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椎
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しひ
ふりがな文庫
“
椎
(
しひ
)” の例文
渠
(
かれ
)
がまだ故郷にゐた時、姉や友達につれられて、山へ
椎
(
しひ
)
の
實
(
み
)
を拾ひに行つたことが度々あるが、その椎の實の味を思ひ出す樣な味がする。
泡鳴五部作:04 断橋
(旧字旧仮名)
/
岩野泡鳴
(著)
枳殼垣の外には
椎
(
しひ
)
の樹が二三本、それは近所の洗濯物の干場に利用されてあります。表へ廻ると、直助とお辰はけろりとして迎へました。
銭形平次捕物控:141 二枚の小判
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
また“まづたのむ
椎
(
しひ
)
の木もあり夏木立”と
詠
(
よ
)
み、余生をここに息づいたのみか、大坂で病んで死んだが、遺言によって、遺骸も
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
塀
(
へい
)
から
押
(
おつ
)
かぶさりました、
其
(
そ
)
の
大
(
おほき
)
な
椎
(
しひ
)
の
樹
(
き
)
の
下
(
した
)
に
立
(
た
)
つて、
半紙
(
はんし
)
四
(
よ
)
つ
切
(
ぎ
)
りばかりの
縱長
(
たてなが
)
い——
膏藥
(
かうやく
)
でせう——
其
(
それ
)
を
提灯
(
ちやうちん
)
の
上
(
うへ
)
へ
翳
(
かざ
)
して、はツはツ
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
椎
(
しひ
)
の木はこのつつましさの為に我我の親しみを呼ぶのであらう。又この憂鬱な影の為に我我の
浮薄
(
ふはく
)
を戒めるのであらう。
わが散文詩
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▼ もっと見る
如何なる亂暴な運命の力の爲めの支配よりも圭一郎が新しい住處を
怖
(
お
)
じ畏れたことは、崖上の
椎
(
しひ
)
の木立にかこまれてG師の會堂の尖塔が見えることなのだ。
崖の下
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
六月半ば、
梅雨晴
(
つゆば
)
れの午前の光りを浴びてゐる
椎
(
しひ
)
の若葉の
趣
(
おもむき
)
を、ありがたくしみ/″\と
眺
(
なが
)
めやつた。
椎の若葉
(新字旧仮名)
/
葛西善蔵
(著)
そうすれば、椎の小枝を折ってそれに飯を盛ったと解していいだろう。「片岡の
此
(
この
)
向
(
むか
)
つ
峯
(
を
)
に
椎
(
しひ
)
蒔かば今年の夏の陰になみむか」(巻七・一〇九九)も
椎
(
しい
)
であろうか。
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
本當
(
ほんたう
)
に
此處
(
こゝ
)
へ
來
(
き
)
て
居
(
ゐ
)
ちや
毎日
(
まいんち
)
のやうに
木
(
き
)
から
落
(
おつこ
)
つたつち
怪我人
(
けがにん
)
が
來
(
く
)
んだよまあ、
椎
(
しひ
)
の
木
(
き
)
から
落
(
おつこ
)
つたの
栗
(
くり
)
の
木
(
き
)
から
落
(
おつこ
)
つたのつて、
子供
(
こども
)
の
怪我
(
けが
)
は
大概
(
てえげえ
)
さうなんだから、
男
(
をとこ
)
つ
子
(
こ
)
持
(
も
)
つちや
心配
(
しんぺえ
)
さねえ
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
立ち寄らん
蔭
(
かげ
)
と頼みし
椎
(
しひ
)
が
本
(
もと
)
むなしき床になりにけるかな
源氏物語:48 椎が本
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
庭の
面
(
も
)
に月の光のありしとき
楓
(
かへで
)
の影も
椎
(
しひ
)
とありにし
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
椎
(
しひ
)
の落葉はつもりたり。
偏奇館吟草
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
うらの
菜園
(
さゑん
)
の
椎
(
しひ
)
の木に
どんたく:絵入り小唄集
(新字旧仮名)
/
竹久夢二
(著)
五葉は黒し
椎
(
しひ
)
の木の
若菜集
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
塀の内からは
椎
(
しひ
)
の大枝に飛び付くことなどは思ひも寄らないとなると、忍び込んだ曲者は、何處から逃げ出したか、平次も其處までは謎が解けません。
銭形平次捕物控:220 猿蟹合戦
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
餘
(
あんま
)
りですから、
主人
(
あるじ
)
が
引返
(
ひつかへ
)
さうとした
時
(
とき
)
です……
藥賣
(
くすりうり
)
の
坊主
(
ばうず
)
は、
柄
(
え
