時に
惨死
(
やら
)
れやしたもんで、十二の時からわつしが引き取つて仕込んだんでごわす。
煤煙の匂ひ
(新字旧仮名)
/
宮地嘉六
(著)
富岡は、焼酎を飲みながら、じいつと、娘へ小言を云つてゐる
親爺
(
おやぢ
)
の文句を聞いてゐた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
博士だつて、そこらの八百屋の
親爺
(
おやぢ
)
だつて、何しろ避難民は一体に玄米の握飯を
フアイヤ・ガン
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
然
(
され
)
ば彼伊勢屋千太郎は養子の身なれば仲間一同へ
程
(
ほど
)
能
(
よく
)
申
譯
(
わけ
)
を爲し
逃歸
(
にげかへ
)
らんとなせども養父五兵衞が平生仲間
交際
(
つきあひ
)
を
更
(
さら
)
になさず
類
(
たぐ
)
ひ無き
吝嗇
(
りんしよく
)
者なれば養子千太郎を
連行
(
つれゆき
)
て伊勢五の
親爺
(
おやぢ
)
に氣を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
「どうぞ
堪忍
(
かんにん
)
してやつて下さいましよ。
親爺
(
おやぢ
)
やお酒をくらつて居るんでさ」
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
たぶんあそこの
親爺
(
おやぢ
)
だらう……
息子
(
むすこ
)
かな
詩四章
(旧字旧仮名)
/
三好達治
(著)
傍
(
そば
)
にや
親爺
(
おやぢ
)
が
眞面目
(
まじめ
)
がほ
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
「
左様
(
さう
)
です」と代助は答へてゐる。
親爺
(
おやぢ
)
から説法されるたんびに、代助は返答に窮するから好加減な事を云ふ習慣になつてゐる。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
成程
(
なるほど
)
。」と
蘿月
(
らげつ
)
は
頷付
(
うなづ
)
いて、「さういふ事なら
打捨
(
うつちや
)
つても置けまい。もう何年になるかな、
親爺
(
おやぢ
)
が死んでから………。」
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「鹽鮭見たいな
親爺
(
おやぢ
)
の子をウジヤウジヤ
拵
(
こしら
)
へたところで、世の中が薄汚くなるばかりぢやありませんか、ね、親分」
銭形平次捕物控:259 軍学者の妾
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
子息
(
むすこ
)
の才能の総和が
親爺
(
おやぢ
)
のそれに匹敵するのは
何
(
ど
)
うにか辛抱出来るが、大久保甲東の息子達のやうなのは一寸……。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
子供は、何故こんな事を聞かれるのかと心配相な顔をし乍ら、自分は早くから寝てゐたからよくは聞かないが、
家
(
うち
)
の
親爺
(
おやぢ
)
と何か先生の事を話してゐたやうだつたと答へた。
葉書
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
高野専務は二十年来田沢の
乾分
(
こぶん
)
として働き、今日の地位を築いたのであるから、十分「
親爺
(
おやぢ
)
」の気心を呑み込み、その言説の当不当を真正面からあげつらふやうなことはしない。
泉
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
お
内儀
(
かみ
)
さん、
夫婦
(
ふうふ
)
揃
(
そろ
)
つてなくつちや
行
(
や
)
れるもんぢやありあんせんぞ、
親爺
(
おやぢ
)
だつてお
内儀
(
かみ
)
さん
自分
(
じぶん
)
の
女
(
あま
)
つ
子
(
こ
)
女郎
(
ぢよらう
)
に
賣
(
う
)
つて百五十
兩
(
りやう
)
とかだつていひあんしたつけがそれ
歸
(
けえ
)
りに
軍鷄喧嘩
(
しやもげんくわ
)
へ
引
(
ひ
)
つ
掛
(
かゝ
)
つて
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
『いまペンキ屋の
親爺
(
おやぢ
)
を毆つて飛出して來たよ。』
樹木とその葉:03 島三題
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
せめて、もう四五年早く決心して、強硬に
親爺
(
おやぢ
)
を
入江のほとり
(旧字旧仮名)
/
正宗白鳥
(著)
親爺
(
おやぢ
)
自慢
(
じまん
)
で
鋏
(
はさみ
)
を
鳴
(
な
)
らす。
とんぼの眼玉
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
