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法度
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ふりがな文庫
“
法度
(
はっと
)” の例文
村では
法度
(
はっと
)
まで出してこのしきたりを厳しく守り続けているといいます。地方に見られる日本の風俗として、美しいものの一つです。
民芸四十年
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
……この娘にだって、御邸内では
法度
(
はっと
)
でも、外には、
許嫁
(
いいなずけ
)
か、好きな男くらいはあるだろう。人にかくして書く
文
(
ふみ
)
もあろうじゃないか
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「情状
不憫
(
ふびん
)
にも思うが、天下のご
法度
(
はっと
)
をまげることは相成らぬ。遠島申しつけられるよう上へ上申するから、さよう心得ろ!」
右門捕物帖:08 卍のいれずみ
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
だが、其氏神祭りや、祭りの
後宴
(
ごえん
)
に、大勢の氏人の集ることは、とりわけやかましく言われて来た、三四年以来の
法度
(
はっと
)
である。
死者の書
(新字新仮名)
/
折口信夫
(著)
そして、わざと自転車の前に
法度
(
はっと
)
する子どもさえあった。そんなことがたびかさなると、その日家へ帰ったときの先生は、お母さんにこぼした。
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
▼ もっと見る
松倉勢
(
まつくらぜい
)
の敗報が、頻々と伝えられる。しかし、藩主
忠利侯
(
ただとしこう
)
は在府中である上に、みだりに援兵を送ることは、武家
法度
(
はっと
)
の固く禁ずるところであった。
恩を返す話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
平民殿様はすっかり下々のことを
呑込
(
のみこ
)
んでおります。「不義は御家の
厳
(
きつ
)
い
法度
(
はっと
)
」などは、この御殿では通用しません。
奇談クラブ〔戦後版〕:02 左京の恋
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「古傷に触れるはよくないこと、拙者としても本意でござらぬ、しかしこれとて止むを得ぬ儀、構わず卒直に申し上げる。……館の
法度
(
はっと
)
を破られたそうで?」
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
浪人共を召抱えても
法度
(
はっと
)
厳正に之を取締れば差支無いが、元来地盤が固く無い処へ安普請をしたように、規模が立たんで家風家法が確立して居ないところへ
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
室子の家の商品の鼈甲は始め、
玳瑁
(
たいまい
)
と呼ばれていた。徳川、天保の改革に幕府から厳しい
奢侈
(
しゃし
)
禁止令が出て女の髪飾りにもいわゆる金銀玳瑁はご
法度
(
はっと
)
であった。
娘
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
つまり、二人以上の重量が
法度
(
はっと
)
で、それが加わると、
松毬
(
コーン
)
の頂飾が開いて、この粉末が溢れ出すのだよ。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
「とにかく殺生禁断はいい」主馬が酔ったような声で、「こういう家があり、いつでも安心して肉が食えるのは、あの
法度
(
はっと
)
のおかげだからね、……なにか云うんだ」
山彦乙女
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
そこに、道有り、作法有り、不義は御家の
法度
(
はっと
)
とやら、万一そういうことがしったい致しました時には、憚りながら、ぽんぽんながら、この良庵が捨ておきませぬ。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
お家の
法度
(
はっと
)
を破って男を
拵
(
こしら
)
えて、
逐電
(
ちくでん
)
した不届き至極な奴め、眼に入り次第成敗いたしてくれん! と
猛
(
たけ
)
りたつようなことばかり並べたてて、表面を
繕
(
つくろ
)
っていました。
棚田裁判長の怪死
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
秀吉が奥州を「大しゆ」と書きしことさへ思ひ出されてなつかし、蕪村の
磊落
(
らいらく
)
にして
法度
(
はっと
)
に
拘泥
(
こうでい
)
せざりし事この類なり。彼は俳人が家集を出版することをさへ
厭
(
いと
)
へり。
俳人蕪村
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
「我が日の本の魂が、
凝
(
こ
)
り固まったる三尺の
秋水
(
しゅうすい
)
。天下
法度
(
はっと
)
の
切支丹
(
きりしたん
)
の邪法、いで
真二
(
まっぷた
)
つに……」
芝居狂冒険
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
なにしろ通貨をあつかう場所なので、金局の平役以下、手伝い、小役人、吹所の棟梁、手伝い、職人らはみな金座地内の長屋にすみ、
節季
(
せっき
)
のほかは門外に出ることは
法度
(
はっと
)
。
顎十郎捕物帳:07 紙凧
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
この小さな日本を六十幾つに
劃
(
しき
)
って、ちょっと隣へ往くにも関所があり、税関があり、人間と人間の間には階級があり格式があり
分限
(
ぶんげん
)
があり、
法度
(
はっと
)
でしばって、習慣で固めて
謀叛論(草稿)
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
あたかもお
館
(
やかた
)
の
法度
(
はっと
)
を犯して裏庭から
御台
(
みだい
)
のお
情
(
なさけ
)
で落ちて
行
