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盲
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めし
ふりがな文庫
“
盲
(
めし
)” の例文
捉え難い寂しさは
盲
(
めし
)
いたる眼で闇の中を
当
(
あ
)
て
途
(
ど
)
もなく見廻わそうとし、去り難い悩しさは
萎
(
な
)
えたる手でいたずらに虚空を
掴
(
つか
)
もうとした。
語られざる哲学
(新字新仮名)
/
三木清
(著)
菊枝は胸のふさがるおもいで読んだ、姑は聞き終ってからしばらくなにか考えているようすだったが、やがてしずかに
盲
(
めし
)
いた
面
(
おもて
)
をあげ
日本婦道記:不断草
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
それだのにどうだろう、右の一眼は、
盲
(
めし
)
いたままになっているではないか。
眼窩
(
がんか
)
は
洞然
(
ほこらぜん
)
と開いているが、眼球が失われているのである。
生死卍巴
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
検校はもう七十近いので、耳は遠く眼はもとより
盲
(
めし
)
いているので、近ごろは何もわからないと、自分の
耄碌
(
もうろく
)
をよく口癖に
喞
(
かこ
)
っているが
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そうして一同が高く笑い崩れるにしたがって、片方の
牡蠣
(
かき
)
のように
盲
(
めし
)
いた眼までを輝かして顔だけでめちゃめちゃに笑った。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
▼ もっと見る
彼は強いて不当に鬼の目を殺して文人趣味に堕し
盲
(
めし
)
ひ、彼のオモチャは特定人のオモチャ、彼一人のオモチャ、かたくなゝ細工物の性質を帯び
オモチャ箱
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
かねて禁断であるものを、色に
盲
(
めし
)
いて血気な徒が、分別を取はずし、夜中、御堂へ、村の娘を連込んだものがあった。隔ての
帳
(
とばり
)
も、
簾
(
すだれ
)
もないのに——
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
若かりし頃は好い男であつたかも知れませんが、兩眼
盲
(
めし
)
ひて、
山葡萄
(
やまぶだう
)
のやうに、不氣味に飛び出した上、顏半面の大火傷で、見るも無慚な
顏容
(
かほかた
)
ちです。
銭形平次捕物控:318 敵の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼は際限なき暗黒のうちにおける
死屍
(
しかばね
)
の
盲
(
めし
)
いたる冒険を考える。底なき寒さは彼を
麻痺
(
まひ
)
する。彼の両手は
痙攣
(
けいれん
)
し、握りしめられ、そして虚無をつかむ。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
ここは、四季を通じて一定の温度を保ち、寒からず暑からず
至極
(
しごく
)
凌
(
しの
)
ぎよい。食物は、
盲
(
めし
)
いた
蝦
(
えび
)
、藻草の類。底には、ダイヤモンドがあるが無用の大長物。
人外魔境:05 水棲人
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
さうして光に飽き、あかりに
盲
(
めし
)
ひ、温かな女たちの衣裳から生ずる、夏の微風に吹き搖すられたりしてゐた。
旗手クリストフ・リルケ抄
(旧字旧仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
自分が知れる限りにおいては、この土蔵の中を天地として、あの
盲
(
めし
)
いたる不思議な剣術の先生に
侍
(
かし
)
ずいて、一歩もこの土蔵から出ることを好まない人であった。
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
二人
(
ふたり
)
の
關係
(
くわんけい
)
の
眞相
(
しんさう
)
が、どんなものであつたかは
誰
(
たれ
)
も
知
(
し
)
らない。
恐
(
おそ
)
らくは
彼女自身
(
かのぢよじしん
)
にもわからなかつたことであらう。
彼女
(
かのぢよ
)
は
見事
(
みごと
)
に
誘惑
(
いうわく
)
の
甘
(
あま
)
い
毒氣
(
どくけ
)
に
盲
(
めし
)
ひたのである。
悔
(旧字旧仮名)
/
水野仙子
(著)
廊下の電燈の光が、
櫺子
(
れんじ
)
窓の黝ずんだ擦硝子に漉されて、ぼーっとした明るみを送っている。その
盲
(
めし
)
いた朧ろな明りが見ようによって、或は赤っぽく、或はだだ白い。
春
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
