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強請
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せが
ふりがな文庫
“
強請
(
せが
)” の例文
それも銀子が一座する芸者のなかに、塩釜育ちの妓があり、「はっとせい節」の話が出て故郷を思い出し、客に
強請
(
せが
)
んだからであった。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「ははあ、部屋の若い奴だな。なんでもかんでも、助太刀に一緒に連れて行けと
強請
(
せが
)
んで肯かない奴が、一、二名いたではないか」
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
勿論、一種の
玩具
(
おもちゃ
)
に過ぎないのであるが、何しろ西郷というのが呼物で、
大繁昌
(
おおはんじょう
)
であった。私なども母に
強請
(
せが
)
んで
幾度
(
いくたび
)
も買った。
思い出草
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
そして
懐中
(
ふところ
)
からたつた一枚きりの、
短冊
(
たんざく
)
を出して何か書いてくれと
強請
(
せが
)
んだ。氏は余儀なく万年筆を取り出して、さらさらと書きつけた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
皆が眠ってる間に、夜分にそっとぬけ出すのも、また楽しみだった。ゴットフリートはそれを悪いと知っていたが、クリストフはむりに
強請
(
せが
)
んだ。
ジャン・クリストフ:04 第二巻 朝
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
▼ もっと見る
どのように嘉門が
強請
(
せが
)
んだところで、座にいもしない太郎冠者が酒を飲み干す気づかいはない。で盃につがれた酒は、減りもしないで満ちている。
娘煙術師
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
が、この度は面会の手続などを
強請
(
せが
)
まなかった。そうかといって、夢々わが子に愛想づかしをしたというのではないが、只もう気恥かしさで一杯だった。
情状酌量
(新字新仮名)
/
モーリス・ルヴェル
(著)
それであまり火のついたようにいって
強請
(
せが
)
んで来るからそうでもするよりほかにしかたがなかろうと思ったのです
霜凍る宵
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
村で螢の名所は二つ、
何方
(
どつち
)
に
爲
(
し
)
ようと智惠子が言ひ出すと、子供らは皆
舟綱
(
ふなた
)
橋に伴れてつて呉れと
強請
(
せが
)
んだ。
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「ねえ、お母さんてば……」と、美智子は此方などには少しも頓着なく、しきりに鼻を鳴らして
強請
(
せが
)
んでゐる。私はその
光景
(
ありさま
)
を苦々し気に傍観して居りました。
美智子と日曜日の朝の話
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
無邪氣な
惡戲
(
いたづら
)
の末、片意地に芝居見を
強請
(
せが
)
んだ末、弟を泣かした末、私は終日土藏の中に押し
込
(
こ
)
められて泣き叫んだ。その
窓
(
まど
)
の下には
露草
(
つゆくさ
)
の仄かな花が咲いてゐた。
思ひ出:抒情小曲集
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
癌
(
がん
)
はときどき激しく痛み出した。服用の鎮痛剤ぐらいでは利かなかった。彼は医者に
強請
(
せが
)
んで
麻痺薬
(
まひやく
)
を注射して貰う。身体が弱るからとてなかなか
注
(
さ
)
して
呉
(
く
)
れない。
食魔
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「
※
(
ねえ
)
よ、よう」と
與吉
(
よきち
)
は
又
(
また
)
強請
(
せが
)
む。
其
(
そ
)
の
時
(
とき
)
はもう
皮
(
かは
)
に
皴
(
しわ
)
が
寄
(
よ
)
つて
燒
(
や
)
けたゑぐが
與吉
(
よきち
)
の
手
(
て
)
に
載
(
の
)
せられる。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
(風船なんて危いものはもっての外だ——)と云って、年寄の父はいくら私が
強請
(
せが
)
んでも乗らしてくれなかった。それ以後「風船」は私の最も大きな願望の一つとなった。
風船美人
(新字新仮名)
/
渡辺温
(著)
子供に活動を
強請
(
せが
)
まれても、見に連れて行く代りに拳骨を一つ食はせるより外に仕方がない。女房は毎日のお
菜
(
かず
)
で困難を極める。いやだいやだ、全く生きるのが厭になる。
工場の窓より
(新字旧仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
お作は
八歳
(
やつつ
)
ばかりの女の児。麻の袋を手に提げた儘、母の権幕を
畏
(
おそ
)
れて進みかねる。『母さん、お
呉
(
くん
)
な。』と進も他の子供も
強請
(
せが
)
