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げいしゃ
ふりがな文庫
“
芸妓
(
げいしゃ
)” の例文
旧字:
藝妓
「隠したって駄目だよ、証拠は銀流しの
簪
(
かんざし
)
だ、柳橋で
芸妓
(
げいしゃ
)
の
奴
(
やっこ
)
を殺したのを手始めに、四人まで手にかけた、お前は鬼のような女だ」
銭形平次捕物控:004 呪いの銀簪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
女郎や
芸妓
(
げいしゃ
)
じゃあるまいしさ、そんな殺文句が
謂
(
い
)
われるものかね。でも、旦那の怒りようがひどいので、まあ、さんざあやまってさ。
化銀杏
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「毛ぶかい人は、情が深いって! 貴君なんか薄情なのよ。」まるで、年増
芸妓
(
げいしゃ
)
のような言葉を、はずかし気もなくズケズケいった。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
ところでその今の母親と言うのは
前身
(
もと
)
は
芸妓
(
げいしゃ
)
上りと言う事で、まだ色も香も相当残っとる年増盛りじゃが、そのような女にも似合わず
狂歌師赤猪口兵衛:博多名物非人探偵
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「へへん、何やろかいな。アイヌにも
芸妓
(
げいしゃ
)
はんがありまへょか。」神戸富豪のNさん。九州男のYが「金持ちなんてん
下俗
(
げさくう
)
してなん。」
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
▼ もっと見る
万吉さんにも、一度話したことがあるけれど、お
母
(
っか
)
さんはお才といって、
仲之町
(
なかのちょう
)
では売れた
芸妓
(
げいしゃ
)
、たいそうきれいな
女
(
ひと
)
でした——。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
随分
怜悧
(
りこう
)
な
芸妓
(
げいしゃ
)
でも、
可
(
い
)
い加減に年を取った
髯面
(
ひげづら
)
野郎でも、相手にせずに其処へ坐らせて置いて少し上品な談話でも仕て居ると
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
少し離れたところの、
樅
(
もみ
)
の木蔭に隠れていた
芸妓
(
げいしゃ
)
の福松は、兵馬が立戻って来ることの手間がかかり過ぎることに気を
揉
(
も
)
み出し
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
深川の
芸妓
(
げいしゃ
)
を
羽織衆
(
はおりし
)
/\と称えるような事になりましたので、貰わぬ者まで自分で染めて黒縮緬の羽織を着たという、誠に
華美
(
はで
)
なことで。
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
或はまた
堅気
(
かたぎ
)
の娘さんなのか、井関さんの
先
(
せん
)
だっての口振りでは、まさか
芸妓
(
げいしゃ
)
などではありますまいが、何しろ、全く見当がつかないのです。
覆面の舞踏者
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
大和魂
(
やまとだましい
)
を
鋳
(
い
)
固
(
かた
)
めた製作品である。実業家も
入
(
い
)
らぬ、新聞屋も入らぬ、
芸妓
(
げいしゃ
)
も入らぬ、余のごとき書物と
睨
(
にら
)
めくらをしているものは無論入らぬ。
趣味の遺伝
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
今から考えると、それは
芸妓
(
げいしゃ
)
や
娼妓
(
しょうぎ
)
の世話をする、つまり人身売買業ともいうべき
口入屋
(
くちいれや
)
だったのである。年増女はじろじろと私の顔を
眺
(
なが
)
めた。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
一緒にいた
芸妓
(
げいしゃ
)
あがりらしい女と、母親との折合いがわるくて、このごろ
後釜
(
あとがま
)
に田舎から嫁が来ているという事情などもお銀はよく知っていた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
もとより、
芸妓
(
げいしゃ
)
は美しいものとして、その
他
(
ほか
)
の悪いことは知っていようはずもないのに、なぜだか、なんとも言えない泣きたい思いを堪えていた。
旧聞日本橋:12 チンコッきり
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
此処
(
ここ
)
は深川仲町の、松島屋という
芸妓
(
げいしゃ
)
屋のひと間である。松吉という、その姐さん芸妓が主で、ほかには飯炊きのお仙というばあやがいるだけだった。
風流太平記
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「それも堅気の上りとか何とかいうなら仕方がねえ、手めえだって
芸妓
(
げいしゃ
)
をしているんじゃァねえか。——うそにも愛嬌
稼業
(
しょうばい
)
をしているんじゃァねえか。」
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
そして彼らの素行の堕落がどれだけ世の子女の風儀に悪影響を及ぼしているかは「代議士は
芸妓
(
げいしゃ
)
を買うものです」
鏡心灯語 抄
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
朝寝坊の
芸妓
(
げいしゃ
)
家では、台所に近い三畳で女中のお滝がようよう
