トップ
>
後先
>
あとさき
ふりがな文庫
“
後先
(
あとさき
)” の例文
初めの内は話す度に何処か少しづゝ変る様でしたが、これはかれがまだ目が醒めたばかりで、考も
後先
(
あとさき
)
になるのでありましたらう。
新浦島
(新字旧仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
彼
(
かれ
)
は、もう
自分
(
じぶん
)
は、いよいよ
死
(
し
)
ぬのだと
思
(
おも
)
いました。そして、しばらく
雪
(
ゆき
)
の
上
(
うえ
)
にすわって
闇
(
やみ
)
を
見
(
み
)
つめて
後先
(
あとさき
)
のことを
考
(
かんが
)
えました。
宝石商
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「尼公さまからも、今生の
後先
(
あとさき
)
などは、つかのまのこと。どうぞおとりみだしなく、北条九代の終りを、いさぎよく遊ばすようにと……」
私本太平記:08 新田帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そんな
後先
(
あとさき
)
見
(
み
)
ずな莫迦なことを被仰った後で、平気でいるのも、つまり妾があなたを相手にしてない証拠だと思って下さいよ。
華々しき一族
(新字新仮名)
/
森本薫
(著)
山「大丈夫です、私は
胡散
(
うさん
)
な者じゃアございませんよ、私はお前さんと
後先
(
あとさき
)
に成って洗馬から流して来た巡礼でございますよ」
敵討札所の霊験
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
▼ もっと見る
是は
粗相千万
(
そさうせんばん
)
、(中略)と
後先
(
あとさき
)
揃はぬ事を云ふて、又
本
(
もと
)
の
夜着
(
よぎ
)
へこそこそはいつて、寝るより早く
其処
(
そこ
)
を立ち
退
(
の
)
き、(
下略
(
げりやく
)
)
案頭の書
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
縁側に手を
支
(
つか
)
えて、
銀杏返
(
いちょうがえし
)
の小間使が
優容
(
しとやか
)
に迎えている。
後先
(
あとさき
)
になって勇美子の部屋に立向うと、たちまち一種身に染みるような快い
薫
(
かおり
)
がした。
黒百合
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
私はその眼と口を今一度、机の上に突伏せながら、ジット
後先
(
あとさき
)
を考えて見たが、一体何しにここへ帰って来たのか、どうしても思い出せなかった。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
半時ほど旋りて胴中
炮烙
(
ほうろく
)
の大きさに膨れまた舞う内に
後先
(
あとさき
)
各二に裂けて四となり、また舞い続けて八となり、すなわち
蛸
(
たこ
)
と
化
(
な
)
りて沖に游ぎ去ったと見ゆ。
十二支考:04 蛇に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
小田原と国府津の
後先
(
あとさき
)
さえ知らない兄さんに異存のあるはずがないので、我々はすぐ沼津までの切符を買って、そのまま東海道行の汽車に乗り込みました。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
籠長持
(
かごながもち
)
に
詰
(
つ
)
め込んである荷物を、政吉と父の兼松とが
後先
(
あとさき
)
に担い、師匠は大きな風呂敷包みを
背負
(
しょ
)
いました。
幕末維新懐古談:14 猛火の中の私たち
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
茄子はお好きだったようで、どんなにしたのでも召上りますが、炭火のおこった上に、
後先
(
あとさき
)
を切って塩を塗ったのを皮のままで置き、気を附けて裏返します。
鴎外の思い出
(新字新仮名)
/
小金井喜美子
(著)
その第四の昔話というのは、前の三つのどれよりも、かんたんでまた
古風
(
こふう
)
であった。あまりかんたんなためにこの頃では、
後先
(
あとさき
)
におまけのついたものが多い。
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
見つけなすった。いやまあ、
後先
(
あとさき
)
はドチラでもよいが、
拘
(
かかわ
)
り
合
(
あ
)
いだから三人とも、御検視の来るまで控えていてもらいたい、御迷惑だろうがどうも
已
(
や
)
むを得ん
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
それを聞かされる私の心は
後先
(
あとさき
)
も分らぬ闇にとざゝれ、行く手の道も眼に見えぬような気がしました。
三人法師
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
支那の格言に「人の憂に先んじて憂い、人の楽に後れて楽しむ」という言があるが、我々は
後先
(
あとさき
)
の問題ではない。深さの問題である。人は表面を見、神は底を見給う。
帝大聖書研究会終講の辞
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
一日あるいは二日
後先
(
あとさき
)
になることもありまた三日位違うこともある実に奇態な暦であるです。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
と、
吻
(
ほつ
)
と胸先を撫でおろすさうだ。だから間違つて電車に
轢
(
し
)
き殺される場合には、成るべく履物を
後先
(
あとさき
)
へ、
片々
(
かた/\
)
は天国へ、
片々
(
かた/\
)
は地獄へ届く程跳ね飛ばす事だけは忘れてはならない。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
〽落ちて
行衛
(
ゆくゑ
)
も
白魚
(
しらうを
)
の、舟のかゞりに
網
(
あみ
)
よりも、
人目
(
ひとめ
)
いとうて
後先
(
あとさき
)
に………
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
お話が
後先
(
あとさき
)
になりましたが、先生、お
住居
(
すまひ
)
はどちらでいらつしやいます?