み付く。省吾も其と見て、母の傍へ駈寄つた。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
しかもこの結婚は父母が勸めたといふよりも自分の方が寧ろ
強請
(
せが
)
んだ形にも幾らかなつてゐたので、誰にぶつかつて行く
術
(
すべ
)
もなく自分が自身の手負ひで
蹣跚
(
よろけ
)
なければならなかつた。
業苦
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
その浪人の奴が金五郎に三両で引受けさせろと
強請
(
せが
)
んでいたが。バラさなきゃいいが。
瞼の母
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
その泥棒どもがしょっちゅう寝台の下にかくれているような気がするので、彼はひっきりなしに主婦を呼んでは、蒲団の下にまで泥棒が一人いるから曳きずり出してくれと
強請
(
せが
)
んだりする。
外套
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
八つになる弟が
強請
(
せが
)
んで種を下してもらった
□□
(
二字分空白
)
はやって置いた篠竹では足りなかったものと見えて、後の槇の梢まで這い上って、細い葉の間々に肉のうすい、なよなよした花が見えて居る。
後庭
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
明日とも言わず母親に
強請
(
せが
)
みて許しを受け、羞かしさもある思いにほとんど忘れて、すぐに綱雄のもとへと行きしが、あわれ、綱雄はいまだ帰り来たらず、すごすごとして引っ返したる光代の
書記官
(新字新仮名)
/
川上眉山
(著)
夫の顔さえ見ればトロイカに乗りましょうよと
強請
(
せが
)
むのであった。
大ヴォローヂャと小ヴォローヂャ
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
降っても構わないからともかくも連れて行ってくださいと
強請
(
せが
)
んで、伊坂君と
一所
(
いっしょ
)
に宿を出ると、冷たい雨がびしょびしょ降っていました。
米国の松王劇
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
村の螢の名所は二つ、
何方
(
どつち
)
に為ようと智恵子が言出すと、小供らは皆
舟綱橋
(
ふなたばし
)
に伴れてつて呉れと
強請
(
せが
)
んだ。
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
お銀は朝になると、暗い顔をして笹村に
強請
(
せが
)
んだ。笹村もそれを拒むことができなかった。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
「それをガツガツと食べ終りますと、
手真似
(
てまね
)
をして、もっとくれいと
強請
(
せが
)
みましたから、いかん、と首を振ってみせたら、さまざまなあだをいたして、いやはや
手古摺
(
てこず
)
りました」
牢獄の花嫁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私のコダツクを見ると頻りに写して呉れと
強請
(
せが
)
んだので、彼女が棒縞のモンペを穿いて野良仕事へ出るところを写さうとすると、そんな姿は御免だと云つて夢中で馬小屋へ隠れた。
るい
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
夫婦の
強請
(
せが
)
み方はなかなかそのくらいでは退けようもなく、また私自身書きものの都合からいっても
何処
(
どこ
)
かところを換え、気を換える必要があったので、
遂々
(
とうとう
)
温泉滞在を切り上げ
健康三題
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
與吉
(
よきち
)
は
能
(
よ
)
く
貧乏
(
びんばふ
)
な
伴侶
(
なかま
)
の
子
(
こ
)
が
佳味相
(
うまさう
)
に
青物
(
あをもの
)
を
噛
(
かじ
)
つて
居
(
ゐ
)
るのを
見
(
み
)
ておつぎに
強請
(
せが
)
むことがあつた。
勘次
(
かんじ
)
の
家
(
うち
)
ではどうかすると
朝
(
あさ
)
に
成
(
な
)
つて
大
(
おほ
)
きな
南瓜
(
たうなす
)
が
土間
(
どま
)
に
轉
(
ころ
)
がつて
居
(
ゐ
)
ることがある。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
圭一郎は郷里の家の大きな
茅葺
(
かやぶき
)
屋根の、爐間の三十疊もあるやうなだゝつ廣い百姓家を病的に嫌つて、それを二束三文に賣り拂ひ、近代的のこ
瀟洒
(
ざつぱり
)
した家に建て替へようと
強請
(
せが
)
んで
崖の下
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
羊飼はひどく
吝
(
しわ
)
い男でしたから、初のうちはなかなか承知しそうにもありませんでしたが、三人が口を揃えてうるさく
強請
(
せが
)
むので、ぶつくさ呟きながらも引請けるには引請けました。
艸木虫魚
(新字新仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「お前がそれを
強請
(
せが
)
んだからさ」
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
