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戯作
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げさく
ふりがな文庫
“
戯作
(
げさく
)” の例文
戯作
(
げさく
)
、つまり昔の
草双紙
(
くさぞうし
)
——草双紙に何があるものですか、ただその時、その時を面白がらせて、つないで行けばいいだけの
代物
(
しろもの
)
です
山道
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
彼は
戯作
(
げさく
)
の価値を否定して「
勧懲
(
かんちょう
)
の具」と称しながら、常に彼のうちに
磅礴
(
ぼうはく
)
する芸術的感興に遭遇すると、たちまち不安を感じ出した。
戯作三昧
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
わが名をさえも
三彦
(
みつひこ
)
と書き、いつかは
老
(
おい
)
の
寝覚
(
ねざめ
)
にも忘れがたない思出の夢を
辿
(
たど
)
って年ごとに書綴りては出す
戯作
(
げさく
)
のかずかず。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
その頃はもう
黄表紙
(
きびょうし
)
時代と変って同じ
戯作
(
げさく
)
の筆を執っていても自作に漢文の序文を書き漢詩の像讃をした見識であったから
八犬伝談余
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
仇敵
(
かたき
)
を持つ身——芝居や
戯作
(
げさく
)
では面白いが、さて、現実に自分がそれになってみると、あんまり気もちのいいものではない。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
如何
(
いかん
)
となれば現行法律の旨に
背
(
そむ
)
くが故なり。其れも小説物語の
戯作
(
げさく
)
ならば或は
妨
(
さまたげ
)
なからんなれども、家庭の教育書、学校の読本としては必ず異論ある可し。
女大学評論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
道義に立脚した全くの
戯作
(
げさく
)
でなく、それぞれかつて実在した事蹟に拠って
敷衍
(
ふえん
)
したものなれば、要は時に臨んで人を感ぜしめた一言一行を称揚したまでで
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
彼等がその芸術的に訓練されない
猥雑
(
わいざつ
)
の口語文を以てした為に、外国文学に見る如き高貴な詩人的の心を失い、江戸文学の続篇たる野卑俗調の
戯作
(
げさく
)
に甘んじ
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
織田のこの徹底した
戯作
(
げさく
)
根性は見上げたものだ。永井荷風先生など、自ら戯作者を号しているが、
凡
(
およ
)
そかかる戯作者の真骨頂たる根性はその魂に具わってはおらぬ。
大阪の反逆:――織田作之助の死――
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
山谷堀の船宿、
角中
(
かくちゅう
)
の亭主は、狂歌や
戯作
(
げさく
)
などやって、ちっとばかり筆が立つ。号を十
字舎
(
じしゃ
)
三九といっていたが、後に、十
返舎
(
ぺんしゃ
)
一九
(
いっく
)
と改めて、例の
膝栗毛
(
ひざくりげ
)
を世間に出した。
田崎草雲とその子
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私
(
わたし
)
より二級上に
山田武太郎
(
やまだたけたらう
)
なる少年が
居
(
を
)
つたのですが、
此
(
この
)
少年は
其
(
そ
)
の
級中
(
きふちう
)
の
年少者
(
ねんせうしや
)
で
在
(
あ
)
りながら、
漢文
(
かんぶん
)
でも、
国文
(
こくぶん
)
でも、
和歌
(
わか
)
でも、
詩
(
し
)
でも、
戯作
(
げさく
)
でも、字も
善
(
よ
)
く書いたし
硯友社の沿革
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
それを
幸
(
さいわ
)
ひ、こちらもまだ遊び盛りの歳だものだから、家を外に、
俳諧
(
はいかい
)
、
戯作
(
げさく
)
者仲間のつきあひにうつつを抜した。たまにうちへかへつてみると、お玉の
野暮
(
やぼ
)
さ加減が気に触つた。
