大沼おほぬま)” の例文
ひと馬鹿ばかにしてるではありませんか。あたりのやまでは処々ところ/″\茅蜩殿ひぐらしどのどろ大沼おほぬまにならうといふもりひかへていてる、なゝめ谷底たにそこはもうくらい。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
其処そこでこのむしのぞみかなときはありつたけのひる不残のこらずつたゞけの人間にんげん吐出はきだすと、それがためにつちがとけてやま一ツ一めんどろとの大沼おほぬまにかはるであらう
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
たかひくく、声々こゑ/″\大沼おほぬまのひた/\とるのがまざつて、暗夜あんやきざんでひゞいたが、くもからりたか、みづからいたか、ぬま真中まんなかあたりへうすけむり朦朧もうろうなびいてつ……
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
みちぬるものなら一あしでもまへすゝんで、世間せけんものゆめにもらぬどろ大沼おほぬま片端かたはしでもかうと、覚悟かくごきはまつては気味きみわるいもなにもあつたものぢやない
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
大沼おほぬま刻限こくげんも、村里むらざとかはう、やがて丑満うしみつおもふ、昨夜ゆふべころ、ソレ此処こゝで、とあみつたが、ばんうへ引揚ひきあげるまでもなく、足代あじろうへからみづのぞくと歴然あり/\またかほうつつた。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
うつくしきひとの、葉柳はやなぎみのたる忍姿しのびすがたを、落人おちうどかとれば、あにらんや、あつ情思おもひ隱顯ちら/\ほたるすゞむ。きみかげむかふるものは、たはれをそか、あらず、大沼おほぬまこひ金鱗きんりんにしてひれむらさきなるなり
五月より (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
大沼おほぬまみづたゞかぜにもらずあめにもらぬ、灰色はいいろくもたふれたひろ亡体なきがらのやうにえたのが、みぎはからはじめて、ひた/\と呼吸いきをしした。ひた/\とした。かすかにひた/\と鳴出なりだした。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
水源みなもとを、岩井いはゐ大沼おほぬまおこすとふ、浦川うらかはけたはしわたつたころである。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)