トップ
>
繁茂
>
はんも
ふりがな文庫
“
繁茂
(
はんも
)” の例文
『市当局の配慮により、我が市は今や、樹木の
鬱蒼
(
うっそう
)
と
繁茂
(
はんも
)
せる公園によって飾られ、炎暑の
候
(
こう
)
にも清涼の気を満喫し
得
(
う
)
るに至れり。』
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
行手には伸びるがままに、
繁茂
(
はんも
)
した樹木の枝が交錯し、それを分けて進むと、たちまちネットリとした
蜘蛛
(
くも
)
の巣が顔にかかって来た。
恐怖王
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
かえって
寄生木
(
やどりぎ
)
たる
曹操
(
そうそう
)
のほうが次第に老いたる親木を
蝕
(
く
)
い、幹を太らせ、ついに根を漢土に張って、
繁茂
(
はんも
)
してくること必然でしょう。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
庭
(
には
)
の
木陰
(
こかげ
)
に
身
(
み
)
を
避
(
さ
)
けてしんみりと
互
(
たがひ
)
の
胸
(
むね
)
を
反覆
(
くりかへ
)
す
時
(
とき
)
繁茂
(
はんも
)
した
柹
(
かき
)
や
栗
(
くり
)
の
木
(
き
)
は
彼等
(
かれら
)
が
唯
(
ゆゐ
)
一の
味方
(
みかた
)
で
月夜
(
つきよ
)
でさへ
深
(
ふか
)
い
陰翳
(
かげ
)
が
安全
(
あんぜん
)
に
彼等
(
かれら
)
を
包
(
つゝ
)
む。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
僕には見えないが、おそらく原始的な
微生植物
(
びせいしょくぶつ
)
も、ここをわが世とばかりに活動して
繁茂
(
はんも
)
しているのであろう。
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
雑草のようなものでさえ、それが
繁茂
(
はんも
)
しているところを見ると、いかにもその所を得ているものである。
実験室の記憶
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
川のほとりに
繁茂
(
はんも
)
するぶなの木の枝と枝のあいだに、長い木材をわたして屋根の骨をつくり、それにテントを張り、そこに
火器
(
かき
)
弾薬
(
だんやく
)
その他いっさいの食料を運んだ。
少年連盟
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
利根山奥の
低
(
ひく
)
き
所
(
ところ
)
は山毛欅帯に
属
(
ぞく
)
し、
高
(
たか
)
きは白檜帯に属す、最高なる所は偃松帯に
属
(
ぞく
)
すれども甚だ
狭
(
せま
)
しとす、之を以て山奥の入口は山の頂上に深緑色の五葉松
繁茂
(
はんも
)
し
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
ここのくさったような空気のなかで、芸術はかつてほしいままに
繁茂
(
はんも
)
し、音楽家たちはこの都から、かるくゆすってはこびるように寝入らせるひびきを吹きこまれたのだ。
ヴェニスに死す
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
栽培はきわめて容易で、家の
後
(
うし
)
ろなどに
栽
(
う
)
えておくと年々
能
(
よ
)
く
繁茂
(
はんも
)
して開花する。その
茎上
(
けいじょう
)
に
小珠芽
(
しょうしゅが
)
ができて地に落ちるから、それから芽が出て
新株
(
しんしゅ
)
が
殖
(
ふ
)
える特性を有している。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
また画そのものも、ただ濁った水と、湿った土と、そうしてその土に
繁茂
(
はんも
)
する
草木
(
そうもく
)
とを
描
(
か
)
いただけだから、恐らく尋常の見物からは、文字通り一顧さえも受けなかった事であろう。
沼地
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
治者恭敬にして信なるが故に、民その力を尽くしたからである。その邑に入れば民家の
牆屋
(
しょうおく
)
は完備し樹木は
繁茂
(
はんも
)
している。治者忠信にして寛なるが故に、民その営を
忽
(
ゆるが
)
