寒氣かんき)” の例文
新字:寒気
其年そのとし京都きやうとふゆは、おとてずにはだとほ陰忍いんにんたちのものであつた。安井やすゐこの惡性あくしやう寒氣かんきてられて、ひどいインフルエンザにかゝつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
皚々がい/\たる雪夜せつやけいかはりはなけれど大通おほどほりは流石さすが人足ひとあしえずゆき瓦斯燈がすとうひか皎々かう/\として、はだへをさす寒氣かんきへがたければにや
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
北海道ほくかいだう移住後いぢゆうご冬時とうじ服裝ふくさうは、内地ないちりしときほとんどことならず。しかして當地たうち寒氣かんき左程さほどかんぜざるのみならず、凍傷とうしやうとう一度いちどをかされたることあらず。
命の鍛錬 (旧字旧仮名) / 関寛(著)
いや寒氣かんきだとか、疼痛とうつうだとかはかんじないこと出來できるです。マルク、アウレリイがつたことりませう。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
これは『冬芽とうが』とよび、落葉樹らくようじゆではちたあとのえだあひだから、常緑樹じようりよくじゆではそのえだとのあひだぐんで寒氣かんきをも平氣へいきでくゞつてすこしづゝ生長せいちようつゞはるになるときゆう發芽はつがするわけです。
森林と樹木と動物 (旧字旧仮名) / 本多静六(著)
抑も斯かる覆面は何の爲にもちゐらるるかとへば、故らに面貌めんばうを奇にする爲か他人たにんに面貌を示さざる爲かしからざれば寒氣かんきを防ぐ爲なるべし。思ふに第三種の用こそ此場合このばあひに於けるまことの用ならめ。
コロボックル風俗考 (旧字旧仮名) / 坪井正五郎(著)
外套をとほして寒氣かんきはしん/\と身に沁みた。さうなつてみると私には家人の眼を醒してはいけないと同時に、何だつて此處にじつとしてゐなくてはならないのか、さつぱり譯がわからなかつた。
また博物館はくぶつかん學問がくもんをするのにいくらつごうよく出來できてゐても、館内かんない設備せつびがよく調とゝのはねばだめです。ふゆさむ暖房だんぼうがなかつたりしたら寒氣かんきのためにちついて勉強べんきようすることも出來できないのです。
博物館 (旧字旧仮名) / 浜田青陵(著)
つかね通行する者あるべからず折角せつかく寒氣かんき
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
をんなまど障子しやうじひらきて外面そともわたせば、むかひののきばにつきのぼりて、此處こゝにさしかげはいとしろく、しもひき身内みうちもふるへて、寒氣かんきはだはりさすやうなるを
軒もる月 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
しかかれをして露西亞ロシヤすまはしめたならば、かれかならず十二ぐわつどころではない、三ぐわつ陽氣やうきつても、へやうちこもつてゐたがるでせう。寒氣かんきためからだなに屈曲まがつてしまふでせう。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)