トップ
>
左様
>
さう
ふりがな文庫
“
左様
(
さう
)” の例文
旧字:
左樣
成程
左様
(
さう
)
言はれて見ると、
少許
(
すこし
)
も人を
懼
(
おそ
)
れない。
白昼
(
ひるま
)
ですら出て
遊
(
あす
)
んで居る。はゝゝゝゝ、寺の
内
(
なか
)
の
光景
(
けしき
)
は違つたものだと思つたよ。
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
伴
(
つれ
)
なる書生のしたり顔「
左様
(
さう
)
サ、陸海軍御用商人、九州炭山株式会社の取締、
俄大尽
(
にはかだいじん
)
、
出来星
(
できぼし
)
紳商山木剛造殿の御宅は
此方
(
こなた
)
で御座いサ」
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
「
左様
(
さう
)
してくれるんか。えらい覚悟をしてくれた。何んせ、学問よりや、名誉よりや、身代が大切ぢやで、えゝとこへ気がついた」
途上
(新字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
「
左様
(
さう
)
です」と代助は答へてゐる。
親爺
(
おやぢ
)
から説法されるたんびに、代助は返答に窮するから好加減な事を云ふ習慣になつてゐる。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
『マア、
左様
(
さう
)
で御座いますか!』と一層驚いて、『
私
(
わたし
)
もアノ、
其家
(
そこ
)
へ参りますので……渡辺さんの
妹様
(
いもうとさん
)
と、私と
矢張
(
やはり
)
同じ
級
(
クラス
)
で御座いまして。』
鳥影
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
▼ もっと見る
此処の屋根におちたのかと聞き違へたが
左様
(
さう
)
ではなかつた、多数の人々が長竿や梯子を持つていつまでも騒いでゐた。
五月のはじめ
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
母親は今更悪い事をしたと思ひました、清らかな月の光りを見るのが恥かしくなりました、
左様
(
さう
)
して
只
(
ただ
)
悲しさの余り畠の中に泣き伏して
居
(
を
)
りました。
金銀の衣裳
(新字旧仮名)
/
夢野久作
(著)
はじめは
先生
(
せんせい
)
も
笑
(
わら
)
ひながら、ま、あなたが
左様
(
さう
)
思
(
おも
)
つて
居
(
ゐ
)
るのなら、しばらくさうして
置
(
お
)
きましやう。
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「故人の意に反して」といふ批難は辞しやうが無いが、
左様
(
さう
)
いふ批難を加へらるゝ人々に対しては、我々が故人に向つて持つ敬意を聊かは考慮せられんことを請ふて置く。”
一葉の日記
(新字旧仮名)
/
久保田万太郎
(著)
細君は細君で「ほんとに
左様
(
さう
)
だ。妾のフェルナン」と答えていつも機嫌がいい。
二人のセルヴィヤ人
(新字新仮名)
/
辰野隆
(著)
良
(
りやう
)
さん
学校
(
がくかう
)
が
御試験中
(
ごしけんちう
)
だと
申
(
まを
)
すではございませんか。アヽ
左様
(
さう
)
。それに
妾
(
わたし
)
の
処
(
ところ
)
へばつかし
来
(
き
)
て
居
(
ゐ
)
らしやつてよろしいんですか。そんな
事
(
こと
)
まで
気
(
き
)
にするには
及
(
およ
)
ばない
病気
(
びやうき
)
の
為
(
ため
)
にわるいから。
闇桜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
従つて近時の翻訳は粗雑であるとか、乱暴であるとかいふのも筋の通らない論である、えて
左様
(
さう
)
いふ事は老人の言であるが——現筆者も老人であるが——それは全く事理を
弁
(
わきま
)
へぬ言である。
翻訳製造株式会社
(新字旧仮名)
/
戸川秋骨
(著)
船頭「
左様
(
さう
)
でもごぜへますめへ。秀八と
寝言
(
ねごと
)
の手がありやアしませんかね。」
町中の月
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「
左様
(
さう
)
かも知れません。この頃かういふ事が流行ださうですから。」
姉弟と新聞配達
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
「本当に
左様
(
さう
)
でも
為
(
し
)
て貰はねいぢや……」
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
『どうしてまあ
兄弟喧嘩
(
きやうだいげんくわ
)
を為るんだねえ。』と細君は怒つて、『
左様
(
さう
)
お前達に
側
(
はた
)
で騒がれると、母さんは
最早
(
もう
)
気が
狂
(
ちが
)
ひさうに成る。』
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
そりや、
婆
(
ばあ
)
や、お前が
日常
(
いつも
)
