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みぞう
ふりがな文庫
“
未曾有
(
みぞう
)” の例文
新字:
未曽有
それに
屠蘇
(
とそ
)
気分が加わったのであるから、去年の下半季の不景気に引きかえて、こんなに景気のよい新年は
未曾有
(
みぞう
)
であるといわれた。
正月の思い出
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
赤い燈、青い燈、のカフエがある。街中の店という店ではラジオが呼んでいる。かくて、今や世界は
未曾有
(
みぞう
)
の速力と混乱が到来した。
大衆文芸作法
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
太子はかの
未曾有
(
みぞう
)
の日に、外来の危機を
憂
(
うれ
)
い、また血族の
煩悩
(
ぼんのう
)
や争闘にまみれ行く姿を御覧になって捨身を念じられたのであったが
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
しかも、時は、正月でもあったし、大宝八幡を中心として、おそらく
未曾有
(
みぞう
)
な混雑と活況が、この土地を沸きかえしたことであろう。
平の将門
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
六十八歳の坂田が一生一代の対局にこの端の歩突きという棋界
未曾有
(
みぞう
)
の新手を試してみたという青春には、一層驚かされるではないか。
可能性の文学
(新字新仮名)
/
織田作之助
(著)
▼ もっと見る
それだけの
前古
(
ぜんこ
)
未曾有
(
みぞう
)
の大成功を収め得た八人は、
上
(
のぼ
)
りにくらべてはなお一倍おそろしい氷雪の危険の路を用心深く
辿
(
たど
)
りましたのです。
幻談
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
この古今
未曾有
(
みぞう
)
の荘厳な大歓迎は、それは丁度、コルシカの平民ナポレオン・ボナパルトの腹の田虫を見た一少女、ハプスブルグの娘
ナポレオンと田虫
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
長句の用ゐ方など古今
未曾有
(
みぞう
)
にて、これを詠みたる人もさすがなれど、この歌を勅撰集に加へたる勇気も称するに足るべくと存候。
歌よみに与ふる書
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
とにかく全部で十四人の人数の出ていることに、勅撰集としては
未曾有
(
みぞう
)
のことであった。朝幕関係がまざまざと反映してきている。
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
それが
未曾有
(
みぞう
)
の素早さで、あとからあとから人間に押し寄せて来た。その目まぐろしさが戦争突発以後ますます物狂おしく高まって来る。
世界の変革と芸術
(新字新仮名)
/
和辻哲郎
(著)
よろしい、それでは一つ、しんじつ
未曾有
(
みぞう
)
、雲散霧消の結末つくって、おまえのくさった腹綿を煮えくりかえさせてあげるから。
二十世紀旗手
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
しかし、痛手の急性の現われは何といっても、この春財界を襲った
未曾有
(
みぞう
)
の
金融
(
きんゆう
)
恐慌
(
きょうこう
)
で、花どきの終り頃からモラトリアムが
施行
(
しこう
)
された。
金魚撩乱
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
さながら
虹
(
にじ
)
のごとき色さまざまな光景をも想像し、この
未曾有
(
みぞう
)
の行幸を拝する沿道人民の熱狂にまで、その想像を持って行った。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
幕末維新の時代は、政治的にこそ
未曾有
(
みぞう
)
の活躍時代であったれ——文学的には、このくらいくだらない時代はありませんでした。
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
梵施王の第一大臣この夫婦を招き音楽を聴くに
未曾有
(
みぞう
)
にうまいから、乞食をやめさせ自邸に住ましめ扶持して琴を指南せしむ。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
咸臨丸ソレカラ私が江戸に来た翌年、
即
(
すなわ
)
ち安政六年冬、徳川政府から
亜米利加
(
アメリカ
)
に軍艦を
遣
(
や
)
ると
云
(
い
)
う日本
開闢
(
かいびゃく
)
以来、
未曾有
(
みぞう
)
の事を決断しました。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
彼女は偉大な前後
未曾有
(
みぞう
)
の奇跡を語ることばに近づいた。偉大な勝利感が彼女をつかんだ。彼女の声は金属のようにさえた響きを帯びてきた。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
将に来らんとする皇国
未曾有
(
みぞう
)
