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山巓
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さんてん
ふりがな文庫
“
山巓
(
さんてん
)” の例文
雪を被つた
山巓
(
さんてん
)
も無論いゝ。がこの峠から見る富士は寧ろ山の麓、即ち富士の裾野全帶を下に置いての山の美しさであると思つた。
樹木とその葉:06 四辺の山より富士を仰ぐ記
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
自分の側室で私が目を
醒
(
さ
)
ますと、小さな窓枠の中に、
藍青色
(
らんせいしょく
)
に晴れ切った空と、それからいくつもの真っ白い鶏冠のような
山巓
(
さんてん
)
が
風立ちぬ
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
カルレムエ山脈第一の高峰ウルムナリ
山巓
(
さんてん
)
が見えるでしょう。こんなに大きく見える望遠鏡を持っているのはこの中央天文台だけです。
空中墳墓
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
(11)この文章はイングラム版には「真理はわれわれがそれを探し求める渓谷にはなくて、それの見出される
山巓
(
さんてん
)
にあるのだ」
モルグ街の殺人事件
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
一昨年は五月二十六日には
山巓
(
さんてん
)
に降雪があり(信州浅間山にも同年五月二十四日九合目以上に約四、五寸の降雪があった)
高山の雪
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
▼ もっと見る
海抜二千八百三米の
山巓
(
さんてん
)
に立ちて、かくまでに冴え渡った展望観を
恣
(
ほしいまま
)
にすることは、登山の最大快事であるというてよい。
大井川奥山の話
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
橘柚
(
オレンジ
)
檸檬
(
リモネ
)
の林を見下し、高くは
山巓
(
さんてん
)
の雲を踏み、低くは水草茂れる沼澤の上を飛びしときは、終に茫漠たる平野の
正中
(
たゞなか
)
なる羅馬の都城に至りぬ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
ゲンパラ
山巓
(
さんてん
)
の告別 私はそういう旧話を思い出して
笑止
(
おか
)
しく感じたです。こりゃごく近頃の話でまだ二十年はたたない。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
しかし、その季節以外は
時偶
(
ときたま
)
霽
(
は
)
れて、
Rim-bo-ch'e
リム・ボー・チェ
(紅蓮峰)ほか外輪四山の
山巓
(
さんてん
)
だけが、ちらっと見えることがある。
人外魔境:03 天母峰
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
それより山道を
或
(
ある
)
いは登り、或いは
降
(
くだ
)
り、山間の
大子
(
だいご
)
駅の一里半ほど手前まで来かかると、日はタップリと暮れて、十七夜の月が
山巓
(
さんてん
)
に顔を出した。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
しかも、この山からさらに次の峰に続き、またその隣りの
山巓
(
さんてん
)
に列なり、それらの山々にはやはり小径がうねうねと木の葉隠れに見え隠れしていた。
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
毎日高尾の
山巓
(
さんてん
)
にたって、一
羽
(
わ
)
の鳥影も見のがさずに、
鷲
(
わし
)
の帰るのを待ちわびている者は、
加賀見忍剣
(
かがみにんけん
)
その人である。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかし、
山巓
(
さんてん
)
の松火の火が、いかにも粛然と隊伍を整え、悠々と動いて行くのを見ると、心を乱さざるを得なかった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そのときも博士は、
山巓
(
さんてん
)
の草原まで小使手打ちの自慢の蕎麥切りを運ばせてきて、青空の下に嗜遊の宴を振舞った。
食指談
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
もし形容の言葉を着ければ、正に小さな私たち二人は、遠い
山巓
(
さんてん
)
から漲り落ちる大石の洪水の上にゐるのであつた。
槍ヶ岳紀行
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それから淡い煙のような
山巓
(
さんてん
)