おいおい寒空にむかって来るから移り替えの面倒を見てくれとお元から頻りに
強請
(
せが
)
まれたが、それもふところの都合が悪いので断わって出て来た。
半七捕物帳:10 広重と河獺
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「
爺
(
ぢい
)
、いま
一
(
ひと
)
つくんねえか」と
更
(
さら
)
に
強請
(
せが
)
んだ。
彼
(
かれ
)
は五
厘
(
りん
)
の
銅貨
(
どうくわ
)
を
大事
(
だいじ
)
にした。
然
(
しか
)
し
彼
(
かれ
)
は
暫
(
しばら
)
く一
錢
(
せん
)
の
銅貨
(
どうくわ
)
に
訓
(
な
)
れて
居
(
ゐ
)
たので
心
(
こゝろ
)
に
僅
(
わづか
)
な
不足
(
ふそく
)
を
感
(
かん
)
じたのであつた。
卯平
(
うへい
)
は
口
(
くち
)
を
緘
(
つぐ
)
んで
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
しかし金銭には困らない家らしいし、代りに与える品とても持っていないので、階下へ降りて、改めて、城太郎のぶしつけな
強請
(
せが
)
みを詫びて、それを戻させようとすると、若い後家は
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
とまわりの子供達が
強請
(
せが
)
む中に、平太郎はお涌を見つけると愛想笑いをして
蝙蝠
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
『
否
(
いゝえ
)
、子供達に
強請
(
せが
)
まれて螢狩に。貴方も御散歩?』
鳥影
(旧字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
と
強請
(
せが
)
むと、慌てて膝の下に押し隠して
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
おげんも余りうるさく寄り付いて来なかったが、それがいよいよ出来あがると、彼女は先夜の約束通りにあなたのお弟子にしてくれと
強請
(
せが
)
んで来た。
半七捕物帳:33 旅絵師
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
とまはりの子供達が
強請
(
せが
)
む中に、平太郎はお涌を見つけると愛想笑ひをして
蝙蝠
(新字旧仮名)
/
岡本かの子
(著)
なんと
賺
(
すか
)
しても
肯
(
き
)
くどころか、木賃の
老爺
(
おやじ
)
が、口を
酢
(
す
)
くして、叱ったり
宥
(
なだ
)
めたりすれば、却って、悪たれをたたき、一方の武蔵へは、よけいに
執
(
しつ
)
こくなって、腕くびをつかむ、抱きついて
強請
(
せが
)
む
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『
否
(
いいえ
)
、小供達に
強請
(
せが
)
まれて螢狩に。貴方も御散歩?』
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
それで
悄々
(
しおしお
)
帰りますと、あくる日お津賀がわたくしの宿へ押し掛けて参りまして、後金を早くどうかしてくれなければ近所へ対して面目がないと
強請
(
せが
)
みます。
半七捕物帳:17 三河万歳
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と、半瓦とお杉のまわりに集まって来て、うるさく
強請
(
せが
)
む。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
すぐにその尾について又いつもの話をしてくれと甘えるように
強請
(
せが
)
むと、また手柄話ですかと老人はにやにや笑っていたが、とうとう私に口説き落されて、やがてこんなことを云い出した。
半七捕物帳:05 お化け師匠
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
強請
(
せが
)
まれて、お菊は、帯に
挿
(
さ
)
している
笛嚢
(
ふえぶくろ
)
を抜いた。
松のや露八
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
いくら
強請
(
せが
)
んでも動きそうもないので、千枝太郎もあきらめてそこを出た。今夜は薄い月が行く手を照らして、もう木枯らしとでもいいそうな寒い風が時どきに木の葉を吹きまいて通った。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
玄蕃允は、
強請
(
せが
)
みあぐねた気味で、ふと将監を顧み
新書太閤記:09 第九分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「兄さん、お話しなさいよ。」と、冬子も
強請
(
せが
)
むように迫り問うた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
三之助は
強請
(
せが
)
む。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“強請”の意味
《名詞》
(きょうせい、ごうせい)無理に頼むこと。
「ゆすり」参照。
「もがり」参照。
(出典:Wiktionary)
強
常用漢字
小2
部首:⼸
11画
請
常用漢字
中学
部首:⾔
15画
“強請”で始まる語句
強請事
強請場
強請者
強請的
強請言