奏効そうこう)” の例文
もっとも、そうした運動の奏効そうこうおぼつかないことは、彼といえどもよく承知していた。が、全然徒労に終るものとも思っていなかった。
四十八人目 (新字新仮名) / 森田草平(著)
また意想外な奏効そうこうを見てはほくそ笑みもしよう。そして最早やこゝに母と娘の繋りはない、間にあるのは「手」だけである。
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
悲壮である、長政の決意はそのまま家臣に映じ、長政のほどこした士心振起ししんしんきの策は、たしかに奏効そうこうした。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは、彼が一種の素人心理学者だったことで、彼は普通のやり方ではどうにも判断の下し様がない事件に対しては、最後に、その豊富な心理学上の智識を利用して、屡々しばしば奏効そうこうした。
心理試験 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
そして、こちらの計画がうまく奏効そうこうするだろうか。実に待遠まちどおしい、ドキドキする三時間でした。もう振向こうか、もう振向こうかと、辛抱しんぼうがし切れなくなって、幾度いくど頸を廻しかけたか知れません。
目羅博士の不思議な犯罪 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
これもまた明智小五郎の機智が奏効そうこうしたのだ。
魔術師 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)