の危機たる蒙古襲来に当らうとしてゐたことは、北條氏が、無意識の裡に行つてゐたせめてもの罪滅ぼしであらう。
二千六百年史抄
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
未曾有
(
みぞう
)
の悪気流と闘って四十日間の滞空に堪え、いかなる濃霧の中でも発着することのできる成層圏用大型飛行艇の建造が、この目的のために
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
惟光
(
これみつ
)
や
良清
(
よしきよ
)
らは、自身たちの命はともかくも源氏のような人が
未曾有
(
みぞう
)
な不幸に終わってしまうことが大きな悲しみであることから、気を引き立てて
源氏物語:13 明石
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
しかし一方、
聚楽第
(
じゅらくだい
)
にいる秀次は、これらの
未曾有
(
みぞう
)
の大作業が
捗
(
はかど
)
って行くに従ってどう云う感じを抱いたであろうか。
聞書抄:第二盲目物語
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
とにかく、今は我国は
未曾有
(
みぞう
)
の非常時局に直面しているのであるから、取り
敢
(
あ
)
えずは、日本意識に眼覚めた科学などに注意を向ける暇はないはずである。
語呂の論理
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
百貨店の片腕事件が
未曾有
(
みぞう
)
の珍事であった上に、被害者が若い娘であること、加害者が非常に曖昧なこと、その上一寸法師の怪談までそろっているのだから
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
総員四万名に余る
未曾有
(
みぞう
)
の大宇宙遠征隊の目的は、ここに
半
(
なか
)
ばを達したのだ。この至るところにあるムビウムを、どんどん採集して地球に持ち帰ればいいのだ。
大宇宙遠征隊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
将又
(
はたまた
)
明六社なる者が其
領袖
(
りやうしう
)
西
周
(
あまね
)
、津田
真道
(
まみち
)
、森有礼等に
因
(
よ
)
りて廃刀論、廃帝論、男女同権論の如き日本歴史に
未曾有
(
みぞう
)
なる新議論を遠慮会釈なく
説
(
と
)
き立てしが如き
明治文学史
(新字旧仮名)
/
山路愛山
(著)
されどなお近来
未曾有
(
みぞう
)
の
大獄
(
たいごく
)
にて、一度に総数を入るる法廷なければ、仮に六十三名を
九組
(
ここのくみ
)
に分ちて各組に三名ずつの弁護士を附し、さていよいよ廷は開かれぬ。
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
扨而
(
さて
)
此の二日の大地震は前古
未曾有
(
みぞう
)
にて、御同樣杖とも又柱とも
頼
(
たより
)
に致居候水戸の藤田戸田之兩雄も
搖打
(
ゆりうち
)
に被
レ
逢、
黄泉
(
よみぢ
)
の客と被
レ
成候始末、如何にも痛烈之至り
遺牘
(旧字旧仮名)
/
西郷隆盛
(著)
今度の
未曾有
(
みぞう
)
の大戦乱の今までに、天体の不思議な怪異が各軍の迷信を誘った例も決して少なくない。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
「ははは、構わん、遣れ。あの花売は
未曾有
(
みぞう
)
の
尤物
(
ゆうぶつ
)
じゃ、また貴様が
不可
(
いけ
)
なければ
私
(
わし
)
が占めよう。」
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
未曾有
(
みぞう
)
の大戦に当たり、この要職に任ぜられた時、——彼についてすでに一文を草したが、今総理大臣となると聞くに及び、重ねてこの一文をしるすことを禁じ得ぬ。
貧乏物語
(新字新仮名)
/
河上肇
(著)
それから——それからは
未曾有
(
みぞう
)
の激戦である。
硝煙
(
しょうえん
)
は見る見る山をなし、敵の砲弾は雨のように彼等のまわりへ爆発した。しかし
味
(
み
)
かたは勇敢にじりじり敵陣へ
肉薄
(
にくはく
)
した。
少年
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
松平伊豆守が右門に小田切久之進のその素姓を物語ったごとく、新規お旗本にお取り立てという古今
未曾有
(
みぞう
)
の出世となったわけで、だからその功を盗まれた彼女らの父親が
右門捕物帖:02 生首の進物
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
奉天に
集注
(
しゅうちゅう
)
していました。今や我軍はこれに対して総攻撃を試み、
未曾有
(
みぞう
)
の大勝利であります
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
かれとしては
未曾有
(
みぞう
)
のことには、さっきこうして
真
(
ま
)
っぴるまひょいと裏門からはいって来たのだが、いかなる
妖術
(
ようじゅつ
)
を心得ているものか、誰ひとり家人にも見とがめられずに
