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つもり
ふりがな文庫
“
心算
(
つもり
)” の例文
すぐにも名乗って出る
心算
(
つもり
)
でしたが、親分と一緒に川越屋へ行って、お染の無事な顔を見た時、すっかり考えが変ってしまいました。
銭形平次捕物控:084 お染の歎き
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
人を
莫迦
(
ばか
)
にするのも、好い加減におし。お前は私を何だと思つてゐるのだえ。私はまだお前に
欺
(
だま
)
される程、
耄碌
(
まうろく
)
はしてゐない
心算
(
つもり
)
だよ。
アグニの神
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
無事に着いたじゃねえかってんで、コチトラを初め、今まで怖がっていた毛唐連中をギャフンと
喰
(
く
)
らわせようって
心算
(
つもり
)
じゃねえかよ
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「やあそりゃようございます。どうしても私は日本へ一遍帰る
心算
(
つもり
)
でもありますから、まあその時に一緒に行くことにしましょう」
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
その時お島の父親は、どういう
心算
(
つもり
)
で水のほとりへなぞ彼女をつれて行ったのか、今考えてみても父親の心持は
素
(
もと
)
より解らない。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
「貴郎は本当に無茶だから気をつけて下さいよ。そんな事位でようございましたけれども、大怪我でもなすったら、どうするお
心算
(
つもり
)
なの」
秘められたる挿話
(新字新仮名)
/
松本泰
(著)
第一そんなことをお調べになって何になさるお
心算
(
つもり
)
ですと答え、あの男のことでは一さい味方をしてくれないふうを見せていた。
われはうたえども やぶれかぶれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
「こりゃ新九郎、いよいよそちの番になったぞ、男山八幡の折とは違って逃げ口はないのだから、その
心算
(
つもり
)
で勝負をしてしまえ」
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「それにしても、弦三は大変遅いじゃないか。昨夜は、まだ早かった。この間のように、十二時過ぎて帰ってくる
心算
(
つもり
)
なんじゃ無いかなあ」
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「おや、さうかえ!」と、別段お世辞にいつた
心算
(
つもり
)
でもなかつたイワン・フョードロヸッチの、その註釈に満足して叔母さんが語をついだ。
ディカーニカ近郷夜話 後篇:04 イワン・フョードロヸッチ・シュポーニカとその叔母
(新字旧仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
国語で一つの間違いでもすまい、というのが私の
心算
(
つもり
)
であった。父が、綺麗な西洋紙の、大きな帳面をくれたことがある。
入学試験前後
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
かく祈りながら僕は彼らに向って、胸の切なさをつかんでは投げ、つかんでは投げつける
心算
(
つもり
)
で、その通りに腕を振り動かせているのであった。
吊籠と月光と
(新字新仮名)
/
牧野信一
(著)
僕は其頃ピラミッドでも建てる様な
心算
(
つもり
)
で居たのであるが、米山は中々盛んなことを云うて、君は建築をやると云うが
落第
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
自分ではさういふ
心算
(
つもり
)
でなかつたにしても、自然に詰問の語気であつた。あなたの口からあの人のことをみんなききたいのよと言つた。そしてまた
吹雪物語:――夢と知性――
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
彼女は不良少女という、ちんぴらな、
小砂利共
(
こじゃりども
)
の世界からは肉体的にも感情的にも
遙
(
はる
)
かに脱却した
心算
(
つもり
)
であった。
刺青
(新字新仮名)
/
富田常雄
(著)
「しかし、それにしても、君に売渡す約束をしながら、この僕から権利金を取ったのは、どういう
心算
(
つもり
)
だろう?」
ボロ家の春秋
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
「何時までかうして、
扉
(
ドア
)
に
凭
(
もた
)
れて立つてらつしやるお
心算
(
つもり
)
だらう?」と私は思つた。「荷造りを始めたいのに。」
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
おかみは
行々
(
ゆくゆく
)
彼をかゝり子にする
心算
(
つもり
)
であった。それから自身によく
肖
(
に
)
た
太々
(
ふてぶて
)
しい容子をした
小娘
(
こむすめ
)
のお銀を、おかみは実家近くの
機屋
(
はたや
)
