不明ふめい)” の例文
すると二日ふつかめのよるのこと、おもいがけなく暴風雨ぼうふううあいまして、みんなまったくゆくえ不明ふめいになってしまいました。
つばめの話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
無實の罪におとし入しは奉行の不明ふめいなり其不明なる者におもき役儀を申付たるは其領主の落度也おちどなり夫此度の一件は其方共必ず九郎兵衞より賄賂わいろを請しに相違有まじと正鵠ほし
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
規則きそくだから警察けいさつとゞけることとゞけたが、じつ大分だいぶふる時計とけいなので、られても夫程それほどをしくもないぐらゐあきらめてゐたら、昨日きのふになつて、突然とつぜん差出人さしだしにん不明ふめい小包こづゝみいて
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
白紙しらがみ手頼たよみづ手頼たより、紙捻こより手頼たよりにい……」と巫女くちよせばあさんのこゑ前齒まへばすこけてため句切くきりやゝ不明ふめいであるがそれでも澁滯じふたいすることなくずん/\とうてつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
さうしてたゞあざむかれた自分じぶん不明ふめいいてばかり彼女かのぢよぢたのである。
(旧字旧仮名) / 水野仙子(著)
雲飛うんぴは石をうばはれて落膽らくたんし、其後はうち閉籠とぢこもつて外出しなかつたが、いしかはおち行衞ゆくへ不明ふめいになつたことをつたき、或朝あるあさはやく家を出で石のちたあととむらふべく橋上けうじやうたつて下を見ると、河水かすゐ清徹せいてつ
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
ぐわつ二十三にちには、幻翁げんおう望生ぼうせいおよの三にん出掛でかけたが、此時このときまた幻翁げんおう完全くわんぜんなる小土瓶せうどびんを一し、望生ぼうせい砧形きぬたがた小角器せうかくき用法ようはふ不明ふめい類品るゐひん下總しもふさ余山よやまよりづ)と朝貌式あさがほしき完全土器くわんぜんどきとを
理由わけわからぬ囈語うはごとをいつて、意識いしきまつた不明ふめいつた。つひには異常いじやうちからくははつたかとおもふやうにおしなあし蒲團ふとんけつ身體からだ激動げきどうした。枕元まくらもと人々ひと/″\各自てんでくるしむおしなあしおさへた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
聞及びしかば大いにおどろき扨々我等が不明ふめいゆゑに罪無き杉戸屋富右衞門殿を永々なが/\入牢じゆらう致させくるしめしこと何とも申譯なきあやまり成りと思ひ平吉は早速さつそく杉戸屋富右衞門方へ到つて種々くさ/″\樣々さま/″\に是迄の始末しまつ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
さま/″\な批評ひゝやうもてあそばれながら、繪葉書のうへいて行く女優たちの顏!これらがやがていろもなくもなくなつていつた時には一體いつたいどうなるのでせう? それはたとひ、虚榮きよえいあやまられたその不明ふめい
冬を迎へようとして (旧字旧仮名) / 水野仙子(著)