(
ゆ
)
くように、
腕車
(
くるま
)
で歌枕に送られたが、後を知らず、顔色も悪く未明に起きると、帯を取って、
小取廻
(
ことりまわし
)
に
尖
(
さき
)
を渡して
湯島詣
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
天下御
法度
(
はっと
)
の現金輸送という奴で、紙幣のまま
封込
(
ふうじこ
)
んだ添手紙が新聞社宛に托される。
青バスの女
(新字新仮名)
/
辰野九紫
(著)
大略公園地の
法度
(
はっと
)
に準じ、
賦金
(
ふきん
)
または有志の寄附金等をもって、都会の地ごとに壮麗・宏雄なる公堂を建築し、衆庶公楽の
処
(
ところ
)
となし、
上
(
かみ
)
は
(ママ)
皇上より
下
(
しも
)
は平民に至るまで
国楽を振興すべきの説
(新字新仮名)
/
神田孝平
(著)
角町や○○町は銀行不首尾以来お
法度
(
はっと
)
になっている。お父さんを見送りに行った帰りも、卓造君が一緒だったので漸く日のある中にお神輿を上げたくらいだから、常に警戒を要する。
村の成功者
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
蔭間は
法度
(
はっと
)
になっているが、そこは裏があって、吉町へ行けば、古川に水絶えずで、いくらでも呼んで遊べる、ことに、この金筒のお倉婆あ、その方に最もつてがあるとのことだから
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それは国際法から見て局外中立の
法度
(
はっと
)
を破るものであるから、敵視せらるるに至ることはもちろんである、万一、これを破るものは軍法によって捕虜とせられ、その積み荷は没収せられ
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ロミオ
其樣
(
そのやう
)
に
貧
(
まづ
)
しうあさましう
暮
(
くら
)
してゐても、
汝
(
おぬし
)
は
死
(
し
)
ぬるのが
怖
(
おそろ
)
しいか?
飢
(
うゑ
)
は
頬
(
ほゝ
)
に、
逼迫
(
ひっぱく
)
は
眼
(
め
)
に、
侮辱
(
ぶじょく
)
貧窮
(
ひんきう
)
は
背
(
せ
)
に
懸
(
かゝ
)
ってある。
無情
(
つれな
)
い
此
(
この
)
浮世
(
うきよ
)
に
法度
(
はっと
)
はあっても、つゆ
汝
(
おぬし
)
の
爲
(
ため
)
にはならぬ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
利欲の誘いにかかれば、
法度
(
はっと
)
も暴風雨も、ものの数ではなかったのである。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
勿論、武家
法度
(
はっと
)
のうちにも武士は歌舞伎を見るべからずという個条はないようですが、それでも自然にそういう習慣が出来てしまって、武士は先ずそういう場所へ立寄らないことになっている。
三浦老人昔話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
優婉
(
ゆうえん
)
で、美しい。「掟きびしき白玉の、露にも濡れしことはなく」——色恋を
法度
(
はっと
)
として遮断されていた
初心
(
うぶ
)
な御殿女中が、はじめて知った男への恋慕のきびしさに、とりのぼせる
所作事
(
しょさごと
)
らしい。
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
七月、タバコ
法度
(
はっと
)
之事、
弥
(
いよいよ
)
被
レ
禁ト云々、火事其外ツイエアル故也。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
「そうじゃありませんがね。ここではお茶漬はご
法度
(
はっと
)
なんですよ」
いやな感じ
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
「めッそうもない。
沙門
(
しゃもん
)
のお方に酒を売るのは御本山の
法度
(
はっと
)
なんで、そんなことしたら、てまえはこの土地に住めなくなります」
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
もとより直訴は天下のご
法度
(
はっと
)
、
沸然
(
ふつぜん
)
としてわきたったのは当然なことです。声が飛び、人が飛んで、訴人はたちまち近侍の者たちが高手小手。
右門捕物帖:27 献上博多人形
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
その左門を、自分が、父の敵として討つということは、ご
法度
(
はっと
)
の、「又敵討ち」になろうではあるまいか
血曼陀羅紙帳武士
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
治部
少輔
(
しょうゆう
)
の旧直領として厳しい御詮議だったというから、新領主の
法度
(
はっと
)
は重いものに、違いない、家や田畑はどうなったろう、母や妻はどんな身の上に落ちたろうか
蜆谷
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「ウム、玄々斎を当ってみよう。死相を占うのは
法度
(
はっと
)
だ、構わないからうんと脅かしてみるがいい」
銭形平次捕物控:094 死相の女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
天正十八年末、徳川幕府は全国に亙って切利支丹、
法度
(
はっと
)
たるべき禁令を
布
(
し
)
いた。これより宗門の徒の迫害を受けること甚だしく、幾多の殉教哀史をとどめて居ること世人の知るが如くである。
島原の乱
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
綱吉が武家
法度
(
はっと
)
十五ヶ条で大名旗本が遊里に入ることを禁じてから、吉原で大名の姿を見かけたのは、五十年以来のことだったばかりでなく、取巻きの原武太夫以下、はらやの
小八
(
こはち
)
、湯屋の五平
鈴木主水
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
そうなると、これからの時勢は、右の不言実行の
法度
(
はっと
)
が厳しくなる!