に年季奉公に入れた。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
実際自分がツルゲーネフを翻訳する時は、力めて其の詩想を忘れず、真に自分自身其の詩想に同化してやる
心算
(
つもり
)
であったのだが、どうも旨く成功しなかった。
余が翻訳の標準
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「吾輩はもう何んにも云わん
心算
(
つもり
)
だ。吾輩は非常に幸福だ、吾輩はただ死刑に処せられるのを待つばかりだ」
サレーダイン公爵の罪業
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
『なんの
心算
(
つもり
)
か知らんがえらくまあ寝ちまったものさ。さてこのよる夜中に一体どうしようと言うんだい?』
犬を連れた奥さん
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
殺してすぐに逃げなかったのも、やはり秘密を見つけることができなかったのと、も一つは令息に嫌疑をかけて、無事に身を
晦
(
くら
)
ます
心算
(
つもり
)
だったということです。
髭の謎
(新字新仮名)
/
小酒井不木
(著)
恐らく、多くの少女が断然父母の定めた夫を拒絶する
心算
(
つもり
)
で、祭壇へ歩んで行くのにも関らず、一人として其目的を果す者の無いのも、かうした訳からに相違ない。
クラリモンド
(新字旧仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
不具になっては又お前達に苦労をかける、それが怖いので欲しくてならないこの金だが、ここへ残して置く
心算
(
つもり
)
だ。金が戻れば、あ奴等は追いかけてなぞこなかろう。
一本刀土俵入 二幕五場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
まだまだ三十年や四十年は生きる
心算
(
つもり
)
でおる拙者、さような言を聞くとは実もって心外であるぞ。第一、この通りピンピンしておる者が、そうコロコロ死んでたまるかッ
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
帰り行く友を送ってそこらまでの
心算
(
つもり
)
がやがて博多の街つづきである箱崎になんなんとする地蔵松原——二里余もつづく千代の松原の一部、ここには米一丸の墓があって
夢の如く出現した彼
(新字新仮名)
/
青柳喜兵衛
(著)
最後に私の確信にとどめを刺す
心算
(
つもり
)
で、おふささんは何処に住んで居るんだい、まさか高円寺じゃあるまいね、と大きく呼吸をし乍ら質しますと、あら、やっぱし高円寺よ
陳情書
(新字新仮名)
/
西尾正
(著)
兎も角その女を手に入れる為に纏った金が
入用
(
いりよう
)
だったのだ。そして、聞けば富美子さんが帰って来ない内に
出奔
(
しゅっぽん
)
する
心算
(
つもり
)
でいたんだそうだ。僕はつくづく恋の偉力を感じた。
黒手組
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
実際に於て綿井氏は自殺する
心算
(
つもり
)
で飛行機に乗っていたのですし、又金を盗んだとしてはそれが屍体から発見されないのですから、第一の説も考えられない事もありますまい。
旅客機事件
(新字新仮名)
/
大庭武年
(著)
◎
浅草
(
あさくさ
)
の或る寺の
住持
(
じゅうじ
)
まだ坊主にならぬ壮年の頃
過
(
あやま
)
つ事あって生家を追われ、
下総
(
しもうさ
)
の
東金
(
とうかね
)
に親類が有るので、当分厄介になる
心算
(
つもり
)
で
出立
(
しゅったつ
)
した途中、
船橋
(
ふなばし
)
と云う所で
某
(
ある
)
妓楼
(
ぎろう
)
へ
上
(
あが
)
り
枯尾花
(新字新仮名)
/
関根黙庵
(著)
「例のトランクを海へ捨てる
心算
(
つもり
)
だったって言うからね。海ということは、ルウスの頭にある筈だ。だから、俺は思うんだが、あいつ今頃、トランクの代りに海に浮かんでるよ」
アリゾナの女虎
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
それは主として、南方の林業に就いてのノスタルヂイを綴る
心算
(
つもり
)
であつた。色々と仏印では、研究のノートも沢山あつたのだが、それは何一つ持つて帰るわけにはゆかなかつた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
「もしあの女が……俺が全心をこめて愛してゐる
心算
(
つもり
)
のあの女が」と彼は更に考へた。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死
(新字旧仮名)
/
長与善郎
(著)
若
(
も
)
し
如何
(
どう
)
しても菅原様へ
嫁
(
ゆ
)
くことが出来ないならば、私は
一旦
(
いつたん
)
菅原様へ献げた此の
聖
(
きよ
)
き
生命
(
いのち
)
の愛情を、少しも
破毀
(
やぶ
)
らるゝことなしに
抱
(
いだ
)
いた
儘
(
まゝ
)
、深山幽谷へ行つて
終
(
しま
)
ふ
心算
(
つもり
)
だつて——
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
芝浦へ行く
心算
(
つもり
)
であつたが、電車に乗つてから女は「海へ出たい。」と云ひ出した。
海の中にて
(新字旧仮名)
