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揉
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もみ
ふりがな文庫
“
揉
(
もみ
)” の例文
程なく夫人のお
癪
(
しゃく
)
から
揉
(
もみ
)
やわらげて、殿さまの御肝癖も療治し、果は自分の胸の
痞
(
つかえ
)
も押さげたという、なかなか小腕のきく男で。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「へ、お火鉢」
婦
(
おんな
)
はこんなことをそわそわ言ってのけて、忙しそうに
揉
(
もみ
)
手をしながらまた眼をそらす。やっと銀貨が出て
婦
(
おんな
)
は帰って行った。
城のある町にて
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
揉
(
もみ
)
くちやになつた大島染の袷を着た、モ一人の男は、兩手を枕に、足は海の方へ投げ出して、不作法にも二人の
中央
(
まんなか
)
に仰向になつて
臥
(
ね
)
て居る。
漂泊
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
定得意
(
ぢやうとくい
)
となし居る身の上なればお
常
(
つね
)
は
勿論
(
もちろん
)
忠
(
ちう
)
八が云事にても
背
(
そむ
)
く事なく主人の如くに
仕
(
つか
)
へ
毎日
(
まいにち
)
お
常
(
つね
)
の
肩
(
かた
)
など
揉
(
もみ
)
て
機嫌
(
きげん
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
と
揉
(
もみ
)
くちゃにしたので、
吃驚
(
びっくり
)
して、ぴったり手をついて畳の上で、手袋をのした。横に
皺
(
しわ
)
が寄ったから、
引張
(
ひっぱ
)
って
化鳥
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
▼ もっと見る
杤
(
とち
)
の
実
(
み
)
は八月
熟
(
じゆく
)
して
落
(
おつ
)
るをひろひ、
煮
(
に
)
てのち
乾
(
かはか
)
し、手に
揉
(
もみ
)
てあらき
篩
(
ふるひ
)
にかけて
渋皮
(
しぶかは
)
をさり、
簀
(
す
)
に
布
(
ぬの
)
をしきて
粉
(
こ
)
にしたるをおき、よくならし水をうちてしめらせ
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
丹前の前には円い
食卓
(
ちゃぶだい
)
があった。その食卓を中心にして右側にいるのは、三十前後のセルの
袴
(
はかま
)
を
穿
(
は
)
いた壮士風の男であった。それはばかに長くした
揉
(
もみ
)
あげの毛が眼だっていた。
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
お島のそんな家庭に縛られている不幸に同情しているような心持も、
微
(
かすか
)
に受取れたが、お島は何だか
厭味
(
いやみ
)
なような、
擽
(
くすぐ
)
ったいような気がして、後で
揉
(
もみ
)
くしゃにして
棄
(
すて
)
てしまった。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
先隊の四将、蒲生源左衛門、蒲生忠右衛門、蒲生四郎兵衛、町野左近等、何
躊躇
(
ちゅうちょ
)
すべき、しおらしい田舎武士めが
弓箭
(
ゆみや
)
だて、我等が手並を見せてくれん、ただ一
ト
揉
(
もみ
)
ぞと揉立てた。
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
所謂、
橙黄橘紅
(
とうくわうきつこう
)
を盛つた
窪坏
(
くぼつき
)
や高坏の上に多くの
揉
(
もみ
)
烏帽子や
立
(
たて
)
烏帽子が、笑声と共に一しきり、波のやうに動いた。中でも、
最
(
もつとも
)
、大きな声で、機嫌よく、笑つたのは、利仁自身である。
芋粥
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
いたるところの地面をひきめくり裏返し
揉
(
もみ
)
ほぐし、
掻
(
か
)
き分けたり
嗅
(
か
)
いだり
覗
(
のぞ
)
いたり探ったりというありさまだった、もちろんその片手間の
自暴
(
やけ
)
