トップ
>
偽物
>
にせもの
ふりがな文庫
“
偽物
(
にせもの
)” の例文
旧字:
僞物
同じ印の醤油で同じ品物なら蛋白質の凝結も同じように現われますがもし一方のが
偽物
(
にせもの
)
だと蛋白質が多くありませんから
直
(
すぐ
)
に分ります。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
もう一人は下女のお辰。——良い年増ですよ。——この女は道具屋の娘で、親父の仁兵衛は
偽物
(
にせもの
)
の道具を扱ってお手当になり、母親はそれを
銭形平次捕物控:144 茶碗割り
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
床の間には
春蘭
(
しゅんらん
)
の
鉢
(
はち
)
が置かれて、幅物は
偽物
(
にせもの
)
の
文晃
(
ぶんちょう
)
の山水だ。春の日が
室
(
へや
)
の中までさし込むので、実に暖かい、気持ちが好い。
少女病
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
調べれば調べるほど、いよいよ混沌として、
手懸
(
てがか
)
りが
掴
(
つか
)
めぬ。厳密な検査を施してみたが、
頸
(
くび
)
飾りの
偽物
(
にせもの
)
からは何の異なった指紋も現れぬ。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
おまえの
心配
(
しんぱい
)
は、もっとものことじゃ、
偽物
(
にせもの
)
を
神聖
(
しんせい
)
な
体
(
からだ
)
につけて、
知
(
し
)
らんでいるとは、すなわち
私
(
わたし
)
の
不徳
(
ふとく
)
にもなることじゃ
ひすいを愛された妃
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
もし盲信でなければ、これは恐らく同種の
偽物
(
にせもの
)
に対する寛容であって、やがては今日のごとき鬼術横行の原因をなしたものとも言いえられる。
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
彼等はこの盲法師を、どこまでも
偽物
(
にせもの
)
と信じているらしい。何者かの頼みを受けて、この化物屋敷の内状を探りに来たものと信じているらしい。
大菩薩峠:19 小名路の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「あの
爺
(
じじ
)
い、なかなか
猾
(
ずる
)
い奴ですよ。
崋山
(
かざん
)
の
偽物
(
にせもの
)
を持って来て
押付
(
おっつけ
)
ようとしやがるから、今叱りつけてやったんです」
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と、くさしながら、どじょう汁の大旦那も、古道具やから、高価な
偽物
(
にせもの
)
をつかませられる
好
(
い
)
いお
顧客
(
とくい
)
だった。
旧聞日本橋:23 鉄くそぶとり(続旧聞日本橋・その二)
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
写しだと云ったが、道具屋と結託して鈴虫の厨子の
偽物
(
にせもの
)
を作ったんだ、あいつはもうだめだ、参吉はいい腕を
落葉の隣り
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
天井にへばりついていたために、下からは本当の蠅としか見えなかったのだ。だが誰が天井にへばりついている一匹の蠅を、
真物
(
ほんもの
)
か
偽物
(
にせもの
)
かと疑うものがあろうか。
蠅
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
大抵はもうお判りでしょうが、丸多の主人多左衛門が絵馬道楽で、半気ちがいになっているのを付け込んで、大津屋の重兵衛は正雪の絵馬の
偽物
(
にせもの
)
をこしらえました。
半七捕物帳:50 正雪の絵馬
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それが
偽物
(
にせもの
)
か前のが偽物か、宗門方と陽之助の間に、目まぐるしい紛争がありましたが、ともあれ一騎の使いを山屋敷へ飛ばせてみると、お蝶の駕は着いていません。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
漢学者の使用する一句に、「
羊質虎皮
(
ようしつこひ
)
」というのがあって、外面
虎皮
(
こひ
)
をかぶりて
虚勢
(
きょせい
)
を張り、
内心
(
ないしん
)
卑怯
(
ひきょう
)
きわまる
偽物
(
にせもの
)
を
指
(
さ
)
す成語としてあり、
楊雄
(
ようゆう
)
(前五八—後一八)の文に
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
茶も
何
(
なに
)
もやつた事のねえ
奴
(
やつ
)
が、
変
(
へん
)
に
捻
(
ひね
)
つたことを
云
(
い
)
つたり、
不茶人
(
ふちやじん
)
が
偽物
(
にせもの
)
を
飾
(
かざ
)
つて置くのを見て、これは
贋
(
にせ
)
でございますとも
謂
(
い
)
へんから、あゝ
結構
(
けつこう
)
なお
道具
(
だうぐ
)
だと
誉
(
ほ
)
めなければならん
にゆう
(新字旧仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
「いや、一緒に行くよ。散髪だ。おや、『近所に
偽物
(
にせもの
)
あり。御用心』と書いてある」
親鳥子鳥
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
よく来る客の一人に、
泥鰌鬚
(
どじょうひげ
)
を生やした紋附袴の人があつた。父の絵の先生である。父は書画もぼつぼつ買ひ集めて、「また
偽物
(
にせもの
)
をつかまされたよ」などと、よく母を相手に笑つてゐた。
少年
(新字旧仮名)
/
神西清
(著)
