トップ
>
目敏
>
めざと
ふりがな文庫
“
目敏
(
めざと
)” の例文
夜更
(
よなか
)
に
目敏
(
めざと
)
い母親の
跫音
(
あしおと
)
が、夫婦の
寝室
(
ねま
)
の外の縁側に聞えたり、
夜
(
よ
)
の
未明
(
ひきあけ
)
に板戸を引あけている、いらいらしい声が聞えたりした。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
勘次
(
かんじ
)
は一
日
(
にち
)
の
仕事
(
しごと
)
を
畢
(
を
)
へて
歸
(
かへ
)
つて
來
(
き
)
ては
目敏
(
めざと
)
く
卯平
(
うへい
)
の
茶碗
(
ちやわん
)
を
見
(
み
)
て
不審
(
ふしん
)
に
思
(
おも
)
つて
桶
(
をけ
)
の
蓋
(
ふた
)
をとつて
見
(
み
)
た。
遂
(
つひ
)
に
彼
(
かれ
)
は
卯平
(
うへい
)
の
袋
(
ふくろ
)
を
發見
(
はつけん
)
した。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
「
要監視人
(
ようかんしにん
)
通告書」という紙が
載
(
の
)
っていて、そこに、「
間諜
(
かんちょう
)
フン大尉の件」という見出しのついていたのを、
目敏
(
めざと
)
く読みとった。
英本土上陸戦の前夜
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
勇士は霜の
気勢
(
けはい
)
を知るとさ——たださえ
目敏
(
めざと
)
い
老人
(
としより
)
が、この風だから寝苦しがって、フト起きてでもいるとならない、祝儀は置いた。帰るぜ。
歌行灯
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「おや、
肘
(
ひじ
)
をどうなすって? 怪我をなすっていらっしゃるじゃァありませんか」折江は
目敏
(
めざと
)
く、
良人
(
おっと
)
の肘の下が
蚯蚓腫
(
みみずばれ
)
になっているのを見付けた。
秘められたる挿話
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
▼ もっと見る
「一と間置いてこの私が寢てゐる。尤も年が若いから私もあまり
目敏
(
めざと
)
い方ではないが、——この樣子だと寢首を掻かれるのも知らずにゐるかも知れぬて」
銭形平次捕物控:226 名画紛失
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
女は恐そうに男の眼が異様に輝くのを眺めながら、おどおどと言って、男が承諾するかどうかを
目敏
(
めざと
)
く読んだ。
香爐を盗む
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
目敏
(
めざと
)
く見付けた乳母は、「さあ、やつと宵の明星さまがお手を触れて下さいました」といつて、ふうはりかの女を抱き取つて家へ入り、深々と寝床に沈めて
呉
(
く
)
れた。
夏の夜の夢
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
目敏
(
めざと
)
い将軍家は直ぐにそれに気が
注
(
つ
)
いたが、何喰はぬ顔をして、伊豆の
素振
(
そぶり
)
を見てゐた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
目敏
(
めざと
)
い新聞記者連に取り巻かれそうになりましたので、慌てて馬車を引返して、ちょうどお宅に面しております未決監の、
賄
(
まかない
)
部屋の勝手口から命からがら逃げ込む始末で御座いました。
霊感!