呑みや歌ったり暴れたりも怠たりはなかったが
艶妖記:忍術千一夜 第一話
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
が、螺髪の大きい部分はそれが丁度はまりますけれども、額際とか、
揉
(
もみ
)
上げのようなところは金平糖が小さいので、それは別に頃合いの笊を注文して、頭へ一つ一つ釘で打ちつけていったものです。
佐竹の原へ大仏をこしらえたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
立
(
たゝ
)
んとするに左の足痛みて一歩も引きがたしコハ
口惜
(
くちをし
)
と我手に
揉
(
もみ
)
つ
擦
(
さす
)
りつして漸やく五六町は我慢したれど
終
(
つひ
)
に
堪
(
こら
)
へきれずして車
乘詰
(
のりづめ
)
の貴族旅となりぬ雨は上りたれど
昨日
(
きのふ
)
も
一昨日
(
をとゝひ
)
も降り續きたる
泥濘
(
ぬかるみ
)
に車の輪を
木曽道中記
(旧字旧仮名)
/
饗庭篁村
(著)
と
揉
(
もみ
)
くちやにしたので、
吃驚
(
びつくり
)
して、ぴつたり
手
(
て
)
をついて
畳
(
たゝみ
)
の
上
(
うへ
)
で、
手袋
(
てぶくろ
)
をのした。
横
(
よこ
)
に
皺
(
しは
)
が
寄
(
よ
)
つたから、
引張
(
ひつぱ
)
つて
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
揉
(
もみ
)
ながら
今晩
(
こんばん
)
は何分
御泊
(
おとめ
)
申こと出來難く其譯は今夜村の寄合にて
後刻
(
ごこく
)
は大勢集まり候間御氣のどくながら
御宿
(
おやど
)
は
御斷
(
おことわ
)
り申上ると云けるに武士は
其
(
そ
)
の
樣子
(
やうす
)
を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
三人は品川大井大森方面を縄張にしている
匪徒
(
ひと
)
で、丹前は岡本と云う
三百代言
(
さんびゃくだいげん
)
あがり、
揉
(
もみ
)
あげは松山と云って赤新聞の記者あがり、角刈は半ちゃんで通っている
博徒
(
ばくと
)
であった。
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
そこで彼等は用が足りないと、この男の歪んだ
揉
(
もみ
)
烏帽子の先から、切れかかつた
藁草履
(
わらざうり
)
の尻まで、万遍なく見上げたり、見下したりして、それから、鼻で
哂
(
わら
)
ひながら、急に後を向いてしまふ。
芋粥
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
揉
(
もみ
)
に
揉
(
もん
)
で
丑滿
(
うしみつ
)
の頃漸々にて糸切村に着し彼の茶見世を御用々々と
叩
(
たゝ
)
き起せば
此家
(
このや
)
の亭主何事にやと
起出
(
おきいづ
)
るに
先
(
まづ
)
惣助亭主に向ひ廿二三年
跡
(
あと
)
に澤の井樣より手紙を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
馬
(
うま
)
が
居
(
ゐ
)
るやうでは
左
(
と
)
も
右
(
かく
)
も
人里
(
ひとざと
)
に
縁
(
えん
)
があると、
之
(
これ
)
がために
気
(
き
)
が
勇
(
いさ
)
んで、えゝやつと
今
(
いま
)
一
揉
(
もみ
)
。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「二人来ております、その名刺を出した人は、
揉
(
もみ
)
あげの長い壮士のような人ですよ」
春心
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
その
勢
(
いきおい
)
でな、いらだか、
苛
(
いら
)
って、
揉
(
もみ
)
上げ、
押摺
(
おしす
)
り、貴辺が御無事に下山のほどを、先刻この森の中へ、夢のようにお
立出
(
たちい
)
でになった御姿を見まするまで、明王の霊前に
祈
(
いのり
)
を上げておりました。
星女郎
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
揉
漢検1級
部首:⼿
12画
“揉”を含む語句
揉合
揉上
揉療治
揉手
一揉
揉烏帽子
錐揉
揉事
揉苦茶
揉込
揉消
大揉
揉立
揉潰
内輪揉
押揉
揉出
揉抜
揉落
揉殺
...