自分達じぶんたち)” の例文
『ナニ、そんなことつても駄目だめだ』とねこひました、『自分達じぶんたちだつてみんうしてたつて狂人きちがひなんだ。わたし狂人きちがひ。おまへ狂人きちがひ
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
私達わたしたちはその日一にち歩きまはつた。夕方ゆふがたには、自分達じぶんたちの歩いてゐる所は一たいどこなのだらうと思ふほどもう三半器官はんきくわんつかれてゐた。
美しい家 (新字旧仮名) / 横光利一(著)
さうして二人ふたりだまつてつてゐると、何時いつにか、自分達じぶんたち自分達じぶんたちこしらえた過去くわこといふくらおほきなあななかちてゐる。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
そうすりゃあいつは、ぼくがこんなにみっともないくせして自分達じぶんたちそばるなんて失敬しっけいだってぼくころすにちがいない。だけど、そのほうがいいんだ。
ほう自分達じぶんたち仲間なかまからしたしいひとうしなうのでございますから、しずってりますのに、他方たほう自分達じぶんたち仲間なかましたしきひと一人ひとりむかえるのでございますから、むしいさんでいるような
昂奮こうふんしないでおきなさいツ。ではこれから自分達じぶんたちみちが、どんなにけはしい、文字もじどほりの荊棘いばらみちだつてことが、生々なま/\しい現實げんじつとして、おぢやうさん、ほんとにあなたにわかつてゐるんですか……
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
なぜならば、少しもそれらの運動うんどう宣言せんこく共鳴きようめいを感ずることが出來ませんでしたから。ひそかに自分達じぶんたちの考へはもうふるいのだろうとうなづきました。さうしてその舊さに滿足まんぞくを感じ、光榮くわうえいを感じました。
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
みゝまくらからはなしてかんがへると、それはあるおほきなおもいものがうらがけから自分達じぶんたちてゐる座敷ざしきえんそところがりちたとしかおもはれなかつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
と、うのでした。それは自分達じぶんたち世界せかい半分はんぶんずつだとおもっているからなのです。ある牝鶏めんどり子家鴨こあひるむかって
天狗てんぐ頭目かしらも『自分達じぶんたち人間にんげんになりれなかったたましいでござる……。』と、あっさり告白こくはくしてりました。わたくしはそれをきいたときに、なにやら天狗てんぐさんにたいしてどくかんじられたのでございました。
そこで二人は大家へ行つて部屋へや様子やうすをきき正した。私達わたしたちはもう家そのものはどうでも良かつた。たゞ自分達じぶんたちつかれた身体からだに一時も早く得心とくしんあたへるために直ぐその家を借りようといふになつた。
美しい家 (新字旧仮名) / 横光利一(著)
そのかたが、自分達じぶんたちさみしい生涯しやうがいを、多少たせうみづかたしなめるやうにが調子てうしを、御米およねみゝつたへたので、御米およねおぼえずひざうへ反物たんものからはなしてをつとかほた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)