言ふ通り、老少不常なんだから、
何時
(
いつ
)
如何
(
どんな
)
ことが起るまいとも知れないが、
然
(
し
)
かし
左様
(
さう
)
心配した日には
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
左様
(
さう
)
した立場から眺めると、
如何
(
いか
)
に
凄
(
すさま
)
じい光景でも、如何に
腥
(
なま
)
ぐさい舞台でも、それに相応した内面的背景を
具
(
そな
)
へて居ないといふ点に
於
(
おい
)
て
点頭録
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
左様
(
さう
)
して彼は、毎朝日課のやうに、何となく洞ろな感じに苦しい、酷く騒々しい手水を使ふやうになつてゐた。
秋晴れの日
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
皇太子はお玉
母娘
(
おやこ
)
を先立てゝやがて
此家
(
このうち
)
に
這入
(
はひ
)
りまして眼の前の不思議に感心をしました、
左様
(
さう
)
して
此
(
この
)
娘が大きくなつたらば自分の
后
(
きさき
)
に貰ひたいと望みました。
金銀の衣裳
(新字旧仮名)
/
夢野久作
(著)
エ?
左様
(
さう
)
々々、君はまだ御存じなかつたんだ。罷めましたよ、
遂々
(
たうたう
)
。何でも校長といふ奴と、——僕も二三度見て知つてますが、
鯰髯
(
なまづひげ
)
の随分
変梃
(
へんてこ
)
な
高麗人
(
かうらいじん
)
でネ。
雲は天才である
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
それでも親の慈悲や兄の
情
(
なさけ
)
で
何
(
ど
)
うかして学校へも
行
(
ゆ
)
く様に真人間にして
遣
(
や
)
りたいと思へばこそ
性懲
(
しやうこり
)
を
附
(
つ
)
けよう為に、
昨夜
(
ゆうべ
)
だつて
左様
(
さう
)
だ、一晩裸にして
夜着
(
よぎ
)
も
被
(
き
)
せずに
打棄
(
うつちや
)
つて置いたのだ。
妖怪年代記
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
客「ムヽ
左様
(
さう
)
だつけの。」(ト言ひながら船にいたる。)
町中の月
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「それは
左様
(
さう
)
だらう」
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
誰の隣に誰を据ゑて、誰の向ふを誰の席にして——
左様
(
さう
)
なつて来ると、これでナカ/\面倒だ。それよりは
矢張
(
やつぱり
)
日本料理に願ひたいトサ。
出発
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
ちと、
左様
(
さう
)
云ふ意見を発表したら
好
(
い
)
いぢやないかと勧めると、
左様
(
さう
)
は
行
(
い
)
かないよと笑つてゐる。
何故
(
なぜ
)
と聞き返しても答へない。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
左様
(
さう
)
です、
若
(
も
)
し松本等の主張ならば、僕も驚きは致しませぬ、
然
(
しか
)
るに
彼
(
あ
)
の温良なる、
寧
(
むし
)
ろ温柔の
嫌
(
きらひ
)
ある浦和武平が、涙を
揮
(
ふる
)
つて之を宣言したのです
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
他の銅像達が
左様
(
さう
)
であるやうに彼等も本来の自分の名前を呼び合ふ代りに、銅像の名称で称び合つてゐた。
山彦の街
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
「
左様
(
さう
)
か、そんな病気なら、少し炭を持つて来て呉れ、湯を沸すから。」と
再
(
また
)
淋しく笑ひました。
雲は天才である
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
左様
(
さう
)
して
皆
(
みな
)
取り逃がしたと思つて残念がつて帰つて
行
(
ゆ
)
きました。
金銀の衣裳
(新字旧仮名)
/
夢野久作
(著)
客「
左様
(
さう
)
だらうヨのウ。」
町中の月
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
「あれが、
左様
(
さう
)
です」
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
『だつて、君、
左様
(
さう
)
釈
(
さと
)
るより外に考へ様は無いぢやないか——唯新平民が美しい思想を持つとは思はれないぢやないか——はゝゝゝゝ。』
破戒
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「なに
宅
(
うち
)
にゐる書生ですがね。
人
(
ひと
)
に何か云はれると、屹度
左様
(
そん
)
なもんでせうか、とか、
左様
(
さう
