“そうこう”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:ソウコウ
語句割合
倉皇43.6%
糟糠12.1%
蒼惶6.4%
愴惶5.0%
曹洪4.3%
草稿3.6%
奏効2.9%
相好2.9%
崢嶸2.1%
匇惶1.4%
(他:22)15.7%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
僕は二十八になった時、——まだ教師をしていた時に「チチニウイン」の電報を受けとり、倉皇そうこうと鎌倉から東京へ向った。
点鬼簿 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
大炊介は、文殻ふみがらを返していただくと、ふかくそれを懐中ふところに秘して、また倉皇そうこう退さがって行った。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、それのみでなく、こまかいご注意をすすめていた。そのいそいそしさ、良人の晴れの日を見た糟糠そうこうつまの風がある。
ナポレオンはジェーエーブローの条約を締結してオーストリアから凱旋がいせんすると、彼の糟糠そうこうの妻ジョセフィヌを離婚した。
ナポレオンと田虫 (新字新仮名) / 横光利一(著)
と、蒼惶そうこうとして奥へはいり、社家の雑掌ざっしょう舎人とねりを集めて、何か鳩首して相談をこらしているらしく思われる。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そこらの軒並びを覗き歩いて、うろついていた又八坊は、蒼惶そうこうとして、油蝉のような顔した雲水さんの前へ来て、つむりを下げた。
宮本武蔵:08 円明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
調査が終ると、三人は愴惶そうこうに石棺の蓋を閉じて、この圧し狂わさんばかりの、鬼気からのがれていった。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
酔い伏していた主膳は、その迎えを受けるや愴惶そうこうとして、その乗物に乗って本邸へ帰ってしまいました。
大菩薩峠:14 お銀様の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
かねて曹洪そうこうを討伐にやってあったが、匪賊の勢いは猛烈で洪軍は大痛手をうけ、いまなお、退却中という報告であった。
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
で、暗夜に山路を越え、李典りてん曹洪そうこう于禁うきん典韋てんいなどを従えて、不意に攻めこんだ。
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ゆがんだ机の上には、訳しかけのプウシュキンの射的の草稿そうこうが黄いろくなったままだが、もうこんなものも売りに歩く自信もなくなりかけた。
魚の序文 (新字新仮名) / 林芙美子(著)
それからにやりと笑って胸のかくしから草稿そうこうを引きだし、大いそぎでそれをめくった。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
悲壮である、長政の決意はそのまま家臣に映じ、長政のほどこした士心振起ししんしんきの策は、たしかに奏効そうこうした。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
もっとも、そうした運動の奏効そうこうおぼつかないことは、彼といえどもよく承知していた。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
と照彦様は正三君の手をとって学監室から出た。安斉先生はくずれかけた相好そうこうを正して、沈黙を守っていた。
苦心の学友 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
昨日まで妾の信じきっていたあの人は、どんな顔をしてこの文句を読んだのだろう? 妾のことも、今すやすや眠っている二人の子供のことも忘れて、相好そうこうをくずして読んだのじゃなかろうか? ああ
想うに麓の大森林を失って劒岳の孱顔さんがんは、階老の侶を先立ててにわかに憔悴した人のように、金剛不壊の額にも幾条か崢嶸そうこうの皺が増したことであろう。
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
独り立山連峰のみは日本アルプスに於ける万年雪の一大宝庫たる名をほしいままにす可きあらゆる条件をそなえて、崢嶸そうこうたる峰巒を飾るに、白雪燦然たる四個の大カールと
黒部峡谷 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
われ、即ち匇惶そうこうとして伴天連ばてれんの許に走り、「るしへる」が言を以てこれに語りたれど、無智の伴天連、かえってわれを信ぜず。
るしへる (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
正気に返ったお君は、匇惶そうこうとして縁へ上って、障子の中へ身を隠してしまいました。
大菩薩峠:18 安房の国の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
武男は昨年の夏初め、新婚間もなく遠洋航海にで、秋は帰るべかりしに、桑港そうこうに着きける時、器械に修覆を要すべき事の起こりて、それがために帰期を誤り、旧臘きゅうろう押しつまりて帰朝しつ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
費府ひふは、桑港そうこうに次で市政の紊乱びんらんせる所であった、ぜソウなったかというに、費府はクエーカー宗の人々の建てた市で、クエーカー宗ではおのれをただしくすということに重きを置くものだから、市の重なる人々が市政に与からぬ、善い人が政治に手を出さぬものだから、市政が次第に紊乱したのである。