の雲の群、すべてそれらのものが朝の光を帯びて私の眼に映った時から、私はもう以前の自分ではないような気がしました。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
富嶽駿河の国に
崛起
(
くつき
)
せしといふ朝、彼は幾億万里の
天崕
(
てんがい
)
よりその
山巓
(
さんてん
)
に急げり、而して富嶽の威容を愛するが故に、その殿居に
駐
(
とゞ
)
まり
棲
(
す
)
みて、遂に
復
(
ま
)
た去らず。
富嶽の詩神を思ふ
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
曩
(
さき
)
に三河国の某女が、下駄がけを以て富士登山の先駆をなし、野中千代子が雪中一万二千尺の
山巓
(
さんてん
)
に悲壮なる
籠居
(
ろうきょ
)
を敢てせし以来、奈良朝の昔、金峰山の女尼が
女子霧ヶ峰登山記
(新字新仮名)
/
島木赤彦
(著)
皆起出して、
掛蒲団
(
かけぶとん
)
を探す。何時頃だったろう。——外は昼のように明るかった。月は正にヴァエア
山巓
(
さんてん
)
に在った。丁度真西だ。鳥共も奇妙に静まり返っている。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
由子は遠く
山巓
(
さんてん
)
に湧き出した白雲を見ながら、静かに心の中で愛する紅玉色の硝子玉を撫で廻した。
毛の指環
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
第三 積雪常ニ
山巓
(
さんてん
)
ヲ寒カラシム 故ニ
升騰
(
しょうとう
)
ノ気凝集シテ水湿ヲ
山礀
(
さんかん
)
ニ生ジ以テ江河ノ源ヲ養フ
雪
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
けだし
山巓
(
さんてん
)
平坦なるより名を得たるものならん、この山は各種の地理書に
漏
(
も
)
れたれば、明治の初年には知るものなかりしが如し、それより新式の鉄砲の渡来してより、越後、岩代
平ヶ岳登攀記
(新字新仮名)
/
高頭仁兵衛
(著)
俄
(
にわ
)
かに
山巓
(
さんてん
)
の観測所に閉居するに至らば、あるいは予よりも
先
(
さ
)
きに倒るることなきを
保
(
ほ
)
せず、
殊
(
こと
)
に幾分測器の
取扱
(
とりあつかい
)
位は、心得あるを要するがゆえに、
遂
(
つい
)
にこれを伴わざるに決したり。
寒中滞岳記:(十月一日より十二月廿一日に至る八十二日間)
(新字新仮名)
/
野中至
(著)
山巓
(
さんてん
)
一
滴
(
てき
)
の
水
(
みづ
)
を
得
(
う
)
る能はざるを以て、
餅
(
もち
)
を
炙
(
あぶ
)
りて之を
食
(
くら
)
ふ、餅は今回の
旅行
(
りよこう
)
に就ては
実
(
じつ
)
に重宝なりき、此日や喜作なるもの
遅
(
おく
)
れて
到
(
いた
)
り、「いわな」魚二十三尾を
釣
(
つ
)
り来る、皆尺余なり
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
が、それも無理はない、ユンクフラウの最初の登山は千八百十一年であるが、メョンヒは半世紀も遅れて五十七年の八月十五日になって、初めて
山巓
(
さんてん
)
を人に示したとつたえられている。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
昔
山巓
(
さんてん
)
でしたやうな深呼吸を一つして
我が愛する詩人の伝記
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
昔
山巓
(
さんてん
)
でしたやうな深呼吸を一つして
智恵子抄
(新字旧仮名)
/
高村光太郎
(著)
白妙に雪を被つた
山巓
(
さんてん
)
も無論いゝ。が、この峠から見る富士は寧ろ山の麓、即ち富士の裾野全帶を下に置いての山の美しさであると思つた。
樹木とその葉:30 駿河湾一帯の風光
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
微妙な、ほのめきを投げる深夜の太陽のしたで、とおい、
雪崩
(
なだれ
)
の音を聴きながら、じっと考えているのだ。周囲の、
山巓
(
さんてん
)
も氷河もまったく死の世界。
人外魔境:08 遊魂境
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
なんでもこの
山巓
(
さんてん
)
を少し
降
(
くだ
)
った
叢
(
くさむら
)
の中には、どこかに岩間から湧き
出
(
いづ
)
る
清泉
(
せいせん
)
があるとは、日中
麓
(
ふもと
)
の村で耳にしたので
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
どうっ——と
山巓
(
さんてん
)
からふき
颪
(
おろ
)
してくる暁闇の大気が、武蔵のからだへ雨かとばかり
雫
(
しずく
)
を落し、松のこずえや大竹藪を
潮騒
(
しおさい
)
のように山裾へ
翔
(
か
)
けてゆく。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
長次郎等を
室堂
(
むろどう
)