蚊帳
(
かや
)
をはずしているところであった。
半七捕物帳:19 お照の父
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
芸妓
(
げいしゃ
)
はやっぱり貞之進のを取って、これが善いのですよと煙草の珍しい方を取った積りの詞が、貞之進は訳無しに嬉いようで、入物ぐるみそっと芸妓の手近へ推遣って
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
卒業式、卒業の祝宴、初めて席に
侍
(
はべ
)
る
芸妓
(
げいしゃ
)
なるものの
嬌態
(
きょうたい
)
にも接すれば、
平生
(
へいぜい
)
むずかしい顔をしている教員が
銅鑼声
(
どらごえ
)
を
張
(
は
)
り上げて調子はずれの
唄
(
うた
)
をうたったのをも聞いた。
田舎教師
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
千代子は
今茲
(
ことし
)
十七歳、横浜で有名な貿易商正木
某
(
なにがし
)
の妾腹に出来たものだそうで、その
妾
(
めかけ
)
というのは昔新橋で嬌名の高かった玉子とかいう
芸妓
(
げいしゃ
)
で、千代子が生まれた時に世間では
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
従って、シンミリと寂しかるべき怪談会は、意外にも
賑
(
にぎ
)
かな陽気な集会となって、
芸妓
(
げいしゃ
)
達の白い顔や、芸人達や料理屋の主人と云ったような、いなせな連中が気勢を添えてくれた。
友人一家の死
(新字新仮名)
/
松崎天民
(著)
なにしろ、君、触込が触込だから、
是方
(
こっち
)
でも、朝晩のように
宿舎
(
やどや
)
へ詰めて、話は料理屋でする、見物には案内する、酒だ、
芸妓
(
げいしゃ
)
だ——そりゃあもう
御機嫌
(
ごきげん
)
の取るだけ取ったと思い給え。
家:01 (上)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
打鶏
(
ダーチー
)
⦅私娼買い⦆にも少し
倦
(
あ
)
きて了ったし、書厲⦅
芸妓
(
げいしゃ
)
家⦆へ行くのも平凡だし、ダンスホールや酒場へ行ったところで、変わった興味もあるまいし、ひとつ
開封路
(
かいぽうろ
)
の春華舞台へでも行って
さまよう町のさまよう家のさまよう人々
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
彼女は村の生れでなく、
噂
(
うわさ
)
によればさる
士
(
さむらい
)
の
芸妓
(
げいしゃ
)
に生ませた女らしい。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
掛稲
(
かけいね
)
、嫁菜の、
畦
(
あぜ
)
に倒れて、この五尺の松に
縋
(
すが
)
って立った、山代の小春を、近江屋へ連戻った事は、すぐに
頷
(
うなず
)
かれよう。
芸妓
(
げいしゃ
)
である。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
芸妓
(
げいしゃ
)
は秘密とはいう条、公然同様であるから略するとして、女給、家内女等を仮に第三級とする。但、これも公然といえば公然である。
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
芸妓
(
げいしゃ
)
というよりも令嬢といってもよいおとなしい顔だった。真青な無地の襟に黒地に白をぬいた
飛白
(
かすり
)
のお
召
(
めし
)
が、ピッタリと合っていた。
第二の接吻
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
すると夜風は身にしみて肌さぶく相成り、二階ではお酒が始まり
芸妓
(
げいしゃ
)
が騒ぎはじめますから、馬鹿々々しくなって堪りません。
根岸お行の松 因果塚の由来
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
外人は、分ったような分らないような顔をして
興
(
きょう
)
がった。主人の理平も来た。千歳の女将も来た。
芸妓
(
げいしゃ
)
たちものぞきに来た。
かんかん虫は唄う
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
芸妓
(
げいしゃ
)
の福松は戸際まで送り出でたけれども、お大切にという声がつまってしまったものですから、そのまま奥へ引込んで出て来ませんでした。
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「さア、船頭が
芸妓
(
げいしゃ
)
を殺す気なら、面倒臭くて不確かな
簪
(
かんざし
)
などを振り廻さずに、手っ取り早く足でも掴んで川の中へ沈めにかかりそうなものだ」
銭形平次捕物控:004 呪いの銀簪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
お雪は、ふと、美しい着物は着ていたが、なんにも、
購
(
か
)
いたいものも購えなかった、
芸妓
(
げいしゃ
)
時代の窮乏を思いうかべた。
モルガンお雪
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
そして、その時彼の
側
(
そば
)
に坐った眉の濃い一人の
芸妓
(
げいしゃ
)
の姿や、その
声音
(
こわね
)
や、いろいろの
艶
(
なまめか
)
しい
仕草
(
しぐさ
)
が、浮ぶのである。
夢遊病者の死
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
芸妓
(
げいしゃ
)
とも
白首
(
しらくび
)
ともつかぬ若い女を二人ほど手元に引きつけて、それもいい加減に本性を露わしかけているのだった。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