)
でせうか、とか答へるんです」
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
『
左様
(
さう
)
ではありませぬ』と主張して居る様に見える。
雲は天才である
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
「
何卒
(
どうぞ
)
、私の書いたものをよく読んで見て下さい。」
左様
(
さう
)
言つて置いて奥さんの前を
引退
(
ひきさが
)
つた。あの
心地
(
こゝろもち
)
は今だに続いて居る。
突貫
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「
左様
(
さう
)
ぢやらうがな、もし。若いうちは誰もそんなものぢやけれ」此挨拶には痛み入つて返事が出来なかつた。
坊っちやん
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「三年
経
(
た
)
てばヒドイものぢやないか。」と叔父さんは寂しさうに笑つて、「叔母さんのことも
余程
(
よほど
)
忘れて来た——正直な話が、
左様
(
さう
)
だ——」
出発
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
駄目だが一年もかうやられる以上は、おれも人間だから駄目でも何でも
左様
(
さう
)
ならなくつちや始末がつかない。どうしても早く東京へ帰つて清と一所になるに限る。
坊っちやん
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
愚図々々して居る時ぢやない、うつかりすると栄ちやんまでお嫁に行き損なつて了ふ。
左様
(
さう
)
思つたから、ドシンと一つ電報で驚かして呉れた。
出発
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
なに
左様
(
さう
)
ぢやないんでせう。実は母が看病に行つてるんですが、——もし病気の
為
(
ため
)
なら、電車へ
乗
(
の
)
つて
馳
(
か
)
けて来た方が早い
訳
(
わけ
)
ですからね。——なに妹の
悪戯
(
いたづら
)
でせう。
三四郎
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
「
左様
(
さう
)
サ……。」と御隠居さんも声を低くして、「それはさうと、柿田さんを
彼様
(
あゝ
)
して附けて置いても可からうか……。」
死の床
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「
柿田
(
かきた
)
さん、なんでもかんでも
貴方
(
あなた
)
に
被入
(
いらつ
)
しつて頂くやうに、私が行つて院長さんに御願ひして来て
進
(
あ
)
げる——
左様
(
さう
)
言つて、引受けて来たんですよ。」
死の床
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
左様
(
さう
)
かと思ふと、ゆるい流れのところへ出て、岸から垂下る
楊
(
やなぎ
)
の枯枝がバラ/\船の屋根へ触つたり、船頭が
漕
(
こ
)
いで行く
艫
(
ろ
)
の音が水に響いて聞えたりした。
突貫
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
『母さまはキイキを癒しに
被入
(
いら
)
つしやるんですよ。』と私が申上げましたら、『知つてるよ』なんて
左様
(
さう
)
仰
(
おつしや
)
いまして……あれを思ふと御可哀さうで御座います。
灯火
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
病院の規則としては御断りするんだけれど、まあ
他
(
ほか
)
の方でないからツて、院長さんも
左様
(
さう
)
仰
(
おつしや
)
るんですよ。
死の床
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「よく
左様
(
さう
)
いふ方が御座いますよ。雨の降る日には
用達
(
ようたし
)
に歩くのも好きだなんて。」
灯火
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
「もし病院の近所へ
御家
(
おうち
)
でも御借りなさるやうでしたら、また御世話を致します。坊ちやま方を御連れなさるが可う御座います。いくらも
左様
(
さう
)
して来て
被入
(
いら
)
つしやる方が御座います。」
灯火
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
二人で雪の中に凍えたかも知れない……
左様
(
さう
)
でなくてすら、あの
際涯
(
はてし
)
の無い白い海のやうなところで、もうすこしで私は死ぬかと思つた……私は
身体
(
からだ
)
が寒いばかりだとは思はなかつた。
突貫
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
左
常用漢字
小1
部首:⼯
5画
様
常用漢字
小3
部首:⽊
14画
“左様”で始まる語句
左様々々
左様左様
左様然
左様右様
左様だとも
左様御承知被下度候