大菩薩峠:36 新月の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ならば、
貧
(
ひん
)
を
守
(
まも
)
るにも
及
(
およ
)
ばぬ。
法度
(
はっと
)
を
犯
(
をか
)
して
之
(
これ
)
を
取
(
と
)
りゃれ。
ロミオとヂュリエット:03 ロミオとヂュリエット
(旧字旧仮名)
/
ウィリアム・シェークスピア
(著)
「すると先ずお
法度
(
はっと
)
ですな?」
勝ち運負け運
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
そうでなくとも、ああいう他国者の渡り芸人たちゃ仲間のしめしもきびしいが、うちわどうしの成敗
法度
(
はっと
)
もきびしいんだ。
右門捕物帖:33 死人ぶろ
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
むかし南陽の
張津
(
ちょうしん
)
は、交州の太守となりながら、漢朝の
法度
(
はっと
)
を用いず、聖訓をみな捨ててしまった。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「間抜けだな、——不義はお家のきつい
法度
(
はっと
)
だ、社内で変なことをすると、容赦もなく首だよ」
笑う悪魔
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
以上はおもなもので、他にも三十余カ条にわたる禁令
法度
(
はっと
)
が列記されている。
三悪人物語:忍術千一夜 第二話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
「友食いばかりはご
法度
(
はっと
)
だよ」
血煙天明陣
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
主人が一つ一つの
桐箱
(
きりばこ
)
に入念な封印をほどこし御用倉へ厳重に納めてしまいましたゆえ、心はあせっても手が出せず、何をいうにも不義はお家の
法度
(
はっと
)
と
右門捕物帖:28 お蘭しごきの秘密
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
先頃、この魯粛を伴うて、暗夜、ひそかに江をさかのぼり、北岸の敵陣をうかがいみるに、水陸の
聯鎖
(
れんさ
)
も完く、兵船の配列、
水寨
(
すいさい
)
の構築など、実に
法度
(
はっと
)
によく
叶
(
かな
)
っている。
三国志:07 赤壁の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかしおみのに云われてみると、そういう
法度
(
はっと
)
があったようにも思えた。
五瓣の椿
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
この始末は「
寛政重修諸家譜
(
かんせいちょうしゅうしょかふ
)
」
並
(
ならび
)
に「
二川随筆
(
ふたかわずいひつ
)
」に詳しく見えましたが、私の
争
(
あらそい
)
は厳重な
法度
(
はっと
)
で、長坂家は断絶、井上外記の子半十郎正景、稲富喜太夫の子
喜三郎直久
(
きさぶろうなおひさ
)
は、共に士籍を削って追放
江戸の火術
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
長崎
(
ながさき
)
表に根城を構えて、遠くは
呂宋
(
るそん
)
、
天竺
(
てんじく
)
あたりまでへもご
法度
(
はっと
)
の密貿易におもむく
卍組
(
まんじぐみ
)
の一味にござりました。
右門捕物帖:08 卍のいれずみ
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
“法度”の意味
《名詞》
法度(はっと)
法律。
禁制。禁令。
(「御法度」の形で)禁止事項。禁止されている行為。
(出典:Wiktionary)
法
常用漢字
小4
部首:⽔
8画
度
常用漢字
小3
部首:⼴
9画
“法度”で始まる語句
法度令
法度汁