お祖父さんというのは東京より地方へ先きに広がった大杉の変事を遠い郷里の九州で聞いて倉皇上京した野枝さんの伯父さんである。
「これが世間へ洩れようものなら、どんな大事が起ころうもしれぬ。早く手当をしなければならない」——で倉皇として家へ帰った。
けれど返書の文意だけでは余りに簡に過ぎると思ったか、使いの者が倉皇として起ちかけると、なお、ことばをもって伝言をたのんだ。
種々問いただされてはよけいなあやまちを重ねるのみと、栄三郎は倉皇として忠相を離れ、逃げるように露地の奥へ消えていった。
“倉皇”の意味
“倉皇”で始まる語句