丹波はその新しい眼で、この柳生対馬守——家老の田丸主水正が殿様の役を買って出ている
偽物
(
にせもの
)
とは丹波をはじめ不知火組は、それこそ
誰不知矣
(
たれしらぬい
)
——のようすを、じっと見なおしました。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
この場合明智の方に
手抜
(
てぬか
)
りがあったとは云えぬ。彼が今上野駅へ到着する事は、波越警部と、福田氏とが知っているばかりだ。この自動車が
偽物
(
にせもの
)
だなどとは、神様だって想像も出来なかったであろう。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
当時近代音楽の
勃興
(
ぼっこう
)
時代で、
真物
(
ほんもの
)
も
偽物
(
にせもの
)
も、ひたむきに新奇を
趨
(
お
)
うてやまなかった時、ブラームスは雄大、厳重、素朴、
敬虔
(
けいけん
)
な古典精神に
還
(
かえ
)
り
楽聖物語
(新字新仮名)
/
野村胡堂
、
野村あらえびす
(著)
そこで拙者は、三四人の腕ききを集め、自分が先発で、いちいちその
偽物
(
にせもの
)
どもをブンなぐって廻ったことがありました
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
台は二匹の海蛇を
象
(
かたど
)
った、糸のように
繊
(
ほそ
)
い白金の鎖、全長五十四
吋
(
インチ
)
ある。重さは正確なことはわからぬが、この
偽物
(
にせもの
)
と掛けた感じはまったく、同一である。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「
偽物
(
にせもの
)
が
安
(
やす
)
く
買
(
か
)
われますので、なかなか
売
(
う
)
れません。
薬
(
くすり
)
ばかりは、
病気
(
びょうき
)
になって
飲
(
の
)
んでみなければわからないので、すぐに
本物
(
ほんもの
)
とは
思
(
おも
)
ってくれないのです。」
手風琴
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
醤油を買う時にはよく気を付けて検査しないと折々人の悪い小売屋が
偽物
(
にせもの
)
を持って来ていけません。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「僕の母は
偽物
(
にせもの
)
だよ。君らがみんな
欺
(
あざむ
)
かれているんだ。母じゃない
謎
(
なぞ
)
だ。
澆季
(
ぎょうき
)
の文明の特産物だ」
虞美人草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
いかに熱心だからといって、和田の八幡から正雪の絵馬を持ち出すとは呆れたものだ。わざわざ
偽物
(
にせもの
)
をこしらえて、本物と掏り換えて来るなんぞは、あんまり罪が深過ぎるじゃあねえか。
半七捕物帳:50 正雪の絵馬
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
磯五としても、まことに残念だったから、何とかしてその実父の相良寛十郎を探し出してお高に財産がくるようにしようといろいろ骨を折ったあげく、考えついたのが、
偽物
(
にせもの
)
を仕立てることだった。
巷説享保図絵
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
貰って行ったまでの勝見は、全く
偽物
(
にせもの
)
なのです
赤耀館事件の真相
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
手代の栄吉に渡し、栄吉から支配人に渡すように仕向けた。もっとも
真物
(
ほんもの
)
の遺言状を抜いて、用箪笥には写しの
偽物
(
にせもの
)
を
銭形平次捕物控:132 雛の別れ
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
いったい、
宝石
(
ほうせき
)
ばかりは、
目
(
め
)
のあかるい
人
(
ひと
)
でなければ、
真物
(
ほんもの
)
か、
偽物
(
にせもの
)
か、
容易
(
ようい
)
に
見分
(
みわ
)
けのつくものでありません。また、
性
(
しょう
)
のいいわるいについても
同
(
おな
)
じことです。
トム吉と宝石
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
いつの間にそんな
偽物
(
にせもの
)
と、すり換えられていたのか、わたしにはなんとしても腑に落ちないのです。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「杢兵衛はどうも
偽物
(
にせもの
)
が多くて、——その
糸底
(
いとぞこ
)
を見て御覧なさい。
銘
(
めい
)
があるから」と云う。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
神尾主膳の名を
騙
(
かた
)
って奈良田の奥へ甲州金を取りに行った
偽物
(
にせもの
)
を殺して、その
駕籠
(
かご
)
で神尾の邸へ乗り込んだはずの竜之助を、神尾主膳が保護するような形式を取っていることが
大菩薩峠:12 伯耆の安綱の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
同じ絵馬が世に二つと無い以上、その一つは
偽物
(
にせもの
)
でなければならない。
半七捕物帳:50 正雪の絵馬
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
... 施しましょう。オヤオヤ今の蛋白質が段々底の方へ
沈澱
(
ちんでん
)
しますね、こうした醤油は食べるのに
差支
(
さしつかえ
)
ありませんか」お登和「別に差支ありません。一度
湯煎
(
ゆせん
)
にしたのは長く置いてもカビが生えません」大原「そうですか。こう手軽に検査が出来れば
狡猾
(
こうかつ
)
な商人に
偽物
(
にせもの
)
を ...