内儀さんは上州辺の女で、田舎で
芸妓
(
げいしゃ
)
をしていた折に、東京から出張っていた土木の請負師に連れ出されて、こっちへ来てから深川の方に囲われていた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
この間友人からこんな話を聞きました。その男の国での事でありますが、ある
芸妓
(
げいしゃ
)
がある男と深い関係になっていたのだそうで。その両人がある時船遊びに出ました。
創作家の態度
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
芸妓
(
げいしゃ
)
も客数ほど来て、
饒舌
(
しゃべ
)
るわ/\春の潮の湧くが如く、拳を打ったり歌を唄ったり、ふたりで
蚊帳
(
かや
)
の紐を釣ったとか
云
(
いっ
)
て足拍子のしたのは、若い妓が起って踊ったので
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
それにはすれ違う
芸妓
(
げいしゃ
)
でも
箱丁
(
はこや
)
でも一人として知った顔がなく、一人として天下の西巻金平を問題にするものがありません。——みんな知らん顔でそばを通って行きます。
春泥
(新字新仮名)
/
久保田万太郎
(著)
逗留客が散歩に出る。
芸妓
(
げいしゃ
)
が湯にゆく。白い鳩が
餌
(
え
)
をあさる。黒い燕が
往来
(
おうらい
)
中
(
なか
)
で宙返りを打つ。夜になると、蛙が鳴く。
梟
(
ふくろう
)
が鳴く。
門附
(
かどづけ
)
の芸人が来る。
碓氷川
(
うすいがわ
)
の
河鹿
(
かじか
)
はまだ鳴かない。
磯部の若葉
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「おちついて飲めるうちといえば雪ノ井がただ一軒、
芸妓
(
げいしゃ
)
もいねえというんだからひでえ土地だ」そして吐きだすように付け加えた、「おれはまるでペテンにかかったような心持だぜ」
霜柱
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
……何が美しいと云ったところで江戸の
祭礼
(
まつり
)
に
敵
(
かな
)
うものはまず他にはありませんな。揃いの衣裳。
山車
(
だし
)
屋台。
芸妓
(
げいしゃ
)
の
手古舞
(
てこま
)
い。笛太鼓。ワイショワイショワイショワイショと
樽
(
たる
)
天神を
担
(
かつ
)
ぎ廻ります。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
お米さんにまけない美人をと言って、若主人は、
祇園
(
ぎおん
)
の
芸妓
(
げいしゃ
)
をひかして女房にしていたそうでありますが、それも亡くなりました。
雪霊記事
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
芸妓
(
げいしゃ
)
はあまり有りふれているから略するとして、その次にありふれているのは女給、女案内人、
稍
(
やや
)
高級なところではモデル女
東京人の堕落時代
(新字新仮名)
/
夢野久作
、
杉山萠円
(著)
僕は、我々と対等に話が出来るのは、
芸妓
(
げいしゃ
)
……それも多少
年増
(
としま
)
の
芸妓
(
げいしゃ
)
ばかりだと思っていたよ、だがどうしてもう
芸妓
(
げいしゃ
)
なんか話が古いねえ。
第二の接吻
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
アノ
祖父
(
おじい
)
ちゃんはね、恐ろしく怒ってるよ、お祖父ちゃんはね、アノ
彼
(
あ
)
んなやくざな者は無い、駄目だって、アノ
芸妓
(
げいしゃ
)
や何かに、アノ迷って
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
だっておかしかろうじゃないか、
芸妓
(
げいしゃ
)
を連れて道行をすれば、これがおたのしみでなくて、世間のどこにおたのしみがあるのだ、おたのしみを
大菩薩峠:37 恐山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「
外
(
ほか
)
ではない、柳橋の
芸妓
(
げいしゃ
)
殺し、石原の利助が呑込んで、布袋屋万三郎を挙げたんだが、どうも下手人らしくない」
銭形平次捕物控:004 呪いの銀簪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
魚河岸
(
うおがし
)
から集金に来ている一人の親方は、そこの広間で毎日土地の
芸妓
(
げいしゃ
)
や
鼓笛
(
つづみふえ
)
の師匠などを集めて騒いでいた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
この豊原一の宏壮な旅館だからかとも思ったが、まるで
芸妓
(
げいしゃ
)
のような美服を著、
粉黛
(
ふんたい
)
している。内地の何処の旅館に泊ったってこんな事はない。一々嬌笑する。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
“芸妓”の意味
《名詞》
芸妓(げいぎ、げいこ)
宴席で歌舞をし、客を楽しませることを職とする女。
(出典:Wiktionary)
“芸妓”の解説
芸妓(げいぎ、げいこ)は、もと、色街で売春を生業とした売春婦の中、技能を有しマシな待遇の者。舞踊や音曲・鳴物で宴席に興を添え、客をもてなす女性。芸者・芸子のこと。酒席に侍って各種の芸を披露し、座の取持ちを行う女子のことであり、太夫遊びが下火となった江戸時代中期ごろから盛んになった職業の一つである。
(出典:Wikipedia)
芸
常用漢字
小4
部首:⾋
7画
妓
漢検準1級
部首:⼥
7画
“芸妓”で始まる語句
芸妓屋
芸妓家
芸妓殺
芸妓衆
芸妓連
芸妓買
芸妓連中
芸妓名
芸妓奴
芸妓徒