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
「一寸参堂仕り
度
(
たく
)
候えども、大兄の消極主義に反して、出来得る限り積極的方針を
以
(
もっ
)
て、此千古
未曾有
(
みぞう
)
の新年を迎うる計画故、毎日毎日目の廻る程の多忙、御推察願上
候
(
そろ
)
……」
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
あれからどのくらいの年月がたったか。日本にも大きな戦争があり、世の中のすべてがあわただしく変化したが、世界にも
未曾有
(
みぞう
)
の惨劇があり、
欧洲
(
おうしゅう
)
文化に大混乱を来たした。
仮装人物
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
それも最初の間はさながらにこうした
未曾有
(
みぞう
)
の満員状態を面白がっているような盲目的な拍手に蔽われて、言葉がよく聞き取れなかったが、その
中
(
うち
)
に群集のドヨメキが静まると
二重心臓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
大体においてこの三種に分つべき人々に由って
未曾有
(
みぞう
)
の混乱状態を引起しています。
激動の中を行く
(新字新仮名)
/
与謝野晶子
(著)
ヘンデルの英国における発展は
未曾有
(
みぞう
)
のものであった。外国人にして王室作曲官となり、アン女王の御覚え目出たいにつけても、ハノーヴァ王家に対する気まずさがないではなかった。
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
戦争の問題については、世界の物理学者は特に寝ざめが悪いことだろうと思う。物理学者が研究し、努力したればこそ、原子爆弾が作られ、それによって戦争の惨害は古今
未曾有
(
みぞう
)
の恐怖となった。
キリスト教入門
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
研鑽八ヶ年の後二つの学位をうけ、本年初頭帰朝の予定となりしも、それに先きだち、二年前英人技師クロード・ディグスビイを派遣して、既記の地に本邦
未曾有
(
みぞう
)
とも云う大西洋建築を起工せり。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
なかんずく江戸及び北京の文運が
将
(
まさ
)
に花を開こうとした頃には、自家もまた古今
未曾有
(
みぞう
)
の黄金時代に到達していたのでございます。これやがて両国の文明が海南の小王国に於て相調和したのである。
琉球史の趨勢
(新字新仮名)
/
伊波普猷
(著)
未曾有
(
みぞう
)
の富を積み、町人の身をもって大名の家へ用人格におさまったり、おびただしい田畑新田などを持って、なに不自由なく暮しながら、餓死に迫られている貧民乞食を救おうともしない、とか。
花も刀も
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
全く四谷のようなとこでは、
未曾有
(
みぞう
)
の事だったのかも知れない。
四谷、赤坂
(新字新仮名)
/
宮島資夫
(著)
桟敷の手摺りをたたく者がある、しまいには
鬨
(
とき
)
をつくって
囃
(
はや
)
し立てるという
未曾有
(
みぞう
)
の
騒擾
(
そうじょう
)
を演出したので、他の観客もおどろかされた。
明治劇談 ランプの下にて
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
果てなくお供にしたがって、沿道は、数万の見物が押しあいへし合い、その盛観と、洛中の人出は、古今
未曾有
(
みぞう
)
なものであったといわれた。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
長句の用い方など古今
未曾有
(
みぞう
)
にてこれを詠みたる人もさすがなれどこの歌を
勅撰集
(
ちょくせんしゅう
)
に加えたる勇気も称するに足るべくと存候。
歌よみに与ふる書
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
この国の歴史あって以来の
未曾有
(
みぞう
)
の珍事とも言うべき外国公使の
参内
(
さんだい
)
を正香と共に丸太町通りの
町角
(
まちかど
)
で目撃したことを語った。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
苦しくとも、苦しと一言、半句、叫び得ぬ、古来、
未曾有
(
みぞう
)
、人の世はじまって以来、前例も無き、底知れぬ地獄の気配を、ごまかしなさんな。
斜陽
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
そこで印税としても
未曾有
(
みぞう
)
の収入を見たという次第である、その後引続いての円本形式をもとの形に引き直そうとしたが
生前身後の事
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
“未曾有”の意味
《名詞》
未曾(曽)有(みぞう)
今まで起こったことの無いこと。とても珍しいこと。
(出典:Wiktionary)
未
常用漢字
小4
部首:⽊
5画
曾
部首:⽈
12画
有
常用漢字
小3
部首:⽉
6画
“未曾”で始まる語句
未曾