代助に云はせると、
親爺
(
おやぢ
)
の考は、万事
中途半端
(
ちうとはんぱ
)
に、
或物
(
あるもの
)
を独り勝手に断定してから出立するんだから、毫も根本的の意義を有してゐない。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
一頻
(
ひとしき
)
り
戯書
(
いたづらがき
)
が済むだ頃、信常氏は「さうだすつかり忘れてゐたつけ、
親爺
(
おやぢ
)
から
委託
(
ことづか
)
り
物
(
もの
)
があつたんだ。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「喜三郎といふのが居ますよ。伊勢屋の死んだ女房の
親爺
(
おやぢ
)
で、佛喜三郎と言はれる好い人間で」
銭形平次捕物控:143 仏喜三郎
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
算盤
(
そろばん
)
で
乃公
(
おれ
)
の頭をなぐつた
親爺
(
おやぢ
)
にしろ、泣いて意見をした
白鼠
(
しろねずみ
)
の番頭にしろ、
暖簾
(
のれん
)
を分けて
貰
(
もら
)
つたお
豊
(
とよ
)
の
亭主
(
ていしゆ
)
にしろ、さう
云
(
い
)
ふ人達は
怒
(
おこ
)
つたり笑つたり泣いたり喜んだりして
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
いよ/\
親爺
(
おやぢ
)
とは絶交しました。但し、お
袋
(
ふくろ
)
が今まで通り内証で仕送りをしてくれる筈ですから、別に慌てることもないわけです。奥さんが留守のせゐか、いやに
家
(
うち
)
ん
中
(
なか
)
が散らかつてますね。
世帯休業
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
「
折角
(
せつかく
)
親爺
(
おやぢ
)
の
記念
(
かたみ
)
だと
思
(
おも
)
つて、
取
(
と
)
つて
來
(
き
)
た
樣
(
やう
)
なものゝ、
仕樣
(
しやう
)
がないね
是
(
これ
)
ぢや、
場塞
(
ばふさ
)
げで」と
零
(
こぼ
)
した
事
(
こと
)
も一二
度
(
ど
)
あつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「あゝして
親爺
(
おやぢ
)
が禁酒論者なのに、忰の僕が飲んだくれぢや世間体が悪いからね。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「こちとらには百文も貸す氣遣ひはねえが、旗本や御家人泣かせで名高い
親爺
(
おやぢ
)
だ」
銭形平次捕物控:162 娘と二千両
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
平太郎が
親爺
(
おやぢ
)
の石塔を建てたから見に
来
(
き
)
て呉れろと
頼
(
たの
)
みにきたとある。行つて見ると、木も草も生えてゐない庭の赤土の
真中
(
まんなか
)
に、
御影石
(
みかげいし
)
で出来てゐたさうである。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「柳屋の
親爺
(
おやぢ
)
が來てゐるが、逢つて見ないか」
銭形平次捕物控:122 お由良の罪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「ぢや訊くが、お前の
親爺
(
おやぢ
)
の
職業
(
しやうばい
)
は何だね。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
今度
(
こんど
)
手紙の
序
(
ついで
)
に聞いて見て呉れ、さうして十円も掛けて
親爺
(
おやぢ
)
の為に
拵
(
こしら
)
へてやつた石塔を
賞
(
ほめ
)
て貰つてくれと云ふんださうだ。——三四郎は独りでくす/\笑ひ出した。千駄木の石門より余程烈しい。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
番太の
親爺
(
おやぢ
)
は心得たことを言ひます。
銭形平次捕物控:023 血潮と糠
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「朝野屋の
親爺
(
おやぢ
)
ですよ」
銭形平次捕物控:101 お秀の父
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
あの高慢ちきな
親爺
(
おやぢ
)
が
銭形平次捕物控:246 万両分限
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
親
常用漢字
小2
部首:⾒
16画
爺
漢検準1級
部首:⽗
13画
“親爺”で始まる語句
親爺奴
親爺株
親爺様