)
のない
提灯
(
ちやうちん
)
を
高々
(
たか/″\
)
と
擧
(
あ
)
げて、
椎
(
しひ
)
の
樹
(
き
)
の
梢越
(
こずゑご
)
しに、
大屋根
(
おほやね
)
でも
見
(
み
)
るらしく、
仰向
(
あをむ
)
いて
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
椎
(
しひ
)
の木の姿は美しい。幹や枝はどんな線にも大きい底力を示してゐる。その上枝を
鎧
(
よろ
)
つた葉も鋼鉄のやうに光つてゐる。この葉は
露霜
(
つゆじも
)
も落すことは出来ない。
わが散文詩
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
家
(
いへ
)
にあれば
笥
(
け
)
に
盛
(
も
)
る
飯
(
いひ
)
を
草枕
(
くさまくら
)
旅
(
たび
)
にしあれば
椎
(
しひ
)
の
葉
(
は
)
に
盛
(
も
)
る 〔巻二・一四二〕 有間皇子
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
其
(
そ
)
の
門
(
もん
)
が、
又
(
また
)
……
貴方
(
あなた
)
、
表
(
おもて
)
でもなければ
潛
(
くゞ
)
りでもなくつて、
土塀
(
どべい
)
へついて
一𢌞
(
ひとまは
)
り
𢌞
(
まは
)
りました、
大
(
おほき
)
な
椎
(
しひ
)
の
樹
(
き
)
があります、
裏門
(
うらもん
)
で
木戸口
(
きどぐち
)
だつたと
申
(
まを
)
すんです。
浅茅生
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
竹から竹を傳はつて
枳殼垣
(
からたちがき
)
を越え、
椎
(
しひ
)
の
樹
(
き
)
を
滑降
(
すべりお
)
りて、下の往來に立つたのは、思ひも寄らぬ見事な體術です。
銭形平次捕物控:141 二枚の小判
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
彼はひとり籐椅子に坐り、
椎
(
しひ
)
の若葉を眺めながら、度々死の彼に与へる平和を考へずにはゐられなかつた。
或阿呆の一生
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「
椎
(
しひ
)
の
木
(
き
)
松浦
(
まつうら
)
」のあつた昔は
暫
(
しばら
)
く問はず、「江戸の
横網
(
よこあみ
)
鶯の鳴く」と
北原白秋
(
きたはらはくしう
)
氏の歌つた
本所
(
ほんじよ
)
さへ今ではもう「歴史的
大川端
(
おほかははた
)
」に変つてしまつたと言ふ外はない。
本所両国
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
「お孃さんの許婚の秋月勘三郎、お孃さんとの間を割かれて、氣が變になつて居ますよ。これは武藝も相當で、
椎
(
しひ
)
の木の上から槍の穗くらゐは飛ばし兼ねませんね」
銭形平次捕物控:220 猿蟹合戦
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
外から覗くやうに冠さつた
椎
(
しひ
)
の木の大枝があつて、それを傳つて來れば少し身輕なものなら、外の往來から、樂々と塀の上の忍び返しを越せることがわかつたのです。
銭形平次捕物控:220 猿蟹合戦
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
椎
(
しひ
)
の木や
銀杏
(
いてふ
)
の中にあるのは、——夕ぐれ
燈籠
(
とうろう
)
に火のともるのは、茶屋
天然自笑軒
(
てんねんじせうけん
)
。
続野人生計事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
椎
(
しひ
)
わたしもそろそろ
芽
(
め
)
をほごしませう。このちよいと鼠がかつた芽をね。
続野人生計事
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
土手の向うには土手が又一つあり、そこにはなかば枯れかかつた
椎
(
しひ
)
の木が一本
斜
(
ななめ
)
になつてゐた。あの機関車——3271号はムツソリニである。ムツソリニの走る軌道は或は光に満ちてゐるであらう。
機関車を見ながら
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
本所
(
ほんじよ
)
会館は震災
前
(
ぜん
)
の
安田家
(
やすだけ
)
の跡に建つたのであらう。安田家は確か
花崗石
(
くわかうせき
)
を使つたルネサンス式の建築だつた。僕は
椎
(
しひ
)
の木などの茂つた中にこの建築の立つてゐたのに明治時代そのものを感じてゐる。
本所両国
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
椎
(
しひ
)
の木
わが散文詩
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
椎
常用漢字
中学
部首:⽊
12画
“椎”を含む語句
脊椎
頭椎
香椎
椎茸髱
足名椎
椎茸
椎根津彦
生椎茸
頸椎
鉄椎
手名椎
椎名
椎塚
脊椎骨
野椎
椎蕈
塩椎神
椎野
金椎
椎葉
...