ぼし)” の例文
これは、むかし、かごからげていなくなったとり子孫しそんらであります。しかし、めくらぼしは、永久えいきゅうもりなかちかづくことができません。
めくら星 (新字新仮名) / 小川未明(著)
松浦侯の三ツぼしの家紋のついた幕舎の床几に、老中阿部対馬、牧野内匠頭たくみのかみ、堀内加賀、目付兼松五郎左衛門、松浦侯などがいた。
ひどい煙 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
オリオンという、はじめてその名をしったぼしを見あげると、みよこのかおが、ぽうーっと、うかんできた。五百光年こうねん、アテネ・ローマの古都こと——。
ラクダイ横町 (新字新仮名) / 岡本良雄(著)
ひとつぼし、ふたつ星。……空は凄愴せいそう暮色ぼしょくをもってきた。だが、矢来やらいのそとの群集ぐんしゅう容易よういにそこをさろうとしない。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あれ、ルウヴルの屋根の上、のぞみの色のそらのおく、ちろりちろりとひとつぼし。おお、それ、マノンの歌にも聞いた。
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
おれァ、一半蔵松葉はんぞうまつばよそおいという花魁おいらんを、小梅こうめりょうまでせたことがあったっけが、入山形いりやまがたに一つぼしの、全盛ぜんせい太夫たゆうせたときだって、こんないい気持きもはしなかったぜ
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
「ながれぼしだ。」
露宿 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
ながぼし
丹下左膳:02 こけ猿の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
そうすれば、めくらぼしはきっと、そのなきこえきつけてさがしあてることができるだろうと、かみさまはおもわれたのであります。
めくら星 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そんなことばが、ぼしのあいだにきらきらして、山で見た、しものおどろきや、日本海にほんかいのまるい石よりも、なおあたらしいおどろきの心を、かきたてたのだった。
ラクダイ横町 (新字新仮名) / 岡本良雄(著)
湊川みなとがわの水音だけが枯れ草をそよがせてくる。ぬかぼしが寒々と白い。そして、おもてを打つものは、風でもなく、寒さでもなかった、何ともいえない血のにおいである。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「あれこそなさけのひとつぼし、空には、めうとも、こひびとも、心變こゝろがはりのないものか。」涙ながらに、金星きんせいを仰いで見れば、寶石はうせきの光のやうにきらめくが、憎らしいぞや、雲めが隱す
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
けれど、そのほしは、めくらぼしでありました。ほかのおほしさまのように、とおく、たかく、からはなれて、天上界てんじょうかいむことができないのであります。
めくら星 (新字新仮名) / 小川未明(著)
むこうに見えはじめた汽車きしゃえきのま上に、ぼしが三つ、ものさしではかったように、きちんと一れつにならんで、かがやいていたのを、いのきちは、ふしぎに、はっきりおぼえている。
ラクダイ横町 (新字新仮名) / 岡本良雄(著)
からすき宿しゆく、みつぼしや、三角星さんかくせい天蝎宮てんかつきう
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
そして、まったくよるになって、とこなかはいりますと、いつも高窓たかまどから一つぼしひかりがもれてさすのでありました。
酔っぱらい星 (新字新仮名) / 小川未明(著)
からすき宿しゆく、みつぼしや、三角星さんかくせい天蝎宮てんかつきゆう
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
兄妹きょうだいは、縁側えんがわて、おともなくぬかぼしひかっている、やがて初秋しょしゅうちかづいたよるそらていましたが
銀河の下の町 (新字新仮名) / 小川未明(著)
ちょうどきりのかかったみなとあつまったふねともしびのように、もしくは、地平線ちへいせんちかそらにまかれたぬかぼしのように、あおいろのもあれば、あかいろのもあり、なかには真新まあたらしい緑色みどりいろのもありました。
縛られたあひる (新字新仮名) / 小川未明(著)
そらると、雲切くもぎれがしているそのあいだから、一つぼしが、おおきなしたをじっと見下みおろして、木立こだちまっている小鳥ことりたちが、熱心ねっしんに、かぜうごえだはなしをしているのに、みみましていていました。
美しく生まれたばかりに (新字新仮名) / 小川未明(著)