/
菊池寛
(著)
明日の朝
参上
(
あが
)
らうとおもふて居りました、といへばぢろりと其顔下眼に睨み、態と
泰然
(
おちつき
)
たる源太、応、左様いふ其方の
心算
(
つもり
)
であつたか、此方は例の気短故今しがたまで待つて居たが
五重塔
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
日下
(
ひさが
)
りにもなってみれば、村人のために心配してやるよりは、差当り、自分たち二人の身の上の今晩のこと、まだ日はやや高しとも、いまの村あたりに宿を求める
心算
(
つもり
)
で来たのだが
大菩薩峠:38 農奴の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
翌日は信造なり、永辻なりへ電報を打って、金を送らせる
心算
(
つもり
)
だったのでしょう
青服の男
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
実際爺さんの
心算
(
つもり
)
では、
傘
(
からかさ
)
貼りは一ぱし
他助
(
ひとだす
)
けの仕事らしいが、それに少しの嘘も無い、何故といつて京都人は
霊魂
(
たましひ
)
よりも着物がずつと値段の張つてゐる事をよく
判
(
わきま
)
へてゐる人種だから。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
あるいは生徒と共同して新しい経験をするような
心算
(
つもり
)
ですべきものと思う。
物理学実験の教授について
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
それを済ますと親子の旅立ち、行先を訊いてもただ遠いところとばかり。こりゃてっきり父者が自分の首とわしの首とを引換えに、三井寺から開山聖人さまの御影像を、取戻す
心算
(
つもり
)
と知った。
取返し物語
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
叔父は丑松の帰村を待受けて、一緒に牧場へ出掛ける
心算
(
つもり
)
であつたので、兎も角も丑松を
炉辺
(
ろばた
)
に
座
(
す
)
ゑ、旅の
疲労
(
つかれ
)
を休めさせ、例の無慾な、心の好ささうな声で、亡くなつた人の物語を始めた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
美代吉に悦ばせる
心算
(
つもり
)
ゆえ
大
(
おお
)
めかしで、其の頃
散髪
(
ざんぎり
)
になりましたのは少なく、明治五年頃から大して
散髪
(
ざんぱつ
)
が出来ましたが、それでも
朝臣
(
ちょうしん
)
した者は早く
頭髪
(
あたま
)
を勧められて
散髪
(
ざんぎり
)
に
成立
(
なりたて
)
でございますが
松と藤芸妓の替紋
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
まことに
敬畏
(
けいい
)
する態度で、私は、この手紙一本きりで、あなたから逃げ出す。めくら
蜘蛛
(
ぐも
)
、願わくば、
小雀
(
こすずめ
)
に対して、寛大であられんことを。勿論お作は、誰よりも熱心に愛読します
心算
(
つもり
)
、もう一言。
虚構の春
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「
然
(
しか
)
し、湯治は良いでございませう。
幾日
(
いくか
)
ほど
逗留
(
とうりゆう
)
のお
心算
(
つもり
)
で?」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
兵さんは無論
復讎
(
ふくしゅう
)
する
心算
(
つもり
)
らしかった。
あまり者
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
する
心算
(
つもり
)
で昨夜此處へ乘込んで來たに相違ない。二人は散々言ひ爭つた
揚句
(
あげく
)
、拔き合せると、手もなく鞍掛宇八郎は勝つた、——が
銭形平次捕物控:101 お秀の父
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
人を
莫迦
(
ばか
)
にするのも、
好
(
い
)
い加減におし。お前は私を何だと思っているのだえ。私はまだお前に欺される程、
耄碌
(
もうろく
)
はしていない
心算
(
つもり
)
だよ。
アグニの神
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
一々に按手礼をし話をして居ります中にもはや午後五時頃、よほど遅くなりましたけれども次の村まで来て宿ります
心算
(
つもり
)
で出立しました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
ですからそこまで突込んで、何かしら動きの取れない材料を掴んだ上で、今の新聞紙面か何かと一緒に、私へ突付ける
心算
(
つもり
)
だったのでしょう。
キチガイ地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
“心算”の意味
《名詞》
心 算(しんさん)
心の中での計画。
(出典:Wiktionary)
心
常用漢字
小2
部首:⼼
4画
算
常用漢字
小2
部首:⽵
14画
“心”で始まる語句
心
心配
心地
心持
心細
心得
心底
心臓
心遣
心許