職業(教訓劇)
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
破る
殊
(
こと
)
に世間見ずの千太郎と又相手は遊女とは云へまだ
生娘
(
きむすめ
)
も同樣なる小夜衣のことなれば
後先
(
あとさき
)
の
考
(
かんが
)
へも無く千太郎を招き
田舍
(
ゐなか
)
に
在
(
あり
)
ては見る事も成らぬ
斯
(
かゝ
)
る御人と
連理
(
れんり
)
の
契
(
ちぎ
)
りを
結
(
むす
)
ぶ嬉しさは身を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
何卒
(
どうぞ
)
心配せんで下ださい、重々御苦労を御掛け申して来た
今日
(
こんにち
)
ですから——
其
(
そ
)
れに私も
既
(
もう
)
三十を越したんですから、
後先
(
あとさき
)
見ずのことなど致しませんよ、父にも母にも
為
(
す
)
ることの出来なかつた孝行を
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
砂寒き
低山
(
ひくやま
)
の裾を
来
(
く
)
る駱駝
後先
(
あとさき
)
の影が
夜明
(
よあけ
)
いばえつ
夢殿
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
それにきっと一羽ずつ
後先
(
あとさき
)
になって通る。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
よく
後先
(
あとさき
)
をかんがえて返事をしてくれ
半七捕物帳:17 三河万歳
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「
後先
(
あとさき
)
の樣子を話してくれまいか」
銭形平次捕物控:304 嫁の死
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
「
後先
(
あとさき
)
の三人はお
相伴
(
しょうばん
)
だ」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
その
廓
(
くるわ
)
を取りまいているおはぐろ
溝
(
どぶ
)
のふちに添って、頭巾のお綱はうつむき加減に、お獅子の二人は
後先
(
あとさき
)
に、トボトボ歩いてゆくのである。
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
後先
(
あとさき
)
見ずの無分別なことをしてくんなます、
逆
(
のぼ
)
せ上がって仕舞うんざますよ、本当に馬鹿らしいじゃアありませんか、しっかりと沈着きなましよ
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
または
年祝
(
としいわ
)
いといって老人の長命を祝う日、いっぽうにはまた人が
亡
(
な
)
くなって
野辺送
(
のべおく
)
りをする
後先
(
あとさき
)
から、しだいに
月日
(
つきひ
)
がたって
月忌
(
げっき
)
年忌
(
ねんき
)
の祭りをする日まで
母の手毬歌
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
〽落ちて
行衛
(
ゆくえ
)
も
白魚
(
しらうお
)
の、舟のかがりに網よりも、人目いとうて
後先
(
あとさき
)
に……
すみだ川
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
すでに
閏月
(
うるう
)
のごときもシナの暦では当年ですけれど、チベット暦は昨年であったです。四年目、四年目に閏月のある事は同じであるけれども、こういう具合に一年
後先
(
あとさき
)
になって居るばかりでない。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
後先
(
あとさき
)
の
分別
(
ふんべつ
)
もないよになって夢中で電話口い走って行った。
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
旧七月盆の魂祭の
後先
(
あとさき
)
に、盛んに飛びまわる色々の
蜻蛉
(
とんぼ
)
、又はホトケノウマなどと称して、稲穂の上を渡りあるく
蟷螂
(
かまきり
)
の類、是は先祖様が乗って来られると
云
(
い
)
い
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
……それに、宮本村でこうこうとお前の噂でも茶ばなしに出たら、早速、切腹ものじゃないかな、だから、最初から、およしというたのに、
武士
(
さむらい
)
は、
後先
(
あとさき
)
の考えがないからいかん。
宮本武蔵:02 地の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
と両人が娘の
後先
(
あとさき
)
に附添って茶店へ帰って来ました。
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
ここまではほとんど
後先
(
あとさき
)
なく、
一斉
(
いっせい
)
にかたまって来た堀秀政の隊、中村孫兵次の隊、堀尾茂助の隊なども、忽ち分散して、あなたこなたに、石ころを落し、
灌木
(
かんぼく
)
を掻き分け、
騒然
(
そうぜん
)
と
新書太閤記:08 第八分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その
後先
(
あとさき
)
の是から生活の態度が変るべき日を、気づくという以上に銘記せしめるために、こんな特殊な穀物が採用せられたので、それがまた地方によっては葬式におこわを作るとか
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
この辺は冬が永いので
後先
(
あとさき
)
を
切詰
(
きりつ
)
めて三月と九月にしている。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
“後先”の意味
《名詞》
後と先。前後。
(出典:Wiktionary)
後
常用漢字
小2
部首:⼻
9画
先
常用漢字
小1
部首:⼉
6画
“後”で始まる語句
後
後生
後退
後方
後悔
後姿
後家
後手
後日
後世