上田秋成の晩年
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
向島
(
むかうじま
)
の
武蔵屋
(
むさしや
)
に
落語
(
らくご
)
の
会
(
くわい
)
が
権三
(
ごんざ
)
り
升
(
ます
)
と、
四方
(
よも
)
の
大人
(
うし
)
の
筆
(
ふで
)
にみしらせ、おのれ
焉馬
(
えんば
)
を
判者
(
はんじや
)
になれよと、
狂歌
(
きやうか
)
の友どち一
百
(
ぴやく
)
余人
(
よにん
)
、
戯作
(
げさく
)
の口を開けば、遠からん者は
長崎
(
ながさき
)
から
強飯
(
こはめし
)
の
咄
(
はなし
)
、近くば
落語の濫觴
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
おのれ思ふにはかなき
戯作
(
げさく
)
のよしなしごとなるものから、我が筆とるはまことなり、衣食のためになすといへども、雨露しのぐための
業
(
わざ
)
といへど、拙なるものは誰が目にも拙とみゆらん
樋口一葉
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
それから
三好町
(
みよしちょう
)
、此所には
戯作
(
げさく
)
などをした
玄魚
(
げんぎょ
)
という人のビラ屋があった。
幕末維新懐古談:12 名高かった店などの印象
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
私は子供の
中
(
うち
)
から日課の本より
戯作
(
げさく
)
もの実録ものなど読むが
好
(
すき
)
で、十一才の時分にはモウお袋の仕事する傍らに
坐
(
すわ
)
つてさま/″\貸本やの書物などや、父が
読
(
よみ
)
ふるしの雑誌なども好んで読み
升
(
まし
)
た。
黄金機会
(新字旧仮名)
/
若松賤子
(著)
彼は
戯作
(
げさく
)
の価値を否定して「
勧懲
(
くわんちよう
)
の具」と称しながら、常に彼の中に
磅礴
(
ばうはく
)
する芸術的感興に遭遇すると、忽ち不安を感じ出した。
戯作三昧
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
これがまた
定
(
きま
)
って当時の
留書
(
とめがき
)
とかお
触
(
ふれ
)
とか、でなければ大衆物即ち何とか実録や
著名
(
なだい
)
の
戯作
(
げさく
)
の抜写しであった。
八犬伝談余
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
それに反して日陰の薄暗い路地はあたかも渡船の
物哀
(
ものあわれ
)
にして情味の深きに似ている。
式亭三馬
(
しきていさんば
)
が
戯作
(
げさく
)
『
浮世床
(
うきよどこ
)
』の挿絵に
歌川国直
(
うたがわくになお
)
が
路地口
(
ろじぐち
)
のさまを描いた図がある。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
新井君美
(
あらいきみよし
)
ぐらいにはなれたろう、
戯作
(
げさく
)
をやらせれば馬琴はトニカク、柳亭ぐらいはやれる筆を持っていたのを、今まで自覚していなかった、我ながら惜しいものだ。
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
夢物語の
戯作
(
げさく
)
くらいに
自
(
みず
)
から
認
(
したた
)
めて居たものが、世間に流行して実際の役に立つのみか、新政府の勇気は西洋事情の類でない、一段も二段も
先
(
さ
)
きに進んで
思切
(
おもいきっ
)
た事を断行して
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
だが、弟子入りはないとみえて、露八は、
筆耕
(
ひっこう
)
仕事をしたり、
黄表紙
(
きびょうし
)
ものの
戯作
(
げさく
)
などを書いていた。飽きると、ぽかんと、指の筆を
頬杖
(
ほおづえ
)
にやり、窓の机から今戸橋をながめている。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
元来明治の文壇と称したものは、江戸末期に於ける軟派文学の継続であり、純然たる国粋的
戯作
(
げさく
)
風のものであったが、これが延長なる今日の文壇も、本質に於て昔と少しも変っていない。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
安永より
天明
(
てんめい
)
末年あたかも
白河楽翁公
(
しらかわらくおうこう
)