せにしないからである。
弟子
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
月は出たが、
繁茂
(
はんも
)
した木立は月光を洩らさないので、あやめもわからない闇のなかで心わびしく思いながら、やがて眠るともなくうとうとしようとすると、たしかに、「
円位
(
えんい
)
、円位」とよぶ声がする。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
伸び放題に
繁茂
(
はんも
)
した樹々の梢は、さながら緑の雲か、木の葉のさやさやと顫える不規則な円頂閣の形に群らがって、空高く浮かんでいる。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
被害者
(
ひがいしや
)
は
到頭
(
たう/\
)
隱匿
(
いんとく
)
した
箇處
(
かしよ
)
を
發見
(
はつけん
)
して
巡査
(
じゆんさ
)
を
導
(
みちび
)
いた。
雜木林
(
ざふきばやし
)
の
繁茂
(
はんも
)
した
間
(
あひだ
)
の、もう
硬
(
こは
)
く
成
(
な
)
つた
草
(
くさ
)
の
中
(
なか
)
へ
蜀黍
(
もろこし
)
の
穗
(
ほ
)
は
縛
(
しば
)
つた
儘
(
まゝ
)
どさりと
置
(
お
)
いてあつたのである。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
離れるとき、動物も植物もいっしょに持っていったに違いない。そして条件さえ、よければ、月の上で、しばらくはその動物や植物が
繁殖
(
はんしょく
)
し、
繁茂
(
はんも
)
したに違いない
三十年後の世界
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
加ふるに
石南
(
しやくなん
)
の
蟠屈
(
ばんくつ
)
と
黄楊
(
つけ
)
の
繁茂
(
はんも
)
とを以てし、難
愈
(
いよ/\
)
難を増す、
俯視
(
ふし
)
して水を
索
(
もと
)
めんとすれば、両側
断崖絶壁
(
だんがいぜつぺき
)
、水流は
遥
(
はるか
)
に数百尺の
麓
(
ふもと
)
に
在
(
あ
)
るのみ、
勇
(
いう
)
を
鼓
(
こ
)
して
早
(
はや
)
く山頂に
到
(
いた
)
らんか
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
彼等
(
かれら
)
は
只
(
たゞ
)
多量
(
たりやう
)
に
嚥下
(
えんげ
)
することによつて
其
(
そ
)
の
精力
(
せいりよく
)
を
恢復
(
くわいふく
)
し
滿足
(
まんぞく
)
するのである。
牛
(
うし
)
や
馬
(
うま
)
でも
地上
(
ちじやう
)
に
軟
(
やはら
)
かな
草
(
くさ
)
の
繁茂
(
はんも
)
する
季節
(
きせつ
)
が
來
(
く
)
れば
自然
(
しぜん
)
に
乾草
(
ほしぐさ
)
や
藁
(
わら
)
を
厭
(
いと
)
ふやうになる。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
いや、じっさい植物の補給がじゅうぶんでないために、われわれは近くこのジャンガラ星を運転して、もっとたくさんの植物が
繁茂
(
はんも
)
している遊星へ横づけにしたいと思っている
宇宙の迷子
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
一面の
琉球
(
りうきう
)
藺は
伐採
(
ばつさい
)
を受けざる為め
茸々
(
しやう/\
)
として沼岸に
繁茂
(
はんも
)
し、沼辺の
森林
(
しんりん
)
は
欝乎
(
うつこ
)
として水中に
映
(
えい
)
じ、
翠緑
(
すゐりよく
)
滴
(
したた
)
る如く、燧岳の中腹は一帯の
雲烟
(
うんえん
)
に
鎖
(
とざ
)
され夕陽之に
反照
(
はんせう
)
す、其景の
絶佳
(
ぜつか
)
なる
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
死の世界ではなく、形こそ
怪異
(
かいい
)
であるが、植物も
繁茂
(
はんも
)
している。
三十年後の世界
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
繁
常用漢字
中学
部首:⽷
16画
茂
常用漢字
中学
部首:⾋
8画
“繁”で始まる語句
繁
繁昌
繁々
繁華
繁盛
繁殖
繁吹
繁文縟礼
繁多
繁花