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
菜の
類
(
たぐい
)
の花を着けているからその類のものだろうと、別に食べる気でも食べさせる気でも無かったが、真鍮刀でその一茎を切って手にして一行のところへ
戻
(
もど
)
って来ると、鼠股引は
目敏
(
めざと
)
くも
野道
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
冬が近くて、天山はもうまっ白になり、
桑
(
くわ
)
の
葉
(
は
)
が黄いろに
枯
(
か
)
れてカサカサ
落
(
お
)
ちました
頃
(
ころ
)
、ある日のこと、童子が
俄
(
にわ
)
かに帰っておいでです。母さまが
窓
(
まど
)
から
目敏
(
めざと
)
く
見付
(
みつ
)
けて出て行かれました。
雁の童子
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
静子が
目敏
(
めざと
)
く見つけて、ためらっている彼の意識から「遠慮」をはぎとってしまった。彼は微笑して尾沢に会釈した。一つの火鉢を中心に、尾沢と静子ともう二人見知らぬ青年が坐っていた。
地上:地に潜むもの
(新字新仮名)
/
島田清次郎
(著)
僕が前の縁先に立つと奥に居たお
祖母
(
ばあ
)
さんが、
目敏
(
めざと
)
く見つけて出てくる。
野菊の墓
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
足早に出て行く主人の姿を、二疋の犬は
目敏
(
めざと
)
くも認めて追駆けた。
錆
(
さ
)
びた
鋸
(
のこぎり
)
と
桑剪
(
くはき
)
り
鋏
(
ばさみ
)
とをかたげた彼が、二疋の犬を従へて、一種得意げに再び庭へ現れたのは、五分とは経たないうちであつた。
田園の憂欝:或は病める薔薇
(新字旧仮名)
/
佐藤春夫
(著)
僕は帰りに
埃
(
ほこり
)
だらけの茶の間を
爪先
(
つまさき
)
で通り抜けて玄関へ出た。その時ついでに二人の寝ている座敷を
蚊帳越
(
かやご
)
しに
覗
(
のぞ
)
いて見たら、
目敏
(
めざと
)
い母も
昨日
(
きのう
)
の汽車の疲が出たせいか、まだ静かな
眠
(
ねむり
)
を
貪
(
むさ
)
ぼっていた。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
瑠璃子夫人は、
遉
(
さすが
)
に
目敏
(
めざと
)
く彼を見ると、
直
(
す
)
ぐ立ち上った。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
と奥さんは
目敏
(
めざと
)
く銀二郎君の微笑を見つけた。
心のアンテナ
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
お桐は
目敏
(
めざと
)
く之を見付けて
厄年
(新字旧仮名)
/
加能作次郎
(著)
それでも瀬を造って、低い処へ落ちる中に、流れて来たものがある、勇美子が
目敏
(
めざと
)
く見て、
腕捲
(
うでまく
)
りをして採上げたのは、不思議の花であった。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
痛
(
いて
)
えのか」おつぎは
目敏
(
めざと
)
くそれを
見
(
み
)
て
心
(
こゝろ
)
もとなげにいつた。おつぎは
窶
(
やつ
)
れて
沈
(
しづ
)
んだ
卯平
(
うへい
)
の
側
(
そば
)
に
居
(
ゐ
)
ると、
遂
(
つひ
)
自分
(
じぶん
)
も
沈
(
しづ
)
んで
畢
(
しま
)
つて
只
(
たゞ
)
凝然
(
ぢつ
)
と
悚
(
すく
)
んだやうに
成
(
な
)
つて
居
(
ゐ
)
るより
外
(
ほか
)
はなかつた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
あんな大穴を開けるのを、
目敏
(
めざと
)
いのが自慢の私が知らないはずはありません
銭形平次捕物控:014 たぬき囃子
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
いつも
目敏
(
めざと
)
くマユミを監視して、一知に聞えよがしに訓戒した。
巡査辞職
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
猿のやうに
目敏
(
めざと
)
い家光は、それを
見免
(
みのが
)
さなかつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
高縁へ腰を
蹂
(
にじ
)
って、
爪尖下
(
つまさきさが
)
りに
草鞋
(
わらじ
)
の足を、左の膝へ
凭
(
もた
)
せ掛けると、
目敏
(
めざと
)
く貴婦人が気を着けて
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
、
目敏
(
めざと
)
いのが自慢の私が知らない筈はありません
銭形平次捕物控:014 たぬき囃子
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
誰
(
た
)
が子
目敏
(
めざと
)
きふるまひぞ。
泣菫詩抄
(旧字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
確
(
たしか
)
に、カチリと、
簪
(
かんざし
)
の落ちた音。お拾いなすった間もなかったがと、御老体はお
目敏
(
めざと
)
い。
怨霊借用
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
目敏
(
めざと
)
そうな人物が、と驚いて手を
翳
(
かざ
)
すと、
薄
(
すすき
)
の穂を
揺
(
ゆすぶ
)
るように、すやすやと
呼吸
(
いき
)
がある。
草迷宮
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
この犬、一挙一動よく主婦の
意
(
こころ
)
を知る、今その座を立ったのを見ててっきり二階へ
上
(
あが
)
るのだと
目敏
(
めざと
)
く先へ立って飛出したのであるが、段を六ツばかり駈上ると、振返って
猶予
(
ためら
)
って待っている風情。
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
目
常用漢字
小1
部首:⽬
5画
敏
常用漢字
中学
部首:⽁
10画
“目”で始まる語句
目
目的
目出度
目前
目標
目貫
目覚
目論見
目下
目論