銭形平次捕物控:119 白紙の恐怖 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
さすがは大店の旦那だ、お前達とは了見が違うぜ。俺が行って話をすると、そいつあ啓次の方がいけねえって、さんざん小言をくってた。
黒点:――或る青年の「回想記」の一節―― (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
前置きは長くなったが、そのほとりの大店は、夕方早くから店の格子を入れてしまう。この格子は特長のあるいいものだった。
旧聞日本橋:24 鬼眼鏡と鉄屑ぶとり(続旧聞日本橋・その三) (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「大店の若旦那だから、大方そんなことでしょうね」と、云いながら半七は少し考えていたが、やがて又しずかに云い出した。
半七捕物帳:63 川越次郎兵衛 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
しかし、今度の一揆じゃ、中津川辺の大店の中には多少用心した家もあるようです。そりゃ、こんな騒ぎをおっぱじめた百姓仲間ばかりとがめられません。
夜明け前:03 第二部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
幕末維新懐古談:18 一度家に帰り父に誡められたはなし (新字新仮名) / 高村光雲(著)
宅へ帰ってどうすると云うあてもないので、銀座通りをぶらぶら歩き、大店のガラス窓の中を覗いてみたり雑誌屋の店先をあさってみたり、しばらくはほとんど何事も忘れていた。
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
寧ろ下町の大店の主人、商人風の好紳士、と云つたやうに見受けた。
青春物語:02 青春物語 (新字旧仮名) / 谷崎潤一郎(著)
銭形平次捕物控:129 お吉お雪 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
半七捕物帳:63 川越次郎兵衛 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
大菩薩峠:29 年魚市の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
女隠居は、六十前後、かつては日本橋あたりの大店の主人の囲い者だったそうで、下女一人を使って、つつましく暮しておりました。
銭形平次捕物控:077 八五郎の恋 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
半七捕物帳:08 帯取りの池 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
銭形平次捕物控:030 くるい咲き (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
旧聞日本橋:24 鬼眼鏡と鉄屑ぶとり(続旧聞日本橋・その三) (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「うちは大店だし、二十六にもなる娘を嫁にやるとなれば、軽くやっても二百両や三百両はかかるだろう、それを百両で片がつくんだし、娘は初めて男の味を知るわけだ」
「何も、あたしをチヤホヤしてくださる方は、鈴川の殿様ばかりとはかぎりません。鍛冶屋の富五郎さんだって、それから当り矢の店へ来てくだすった大店の若旦那やなんか……」
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
金之丞さんも身内には相違ありませんが、縁が遠くなりますし、それに、あの通り弱い方で、大店を切り廻す方じゃございません。
銭形平次捕物控:032 路地の足跡 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)