しょ)” の例文
なぜかなら、にわかなしょの到来で、江戸守備の任にある尾州藩の当主が京都をさして木曾路を通過することを知ったからで。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
卒然としてこのしょのみを読めば、王に理ありて帝に理なく、帝にじょう無くして王に情あるが如く、祖霊も民意も、帝を去り王に就くきを覚ゆ。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
もし諸君がこのしょを手にしたら、諸君の父兄ふけいやおじさんたちにも、見せて上げてもらいたい。そして、著者の言伝ことづてを、おつたえして欲しい。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこで、注音字母ちゅうおんじぼでは一般に解るまいと思って拠所よんどころなく洋字を用い、英国流行の方法で彼を阿 Quei としょし、更に省略して阿Qとした。
阿Q正伝 (新字新仮名) / 魯迅(著)
国朝六家詩鈔こくちょうりくかししょうの初にある沈徳潜しんとくせんの序には、乾隆丁亥夏五けんりゅうていがいかご長洲ちょうしゅう沈徳潜しんとくせんしょす時に年九十有五。とわざわざ断ってある。長生ながいきの結構な事は云うまでもない。
思い出す事など (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
清三もこれに励まされて、いろいろなしょを読んだ。主僧に頼んで、英語を教えてもらったり、その書庫ほんばこの中から論理学や哲学史などを借りたりした。
田舎教師 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
しょ進上致しそろ、今日火急の御召おめしにて登城致し候処、存じの外にも、そこもとを手に掛け候よう上意蒙り申候。
恩を返す話 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
ついに怨みを買って蟄居ちっきょのあいだに死んだが、自分の経験を一冊のしょつづりて『桜花物語おうかものがたり』と題して子孫にのこしたが、その人は常に左の古歌を愛吟あいぎんした。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
中島も女も室を出て、矢野はいまさらのように、わが下宿生活のりっぱなのに驚いた。これで子規先生のしょか何かを床に掛ければ、ますます理想的だと考える。
廃める (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
抽斎は百尺竿頭ひゃくせきかんとう更に一歩を進めてこういっている。「ただし論語の内には取捨すべき所あり。王充おうじゅうしょ問孔篇もんこうへん及迷庵師の論語数条を論じたる書あり。皆参考すべし」
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
かれはたくさんの書物しょもつんだが、なかでも愛好あいこうしてやまなかったのは『ロビンソン』『リアおう』『ドン・キホーテ』などで、これらのしょはほとんどそらでおぼえていた。
身体検査 (新字新仮名) / フョードル・ソログープ(著)
三畳の控室を有する八畳の座敷で、床の間にはしょの軸がかかっていて、その下に、首を伸べた青銅の白鳥と孔雀の長い尾を四五本揷した螺鈿の花瓶とが程よく並べてあった。
掠奪せられたる男 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
わすれられたように、ちち書斎しょさいで、しょだなのうえにのせられたまま、ほこりをあびていました。
時計と窓の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
しょうもとより定役なき身の仮令たとい終日しょともとすればとて、えて拒む者はあらざるも、せめては、婦女の職分をも尽して、世間の誤謬ごびゅうかん者と、進んで定役ある女囚と伍し
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
ひめをばかり墓所はかしょより、きたりてすくされよ、とロミオかたまうりしに、使僧しそうヂョンとまうもの不慮ふりょことにて抑留ひきとめられ、夜前やぜんそのしょ持歸もちかへってござりまするゆゑ、目覺めざめなばさぞ當惑たうわく
玄関の左には人間愛道場掬水園の板がかかり、ふり仰ぐと雀のお宿の大字だいじの額に延命十句観音経まで散らして彫り、右には所用看鐘かんしょうとして竹に鐘がつるしてあり、下には照顧脚下しょうこきゃっかしょしてある。
木曾川 (新字新仮名) / 北原白秋(著)
博士はくしのへやのしょだなには、ぎっしりと本がつまっている。自然科学しぜんかがく薬理学やくりがくの本がおもで、まどぎわのつくえには、けんびきょう、スライド、培養ばいようえき、くすりのびんなどが、いちめんにならべてあった。
あれやこれやとかんがえたすえ、武揚たけあきのおかあさんにあいがんしょというものをかいてださせることをおもいつきました。その文章ぶんしょうは、おかあさんがかいたもののようにして、諭吉ゆきちがかいてやりました。
「まずいことに伯翁がしょをやるのだ」と岡安は前置きなしに云った
さぶ (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
小説が、もし、絵だとするならば、その人の発表しているものは、しょである、と知人も言っていたが、あの「立派さ」みたいなものは、つまり、あの人のうぬぼれに過ぎない。腕力の自信に過ぎない。
如是我聞 (新字新仮名) / 太宰治(著)
しょにあきぬ碁をうつ友の今来なば嬉しからむか秋のゆうぐれ
閉戸閑詠 (新字旧仮名) / 河上肇(著)
このしょ今にいたるもなほ斯道しどう研究者必須ひっすの参考書たり。
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
非理曲直ひりきょくちょくすこぶる公明で、私のいとまにはらんを愛しきんかなしょもよく読むといったような文彬だった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
宿泊帳には故意わざと偽名をしょしたれば、片岡氏も妾をば景山英かげやまひでとは気付かざりしならん。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
そこに人だかりのする高札場こうさつばにはすでに長州征伐のおしょが掲げられていた。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
「なるほど。春水はようかく。ようかくが、しょ杏坪きょうへいの方が上手じょうずじゃて」
草枕 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
一一 よろしくしんしょすべし。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
「蔡京はしょではそんなに偉いのかなあ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しょ万兵まんぺい
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)