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愴惶
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そうこう
ふりがな文庫
“
愴惶
(
そうこう
)” の例文
そうしてそう答えたのにホッと安心した一息をもらして、漢書の金を受け取ると、またその鋳物をふところにして
愴惶
(
そうこう
)
と店を出た。
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
そして、
咄嗟
(
とっさ
)
の逆転に何が何やら判らず、ひたすら狼狽しきっている熊城等を追い立てて、伸子の身体を
愴惶
(
そうこう
)
と運び出させてしまった。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
最初の一撃にしくじった妖怪の怒りに燃えた
貪食
(
どんしょく
)
的な顔が大きく迫ってきた。悟浄は強く水を
蹴
(
け
)
って、泥煙を立てるとともに、
愴惶
(
そうこう
)
と洞穴を逃れ出た。
悟浄出世
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
またも湧き起る爆笑と、続いて起るゲラゲラ笑いとを、華やかに渦巻くジャズの旋律と一緒にフロックの背中に受け流しながら、
愴惶
(
そうこう
)
として階段を駈け降りた。
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
しかし広大無辺の曠野には
闃
(
げき
)
として声なく、岩上の文字は『沈黙』というのであった。彼は
戦
(
おのの
)
き震え、
面
(
おもて
)
をそむけ、
愴惶
(
そうこう
)
として遠く逃げ去って、再び帰って来なかった
沈黙:——神話
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
▼ もっと見る
酔い伏していた主膳は、その迎えを受けるや
愴惶
(
そうこう
)
として、その乗物に乗って本邸へ帰ってしまいました。それでこの古屋敷は、主人を失って全く静寂に帰してしまいました。
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
そして三時間後には
愴惶
(
そうこう
)
として
抜錨
(
ばつびょう
)
し北極海へ取って返した。どうだ、面白い話ではないか
地球発狂事件
(新字新仮名)
/
海野十三
、
丘丘十郎
(著)
小侍は、
愴惶
(
そうこう
)
として、脇玄関から門の外へ駈けて行った。その様子では、たった今の事らしいのである。多門伝八郎は、自分の前にある
折箱
(
おりばこ
)
を
忌々
(
いまいま
)
しげに横のほうへ押しやった。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
愴惶
(
そうこう
)
として往年の恋の通い路、———例の
石崖
(
いしがけ
)
の下へ走って行った。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
直胤は
愴惶
(
そうこう
)
と退出した。
城中の霜
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
近習
(
きんじゅう
)
が走り出ると、すぐ老中の秋元但馬守が、
愴惶
(
そうこう
)
として、そこへ来て平伏する。
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お銀様は
愴惶
(
そうこう
)
としてこの部屋を立って行こうとした時に、竜之助がはじめて
大菩薩峠:14 お銀様の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
右預金の
殆
(
ほとん
)
ど全額を引出し、
愴惶
(
そうこう
)
たる態度で立去りたる旨判明、なお市外十軒屋に居住しおりし同人妻ハル(四十七)も家財を遺棄し、旅装を整え、
相携
(
あいたずさ
)
えて行方を
晦
(
くら
)
ましたる形跡ある旨
少女地獄
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
調査が終ると、三人は
愴惶
(
そうこう
)
に石棺の蓋を閉じて、この圧し狂わさんばかりの、鬼気から
遁
(
のが
)
れていった。そして、道々法水は、幾つかの発見を綜合整理して、それを、鎖の輪のように
繋
(
つな
)
げていった。
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
愴惶
(
そうこう
)
として、郭図は
冀州城
(
きしゅうじょう
)
にのぼり、袁紹に謁してこう忠言した。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
愴
漢検1級
部首:⼼
13画
惶
漢検1級
部首:⼼
12画
“愴”で始まる語句
愴然
愴
愴凄
愴惻
愴慌
愴絶
愴美