根本こんぽん)” の例文
其故それゆゑわたくしじゆくではこの規則きそく精神せいしん規則きそく根本こんぽんかへつて、各個人かくこじん都合つがふといふところを十ぶん了解れうかいせしむるといふ方針はうしんとつるのであります。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
とんだ御説法ごせっぽうになりましたが、筋をいやアそんなわけ。根本こんぽんのところは、こんなつまらないことで、あなたをしくじらせたくないと思うから。
顎十郎捕物帳:10 野伏大名 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
日の若い単純たんじゅんも、複雑な今日も、根本こんぽんの人情に差違はない。唯真故新ただしんゆえにしん、古い芸術も新しい耳によく解せられるのである。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
末梢まっしょうにかまっていては、政治はできぬ。要は、根本こんぽんの君とおはなし合いをすすめるにある。そちのような覇力はりょく一方をもって臨んでは、せっかくな和議も無意義。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ものの根本こんぽんをわきまへず、親分の顏——つらがたたねえといふだけで、蝗螽いなごのやうに跳ねあがる。今日でも、支那の古い方面では、何事も面態、めんずといふさうだ。
凡愚姐御考 (旧字旧仮名) / 長谷川時雨(著)
チョエン・ジョェという大法会だいほうえ は私共がかつて見たことのない法会で、今図面に現われて居るように二町四面の釈迦堂のその中に、一町四面の根本こんぽん釈迦堂がある。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
彼女が叩いていた「樋口」という姓には、又彼女が樋口と呼ばれて何の躊躇ちゅうちょもなく返事をした事実には、実はこの物語の根本こんぽんに関する大きな意味が含まれていたからである。
孤島の鬼 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
しからば化物ばけものかんがへはどうしてたか、これ研究けんきうするのは心理學しんりがく領分れうぶんであつて、吾々われ/\門外漢もんぐわいかんであるが、わたしかんがへでは「自然界しぜんかいたいする人間にんげん觀察くわんさつ」これがこの根本こんぽんであるとおもふ。
妖怪研究 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
まだ朝が早いので一山の本堂とも云ふべき根本こんぽん中堂といふ大きな御堂の扉もあいて居らず、行き逢ふ人もなく、心細く細かな徑を歩いて居ると次第に烈しく杉の梢から雫が落ちて來る。
比叡山 (旧字旧仮名) / 若山牧水(著)
そして、わざと微笑を漏らしながら、「間違つて貰つては困りますよ、これは根本こんぽんのところ僕が僕の妻に對する不平であつて、決してあなたがたに關して云つてるのぢやアないのですから——」
泡鳴五部作:03 放浪 (旧字旧仮名) / 岩野泡鳴(著)
かような根本こんぽん相違そういがあるうへに、器械きかい大抵たいてい地面ぢめん其物そのもの震動しんどう觀測かんそくするようになつてゐるのに、體驗たいけんもつはかつてゐるのは家屋かおく振動しんどうであることがおほい、もし其家屋そのかおく丈夫じようぶ木造もくぞう平家ひらやであるならば
地震の話 (旧字旧仮名) / 今村明恒(著)
いひへてると自分じぶんこゝろがわかつていたゞくように、説明せつめいをし、おねがひをし、おびをするもので、根本こんぽん精神せいしんにおいては、このとほり、わたしどもは服從ふくじゆうまをしてをります、といふちかひの意味いみになります。
歌の話 (旧字旧仮名) / 折口信夫(著)
まず根本こんぽんに、火事のさいに多くの人がひなんし得る、大公園や、広場や大きな交通路、その他いろいろの地割じわりをきめた上、こみ入ったところには耐火的のたて物以外にはたてさせないように規定して
大震火災記 (新字新仮名) / 鈴木三重吉(著)
只今大膳よりきゝ及び承知したりしか箇樣かやう大望たいまうは中々うきたる事にては成就じやうじゆ覺束おぼつかなしまづ根本こんぽんより申合せてたくまねば萬一まんいち中折なかをれして半途はんと露顯ろけんに及ぶ時は千辛萬苦せんしんばんくも水のあわなるばかりか其身の一大事に及ぶべし先名乘なのり出る時は必ず其生れ所とそだちし所を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
上 忘られぬのが根本こんぽんじょう
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
根本こんぽん、敵たる者は、どうしようもない。したが、さまでにはなくて、ただ生きんがための方向に迷い、やむなく旗を敵に託した者などは、また何かの機には前非ぜんぴ
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
インドにおいては、地理ちり歴史れきし關係くわんけいから、北部ほくぶ南部なんぶとでは根本こんぽんから言語げんごがちがふので、インドじん同士どうし英語えいごもつ會話くわいわこゝろみてゐるのをてインドが到底たうてい獨立どくりつざるゆゑんをさとつた。
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)