人格を認知せざる国民 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
所へ還った乳母は蒼皇そうこう犬が主人の児をったと誤解し、逐電の途上主人に遭ってその通り告げる。
急に帯を解き、これを結び、蒼皇そうこう以て舟をる。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
なんでも、前線へ給水、補弾等の目的を達する装甲そうこう輸送車であると同時に、あらゆる地形、障害物を無視し、蹂躪じゅうりんして進む戦闘車の役割をもつとめるとのこと。
戦雲を駆る女怪 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
『最上』の装甲そうこうは三インチ(七・六糎)だ。
昭和遊撃隊 (新字新仮名) / 平田晋策(著)
このアトリヱは愈々蕗子が彼のものに定まつたとき、倉惶そうこうとして工を急がせアラヂンの城の如くに建てられたものだ。
狼園 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
心得たりと進み出て、月明で武士を見れば、以前樋口十郎左衛門殿方で、立合ったことのある水品陣十郎! 先方も拙者を認めたと見え、しかも形勢非なりと知ったか、『秋山殿でござったか、その女は源女と申し、発狂の女芸人、拙者故あって今日まで、保護を加えて参りましたが、お望みならば貴殿に譲る』と、このようなヘラズ口をきいたあげく、匆慌そうこうとして立ち去ったので、源女殿を宿へ連れて参り、事情を詳しく訊いたところ、江戸両国の曲独楽の太夫、養母というものに悪婆あって長崎の異人にめかけに出そうという。
剣侠 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
続いて五つ六つの峰頭が狼牙を刻んで、最後に挟虫はさみむしが尻をもたげたように、双鈎そうこうの尖りを対峙させた峰から始めて偃松の蒼黒い緑が溶けて滴って、更に凝って鮮かな緑を敷き延べた美しい若草の斜面に続く
黒部川奥の山旅 (新字新仮名) / 木暮理太郎(著)
宮良氏の『南島叢考そうこう』には八重山やえやまでは薏苡仁をチーダマと謂い、これをつねの日の頸珠くびたまにするふうがあったというのは、近い頃までのことだったかどうか。
海上の道 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
行者の前の壇上には、蘇油、鈴、独鈷どっこ、三鈷、五鈷、その右に、二本の杓、飯食、五穀を供え、左手には嗽口そうこう灑水しゃすいを置いてあった。
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
驚くよりもくよりも前に、真ッ先に浅野弥兵衛を派して、この往来検察をさせたことが奏功そうこうしたのである。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すると宋江そうこう潯陽江じんようこうを渡る一段を思い出した。
句合の月 (新字新仮名) / 正岡子規(著)
能楽は抽斎のたのしる所で、わかい頃謡曲を学んだこともある。たまたま弘前の人村井宗興そうこうと相逢うことがあると、抽斎は共に一曲を温習した。技の妙が人の意表に出たそうである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
いやしくも一個の士人たる徳義とくぎ操行そうこうにおいて天下後世に申訳もうしわけあるべからず。
「父上ではありませんか」と、曹昂そうこうの声がした。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
次に、曹操の嫡子曹昂そうこうの霊をまつり、また甥の曹安民そうあんみんの供養をもなした。——楊柳の枝は長く垂れて、水はすでに秋冷の気をふくみ、黒い八哥鳥はっかちょうがしきりと飛び交っていた。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
血気盛んなる小児の腹中に寄生する小虫を見る法なりとて、俗間に伝うるものを述ぶるに、小児の掌面に呪文じゅもん三回墨書し、さらにその上を墨にて塗抹とまつして文字をして不明ならしめ、これを握ること暫時にしてその手をひらき見れば、その爪甲そうこうより毛ようのごとき白繊維のもの続々出ずるなり。
妖怪学 (新字新仮名) / 井上円了(著)
燕王の心胸もとより清からず、道衍の瓜甲そうこうも毒ありというべし。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
罾口そうこうに入るもの生きて能く出でず——という語が何かの兵書にあったが、于禁はまさにその死地へみずから入ったものだ。見よ、やがてかの七陣が死相を呈してくるに違いないから」と、云ったのみで、その日以後は、もっぱら兵を督して、附近の材木を伐り、船筏ふないかだを無数に作らせていた。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
崔子さいしが斉の荘公そうこうを弑したときに、陳文子ちんぶんしは馬十乗もあるほどの大財産を捨てて国を去りました。ところが、他の国に行って見ると、そこの大夫もよろしくないので、『ここにも崔子さいしと同様の大夫がいる。』といって、またそこを去りました。
現代訳論語 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
が、その代り、その日の暮近くになって、白亭自身、一人の紳士を連れて蒼徨そうこうとしてやって来た。
闖入者 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
装潢そうこう頗る美にして桐の箱入になっていた。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)