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「何から申しましょう、——まず、あの下男の藤助の
匿
(
かく
)
していた小判十枚は、みんな
真物
(
ほんもの
)
の未刻印小判に、素人が
偽物
(
にせもの
)
の刻印をタガネで打った物でございますよ」
銭形平次捕物控:076 竹光の殺人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
私
(
わたし
)
の
身
(
み
)
をこうして
飾
(
かざ
)
っている
珠
(
たま
)
の
中
(
うち
)
にも
偽物
(
にせもの
)
があって、それを
陛下
(
へいか
)
までが
美
(
うつく
)
しいとごらんなされるようなことはないかと
思
(
おも
)
うと、
胸
(
むね
)
の
中
(
うち
)
が
穏
(
おだ
)
やかでないのであります。
ひすいを愛された妃
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
大地の上へ、ウンと一つ投げつけてやるか、腕の一本も打折ってやると、少しは眼がさめます。早い話が、われわれ社会の
偽物
(
にせもの
)
どもを退治するなんぞには、これがいちばん近道ですよ
大菩薩峠:25 みちりやの巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「あっしの
真物
(
ほんもの
)
の髷は
髱
(
たぼ
)
の中へ突っ込んで、叔母さんから
鬘
(
かつら
)
の古いのを貰って、付け髷を拵えて頭の上へ載っけて行きましたよ、——
遉
(
さすが
)
に曲者も
偽物
(
にせもの
)
の髷とは気が付かなかった」
銭形平次捕物控:174 髷切り
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
こういうように、いくら
出
(
だ
)
してもいいからという
人
(
ひと
)
たちがたくさんになりますと、ひすいの
珠
(
たま
)
は、しぜんと
世間
(
せけん
)
に
少
(
すく
)
なくなりました。
少
(
すく
)
なくなるにつれて
偽物
(
にせもの
)
が
現
(
あらわ
)
れるようになりました。
ひすいを愛された妃
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「近藤の虎徹も古いものだが、あれは
偽物
(
にせもの
)
だと言うじゃないか」
大菩薩峠:40 山科の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
トム
吉
(
きち
)
は、こうした、
曲
(
ま
)
がったことをする
主人
(
しゅじん
)
に
使
(
つか
)
われていましたが、かわいそうな
娘
(
むすめ
)
のようすを
見
(
み
)
たり、また、その
話
(
はなし
)
をきくと、
真物
(
ほんもの
)
を
偽物
(
にせもの
)
といってごまかされなかったばかりでなく
トム吉と宝石
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
あの道具は大金を出して買ったらしいが、気の毒なことにみんな
偽物
(
にせもの
)
だ。それと解って主人の重兵衛は腹を立てて打ち割ったのさ。売った人間へ突き戻すだけでは胸が治まらなかったんだ。
銭形平次捕物控:144 茶碗割り
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「丸山、こりゃ
偽物
(
にせもの
)
だぞ」
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「ああ、それは
偽物
(
にせもの
)
だ」
大菩薩峠:08 白根山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
“偽物”の意味
《名詞:ぎぶつ》
にせもの。
《名詞:にせもの》
偽物(にせもの)
「にせもの」を参照。
(出典:Wiktionary)
偽
常用漢字
中学
部首:⼈
11画
物
常用漢字
小3
部首:⽜
8画
“偽物”で始まる語句
偽物贋物