に遣り、米味噌
其
(
その
)
他の必需品を
購
(
あがな
)
わしめ、吾等は悠々
山巓
(
さんてん
)
を南に伝いて、午後二時、雄山。
黒部川奥の山旅
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
快晴の日は、富士の
山巓
(
さんてん
)
も望まれるという。池の
辺
(
ほとり
)
に咲乱れた花あやめは楽しい感じを与えた。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
勇しく
疾
(
と
)
び駈ける馬に立ち
騎
(
の
)
りでもしているように、しっかり、窓に向って両脚で突っ立って、遠い遠い
山巓
(
さんてん
)
を眺めていると、車体の揺れと自然との交感が音波のように錯綜して
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
夜が明けて朝となり、朝日が
山巓
(
さんてん
)
に射し出した時、倶係震卦教は説明を終った。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
事実、重要なほうの知識となると、それはいつも
表面
(
うわべ
)
にあるものだと僕は信じる。深さは、真理を探し求める渓谷にあるのであって、その真理が見出される
山巓
(
さんてん
)
にあるのではない
(11)
。
モルグ街の殺人事件
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
自由は
山巓
(
さんてん
)
の空気に似てゐる。どちらも弱い者には堪えることは出来ない。
侏儒の言葉
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
ロイドは、自発的に勤労を申出た二百人の土人を指揮して、未明から、ヴァエア
山巓
(
さんてん
)
への道を
斫
(
き
)
り
拓
(
ひら
)
いていた。其の山頂こそ、スティヴンスンが、生前、埋骨の地と指定して置いた所だった。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
翌朝ネピを發してテルニイに
抵
(
いた
)
りぬ。こは伊太利
疆内
(
きやうない
)
にて最も美しく最も大なる瀑布ある處なり。われは
案内者
(
あないじや
)
と共に、騎して市を出で、暗く茂れる
橄欖
(
オリワ
)
の林に入りぬ。
濕
(
うるほ
)
ひたる雲は
山巓
(
さんてん
)
に棚引けり。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
夜
(
よ
)
は暗く、ただ焚火の光の空を焦がすのみ。雨は相変らずショボショボと降り、風は雑草を揺がして泣くように吹く、人里離れし
山巓
(
さんてん
)
の
寂莫
(
せきばく
)
はまた格別である。
本州横断 癇癪徒歩旅行
(新字新仮名)
/
押川春浪
(著)
そしてなお、士気を鼓舞するために、すべての兵が
山巓
(
さんてん
)
の一端へ登りきると、そこで玄徳と関羽は、おごそかなる
破邪攘魔
(
はじゃじょうま
)
の祈祷を天地へ向って捧げるの儀式を行った。
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
白衣の美女二人が
山巓
(
さんてん
)
を去る尺余の天に双び舞ったということは、
之
(
これ
)
を笠雲などの生じたものと見れば説明されぬことはないなどとさかしらぶることは、古人の心を知らぬものと称してよい。
二、三の山名について
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
自由は
山巓
(
さんてん
)
の空気に似ている。どちらも弱い者には堪えることは出来ない。
侏儒の言葉
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
主観的なリアリズムは、志賀直哉の作品でその
山巓
(
さんてん
)
が示されていた。
婦人と文学
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
陣営のある所からまたすこし登った平井山の
山巓
(
さんてん
)
に近い一平地である。秀吉はそこへ行って
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
三尺ほどの高さに石を真四角に積み重ねてある
山巓
(
さんてん
)
に達した。
奥秩父の山旅日記
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
歴史の実をもって、現状の変を
洞察
(
どうさつ
)
し、また時局の底流を
按
(
あん
)
じ、多年、身は秀吉の一幕下に置いては来たが、心は高く栗原山の
山巓
(
さんてん
)
から日本中のうごきと、時代の
帰趨
(
きすう
)
とを大観して——或る結論を
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
山
常用漢字
小1
部首:⼭
3画
巓
漢検1級
部首:⼭
22画
“山”で始まる語句
山
山家
山路
山羊
山茶花
山間
山中
山谷
山毛欅
山車