しゅう)” の例文
ここは唐土もろこしで、自分はしゅう武王ぶおうの軍師で太公望たいこうぼうという者であると彼は名乗った。そうして、更にこういうことを説明して聞かせた。
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
子澄が曰く、しからず、燕はあらかじめ備うること久しければ、にわかに図り難し。よろしく先ずしゅうを取り、燕の手足しゅそくり、しこうして後燕図るべしと。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
これははなやかな甲冑かっちゅう陣太刀じんだちのよそおいで、黄母衣きほろ白母衣しろほろ赤母衣あかほろ、をにながし、ゆるいにじのように場内じょうないを一しゅうした。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あの厳重に密封した重い荷が、軍務司長への贈物だったのか。しゅう副官が吉報だと云ったのも、そう云われればうなずかれる”
雲南守備兵 (新字新仮名) / 木村荘十(著)
しゅうの武王が臣の身として、君主であったいん紂王ちゅうおうを討ったのさえ、天の命ずるところにしたがい、民の与望にこたえれば、事は成就じょうじゅし、天は認めて
しゅうの王朝は、夏殷かいん二代の王朝の諸制度を参考にして、すばらしい文化を創造した。私は周の文化に従いたい。」
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
これから、ぼくは、おとうさんと地球ちきゅうを一しゅうして、さんごじゅのしげったみなみしまかえるのだ。げんちゃん、ぼくたちのんでいる、みなみほうへ、きみもやっておいでよ。
台風の子 (新字新仮名) / 小川未明(著)
司馬氏はもとしゅうの史官であった。後、しんに入り、しんに仕え、かんの代となってから四代目の司馬談しばたんが武帝に仕えて建元けんげん年間に太史令たいしれいをつとめた。この談が遷の父である。
李陵 (新字新仮名) / 中島敦(著)
しょう妲己だっきのために騒動がもちあがった。しゅう褒姒ほうじのために破壊された? 秦……公然歴史に出ていないが、女のために秦は破壊されたといっても大して間違いはあるまい。
阿Q正伝 (新字新仮名) / 魯迅(著)
しゅう武王ぶおういん紂王ちゅうおうたんと出征したとき、民みな武王ぶおうの意を迎えたが、伯夷叔斉はくいしゅくせいのみは独立行動にでて、武王ぶおうの馬をたたいていさめた。左右の者ども両人をへいせんとした。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
それは夏の燃えるような暑い時であった。その村にしゅうという家の庭園があって、へいくずれ家は破れて、ただ一つのあずまやのみが残っていたが、涼しいので村の人達がたくさんそこへ泊りにいった。
王成 (新字新仮名) / 蒲 松齢(著)
しゅう幽王ゆうおうに一人の寵妃ちょうきがあった、ところが、彼女は笑ったためしがない。
各時代の歴史はそれぞれの偉大な王侯や、英雄を有ち、また重く強い民衆をひかえているのであります。しゅうしんや漢や六朝りくちょう、つづいてとうそうげんみんしんの各時代は、それぞれ巨大な歴史を有って居ります。
北支の民芸(放送講演) (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
土地のしゅうという家に一人の奴僕しもべがあった。ある日、たきぎを伐るために、妻と妹をつれて山の中へ分け入ると、奴僕はだしぬけに二人に言った。
彼の休暇が切れて、しゅう副官のところへ出頭する日まで、何の調べも出来ていなかった。僕等が探してやると云った学生達からも、無論、音沙汰はない。
雲南守備兵 (新字新仮名) / 木村荘十(著)
えん王、しゅう王、せい王、しょう王、だい王、みん王等、秘信相通じ、密使たがいに動き、穏やかならぬ流言ありて、ちょうに聞えたり。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
その種子たねは、遠い熱帯の異国からわずかにもたらされて、しゅうの代にようやく宮廷の秘用にたしなまれ、漢帝の代々よよになっても、後宮こうきゅうの茶園に少しまれる物と
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いやしくも私を招くのだ。いいかげんな考えからではあるまい。私は、私を用いるものがあったら、第二のしゅうをこの東方に建設しないではおかないつもりだ。」
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
そして、いけうえを、なつかしそうに一しゅうしたかとおもうと、ここを見捨みすてて、陣形じんけいつくって、たがいにわしながら、かなたへとえていってしまったのであります。
がん (新字新仮名) / 小川未明(著)
しかるに彼らは真に心の独立を重んじ、ついには我が心にかなわぬしゅうあわを食わずとて首陽山しゅようざんかくれ、歌を詠じて餓死がししたところは、たしかに両人は心の独立を重んじた証拠である。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
「うん、わしが昔読んだ書物に、天下を平定したしゅう武王ぶおうの船にも、白魚が躍りこんできたとかいう話があったのを覚えてるよ。とにかくめでたいことだから、こいつをみんなで喰おうじゃないか」
命じられた通り、ちん団長の名刺を出して、軍務司長の副官、しゅう少佐に面会を求めると、会議だというのに副官はすぐ出て来て、忙しそうに、用件を簡単にと云った。
雲南守備兵 (新字新仮名) / 木村荘十(著)
東晋の永和えいわ年中に、義興ぎこうしゅうという姓の人が都を出た。主人は馬に乗り、従者二人が付き添ってゆくと、今夜の宿りを求むべき村里へ行き着かないうちに、日が暮れかかった。
しんしんえんしゅう等に王とし、そのはなはだしきは、生れてはじめて二歳、あるいは生れてわずかに二ヶ月のものをすら藩王とし、いで洪武十一年、同二十四年の二回に、幼弱の諸子をも封じたるなれ
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
しゅうの時代は殷の時代の礼制を踏襲して、いくらか改変したところがあるが、やはり根本は変っていない。今後周についで新しい時代が来るかも知れないが、礼の根本は変らないだろう。
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
漂泊さすらうことも幾月か。彼の姿はほどなくここ代州たいしゅう雁門県がんもんけん(山西省北部)の街中に見出される。街はしゅう支里しりの城壁にめぐらされ、雁門山がんもんさんる雁門かんは、つねに、北狄ほくてきの侵略にそなえていた。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「されば、古いしゅう皇帝のご子孫だとも伺っている、あのお方です」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
しゅうと呼んだ時代の末頃。
私本太平記:05 世の辻の帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)