彼奴
(
きゃつ
)
をかばうほどに、お前等は
盲
(
めし
)
い果てているのだ。だが俺は、どんなことがあろうと、きっと彼奴をやっつけて見せる。今日が駄目なら明日こそ力
競
(
くら
)
べをしてやろう。
紅い花
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
彼といふ存在の裡に、まつたく私は生き、彼はまた私の裡に生きた。
盲
(
めし
)
ひではあつたが微笑は彼の顏に浮び、歡喜は彼の
額
(
ひたひ
)
に輝いた。彼の顏付は柔らげられ温められた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
半分
盲
(
めし
)
いてまだあの変化のない小さな町に生き、彼もおよそ二年前に訪ねたきりの母の愛情というものを、いつも呼び起そうとするよりはむしろしりぞけてきたからである。
審判
(新字新仮名)
/
フランツ・カフカ
(著)
今
先
(
ママ
)
ぐにも手紙を書こうかと思ったけれ共、両眼ともが、半分
盲
(
めし
)
いて居る父親が、長い間、臭い汽車の中で不自由な躰をもんで、わざわざいやな話をききに来なければならないのを思うと
栄蔵の死
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
愛宕
(
あたご
)
の山蔭に短い秋の日は次第にかげって、そこらの茶見世から茶見世の前を、破れ三味線を
弾
(
ひ
)
きながら、哀れな声を絞って
流行唄
(
はやりうた
)
を歌い、物を
乞
(
こ
)
うて歩く
盲
(
めし
)
いた
婦
(
おんな
)
の音調が悪く
腸
(
はらわた
)
を断たしめる。
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
滝津瀬
(
たきつせ
)
の様に、頭上から降りそそぐ
鹽水
(
しおみず
)
の痛みに、目は
盲
(
めし
)
い、狂風の叫び、
波濤
(
はとう
)
の怒号に、耳は
聾
(
ろう
)
し、寒さに触覚すらも殆ど失って、彼はただ機械人形の様にめくら滅法にオールを動かしていた。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
盲
(
めし
)
いた
眼瞼
(
まぶた
)
の奥には何の変化も感じないけれど、女の
唇
(
くち
)
からアッという驚きの声がもれたので、彼は電燈がついたのを知った。女は自分の罪業の跡をば初めて電燈の
下
(
もと
)
にまざまざと見たのであった。
暗中の接吻
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
眼をつむりにはかめくらとなりて聴くガラスを知らぬ
盲
(
めし
)
ひし児の詩
遺愛集:02 遺愛集
(新字新仮名)
/
島秋人
(著)
あはれ、さは
赤裸
(
あかはだか
)
なる、
盲
(
めし
)
ひなる、ひとり
笑
(
ゑ
)
みつつ
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
盲
(
めし
)
ひた中を
手探
(
てさぐ
)
りで夢とうつつに歩いてゆく
太陽の子
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
三味線
(
しゃみせん
)
にすがりて
盲
(
めし
)
ひ虫の宿
六百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
盲
(
めし
)
ひたる
魚
(
うを
)
かとぞ
喘
(
あへ
)
げる中を
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
白き空
盲
(
めし
)
ひてありて
山羊の歌
(新字旧仮名)
/
中原中也
(著)
熱に追われた
盲
(
めし
)
い
原爆詩集
(新字新仮名)
/
峠三吉
(著)
彼は強いて不当に鬼の目を殺して文人趣味に堕し
盲
(
めし
)
い、彼のオモチャは特定人のオモチャ、彼一人のオモチャ、かたくなな細工物の性質を帯び
オモチャ箱
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
八郎兵衛はこの
盲
(
めし
)
いた右の眼のために死んだのだ、あのとき以来、あの過失を償う機会の来るのを待っていたのだ、伊達家のためもあるかも知れない
松風の門
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
一眼
盲
(
めし
)
いて
瞼
(
まぶた
)
垂れ下がり、他の一眼は
玲瓏
(
れいろう
)
と澄んで紫色の光を放し、じっとその眼で睨まれたならば
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
その眼附が花弁のように
盲
(
めし
)
いている。——彼女の皮膚は、場所柄になく非常に
細
(
こま
)
やかで綺麗だった。
溺るるもの
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「本物の山崎は棒をよく使ったが、拙者はあり合せの槍。おのおの騒ぐな、騒いで刀が