の幕政改革の当時に至るまでおよそ二十年間は蜀山人の
戯作
(
げさく
)
界に活動せし時にして狂歌の名またこの時において最も高かりき。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
又興味の上から云つても、自分は徳川時代の
戯作
(
げさく
)
や浮世絵に、特殊な興味を持つてゐる者ではない。
孤独地獄
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
この男が著作をする、それはやっぱり似つかわしからぬところの一つのものではあるが——現に旗本や御家人で、絵師や
戯作
(
げさく
)
を本業同様にしている者もいくらもある。
大菩薩峠:34 白雲の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
その道誉は、まま自身筆を執って、田楽狂言の
戯作
(
げさく
)
をこころみたり、世に
流行
(
はや
)
らせている自作の歌謡なども多いと聞くが、なるほど、それくらいな才はあろう。彼は才能の
鵺
(
ぬえ
)
でもある。
私本太平記:02 婆娑羅帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
抑も
辻行灯
(
つじあんどう
)
廃
(
すた
)
れて
電気灯
(
でんきとう
)
の
光明
(
くわうみやう
)
赫灼
(
かくしやく
)
として
闇夜
(
やみよ
)
なき
明治
(
めいぢ
)
の
小説
(
せうせつ
)
が
社会
(
しやくわい
)
に於ける
影響
(
えいきやう
)
は
如何
(
いかん
)
。『
戯作
(
げさく
)
』と云へる
襤褸
(
ぼろ
)
を
脱
(
ぬ
)
ぎ『
文学
(
ぶんがく
)
』といふ
冠
(
かむり
)
着
(
つ
)
けしだけにても其
効果
(
かうくわ
)
の
著
(
いちゞ
)
るしく
大
(
だい
)
なるは
知
(
し
)
らる。
為文学者経
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
、
三文字屋金平
(著)
禁令の打撃に
長閑
(
のどか
)
な美しい
戯作
(
げさく
)
の夢を破られなかった
昨日
(
きのう
)
の日と、禁令の打撃に身も心も恐れちぢんだ
今日
(
きょう
)
の日との間には、
劃然
(
かくぜん
)
として消す事のできない
境界
(
さかい
)
ができた。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「それから
戯作
(
げさく
)
の方なんでげす、これは刺身のツマとして、八名ばかり差加えようてんで……」
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「たかが
戯作
(
げさく
)
だと思っても、そうはいかないことが多いのでね。」
戯作三昧
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
浮世絵、町絵師の方のめぼしいところを引っこぬいて、これに加えます、拙が見たところでは、絵かきの方から都合五十八名ばかり、えりぬきの……それから
戯作
(
げさく
)
の方なんでげす
大菩薩峠:39 京の夢おう坂の夢の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
しかしそんなものはこの
歳月
(
としつき
)
唯「お
軽
(
かる
)
勘平
(
かんぺい
)
」のような狂言
戯作
(
げさく
)
の
筋立
(
すじだて
)
にのみ必要なものとしていたのではないか。それが今どうして突然意外にも不思議にも心を騒がし始めたのであろう。
散柳窓夕栄
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
「たかが
戯作
(
げさく
)
だと思つても、さうは行かない事が多いのでね。」
戯作三昧
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
“戯作”の意味
《名詞》
戯作(げさく)
ふざけて文章などを作ること。また、そのような作品。
江戸時代に発達した通俗文学で、黄表紙、滑稽本、人情本などの総称。
(出典:Wiktionary)
“戯作”の解説
戯作(げさく、ぎさく、けさく、きさく)とは、近世後期、18世紀後半頃から江戸で興った通俗小説などの読み物の総称。戯れに書かれたものの意。明治初期まで書かれた。戯作の著者を戯作者という。
(出典:Wikipedia)
戯
常用漢字
中学
部首:⼽
15画
作
常用漢字
小2
部首:⼈
7画
“戯作”で始まる語句
戯作者
戯作三昧
戯作本
戯作者気質
戯作好
戯作者気
戯作者的
戯作浮世床