鞘走
(
さやばし
)
るようなことがあると、拙者の眼は
盲
(
めし
)
いたれど、この槍の先には眼がある」
大菩薩峠:08 白根山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ただ崖の客の
盲
(
めし
)
いたるは、紫鉛筆の粉のためといい伝えて、いずれも意外の毒に舌を巻くばかり。
わか紫
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
彼らは
盲
(
めし
)
ひたやうに手搜りで進みながら、たがひに相手を扉のやうに見出した。闇をこはがる子たちのやうに、二人はぴつたりと身を寄せあつた。けれども、彼らは怖がつてゐたのではなかつた。
旗手クリストフ・リルケ抄
(旧字旧仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
今まで
盲
(
めし
)
いていたような目に、まざまざとその大きな黒い顔が映った。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
ロチスター氏は、私共の結婚の最初の二年間、
盲
(
めし
)
ひのまゝであつた。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
燃えるとも濡れるともある
盲
(
めし
)
ひ病む君の可愛ゆきカナの
手紙
(
ふみ
)
読む
遺愛集:02 遺愛集
(新字新仮名)
/
島秋人
(著)
ああああわが
凡
(
すべて
)
の
官能
(
くわんのう
)
は
盲
(
めし
)
ひんとして静かに光る。
東京景物詩及其他
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
盲
(
めし
)
ひたりせめては秋の水音を
六百五十句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
盲
(
めし
)
ひたり、
躓
(
つまづ
)
かめ、
將來
(
ゆくすゑ
)
遠く
有明集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
ところが、醜女は恋をひけらかす性質のもので、さすが練達のあやか夫人も、わが性癖に
盲
(
めし
)
いて、千草さんの特異な性質を洞察することを忘れていた。
不連続殺人事件
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
そう云って振仰いだ青年の顔は、両眼とも
盲
(
めし
)
いていた。頭の坐りの異様なのは彼が盲人だったからであった。
夜明けの辻
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
盲
(
めし
)
いたようなおかしな夜明だと思ったが、縁側から眺めると、それは深い霧のためだった。
初秋海浜記
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
場合によれば、表向き、治兵衛をここへ呼んで逢わせるも
可
(
よ
)
かろう。あの
盲
(
めし
)
いた人、あの、いたいけな
児
(
こ
)
、鬼も見れば角がなごむ。——心配はあるまいものの、また
間違
(
まちがい
)
がないとも限らぬ。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
聾
(
ろう
)
したる、はた、
盲
(
めし
)
ひたる
円頂閣
(
まるやね
)
か、壁の
中風
(
ちゆうふう
)
。
邪宗門
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
天津日
(
あまつひ
)
も
盲
(
めし
)
ひたるらし
春鳥集
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
秀頼への愛に
盲
(
めし
)
ひて関白を奪ふ心を怖れた。人の思惑はどうでもよかつた。自分をだますことだけが必要だつた。能の嫉妬は憎悪の陰から秀頼の姿を消した。
我鬼
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
小次郎がどんな顔をして出るかと空想しながら、宗利はふとまた
盲
(
めし
)
いた方の眼へ手をやった。
松風の門
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
昨日から曇ったままの暗い陰鬱な空、ぼーっと
盲
(
めし
)
いた薄ら明り、濁ったままどんよりと湛えてる池の水、黙りこくった剥げちょろの建物、凡てが重々しく私の心にのしかかってきた。
悪夢
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
盲
常用漢字
中学
部首:⽬
8画
“盲”を含む語句
盲目
盲人
明盲
文盲
盲者
目盲
盲女
盲滅法
盲目滅法
俄盲目
盲探
盲目的
色盲
盲唖
盲信
盲暦
膏盲
盲御前
盲目突
盲昧
...