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魚屋
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さかなや
ふりがな文庫
“
魚屋
(
さかなや
)” の例文
君江は
軒先
(
のきさき
)
に
魚屋
(
さかなや
)
の看板を出した家の前まで来て、「ここで待っていらっしゃい。」と言いすて、魚屋の軒下から
路地
(
ろじ
)
へ
這入
(
はい
)
った。
つゆのあとさき
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
道を
訊
(
き
)
くような風をして
如才
(
じょさい
)
なく話しかけて、となりの家ではどこの
魚屋
(
さかなや
)
から魚を買っているかということを半七は聞き出した。
半七捕物帳:32 海坊主
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
円
(
まる
)
く
取巻
(
とりま
)
いた
中
(
なか
)
から、ひょっこり
首
(
くび
)
だけ
差
(
さ
)
し
伸
(
の
)
べて、
如何
(
いか
)
にも
憚
(
はばか
)
った
物腰
(
ものごし
)
の、
手
(
て
)
を
膝
(
ひざ
)
の
下
(
した
)
までさげたのは、五十がらみのぼて
振
(
ふ
)
り
魚屋
(
さかなや
)
だった。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
男は洋服を着た
魚屋
(
さかなや
)
さんとでもいった
風体
(
ふうてい
)
であり、女はその近所の
八百屋
(
やおや
)
のおかみさんとでも思われる人がらであった。
Liber Studiorum
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
僕
(
ぼく
)
は、
悲
(
かな
)
しくなりました。そうして、
二人
(
ふたり
)
が
魚屋
(
さかなや
)
の
前
(
まえ
)
にくると、ちょうど、
赤犬
(
あかいぬ
)
とよその
子供
(
こども
)
が
遊
(
あそ
)
んでいました。
僕の通るみち
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
身体を動かすような仕事を幾代は出来るだけ彼女にさせなくなった。その上いろんな細かい世話までやいた。
魚屋
(
さかなや
)
が来ると自分で立って行くことさえあった。
子を奪う
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
その
眞下
(
ました
)
に、
魚屋
(
さかなや
)
の
店
(
みせ
)
があつて、
親方
(
おやかた
)
が
威勢
(
ゐせい
)
のいゝ
向顱卷
(
むかうはちまき
)
で、
黄肌鮪
(
きはだ
)
にさしみ
庖丁
(
ばうちやう
)
を
閃
(
ひらめ
)
かして
居
(
ゐ
)
たのは
偉
(
えら
)
い。
春着
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
日々
(
ひび
)
得意先を回る
魚屋
(
さかなや
)
、
八百屋
(
やおや
)
、
豆腐屋
(
とうふや
)
の人々の中に裏門を通用する際、かく
粗末
(
そまつ
)
なる
木戸
(
きど
)
をくぐらすは我々を
侮辱
(
ぶじょく
)
するなりと
憤
(
いきどお
)
る民主主義の人もあるまい。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
世間を見れば
茲
(
ここ
)
に坊主と云うものが一つある、何でもない
魚屋
(
さかなや
)
の息子が大僧正になったと云うような者が
幾人
(
いくら
)
もある話、それゆえに父が私を坊主にすると
云
(
いっ
)
たのは
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
「この邊に
魚屋
(
さかなや
)
は無いでせう」
銭形平次捕物控:266 処女神聖
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
魚屋
(
さかなや
)
が人家の前に
盤台
(
はんだい
)
をおろして魚をこしらえている処へ、鳶が突然にサッと舞いくだって来て、その盤台の魚や魚の
腸
(
はらわた
)
なぞを引っ掴んで
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
すると、
魚屋
(
さかなや
)
は、
前
(
まえ
)
とおなじところにあって、
台
(
だい
)
はかわいて、もうその
上
(
うえ
)
には、
鯨
(
くじら
)
の
肉
(
にく
)
は
見
(
み
)
あたりませんでした。
太陽と星の下
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
こんな事をば、出入の
按摩
(
あんま
)
の
久斎
(
きゅうさい
)
だの、
魚屋
(
さかなや
)
の
吉
(
きち
)
だの、鳶の清五郎だのが、台所へ来ては
交
(
かわ
)
る
交
(
がわ
)
る話をして行ったが、然し、私には
殆
(
ほとん
)
ど
何等
(
なんら
)
の感想をも与えない。
狐
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
鰻はすぐに、近所の
魚屋
(
さかなや
)
の手で割かれた。それを保子と女中とで、避暑地から覚えてきた通りにして焼いた。金網の上でじりじり焼かれる匂いが、座敷の方まで漂ってきた。
反抗
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
いまも
中六番町
(
まへまち
)
の
魚屋
(
さかなや
)
へ
行
(
い
)
つて
歸
(
かへ
)
つた、
家内
(
かない
)
の
話
(
はなし
)
だが、
其家
(
そこ
)
の
女房
(
かみさん
)
が
負
(
おん
)
ぶをして
居
(
ゐ
)
る、
誕生
(
たんじやう
)
を
濟
(
す
)
ましたばかりの
嬰兒
(
あかんぼ
)
に「みいちやん、お
祭
(
まつり
)
は、——お
祭
(
まつり
)
は。」と
聞
(
き
)
くと、
小指
(
こゆび
)
の
先
(
さき
)
ほどな
祭のこと
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
詰まらない男に引っかかって、金が欲しさに
女囮
(
つつもたせ
)
もやった。湯屋の板の間もかせいだ。そのうちにお俊はこの近所の
魚屋
(
さかなや
)
からふとお蝶の噂を聞き込んだ。
半七捕物帳:07 奥女中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
しかし、
僕
(
ぼく
)
は、ひとりのときは、まわりみちをして、
肉屋
(
にくや
)
と
魚屋
(
さかなや
)
の
前
(
まえ
)
を
通
(
とお
)
らないようにしました。
僕の通るみち
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「
誰
(
だれ
)
が
持
(
も
)
つて
來
(
き
)
たの、——
魚屋
(
さかなや
)
さん?……え、
坊
(
ばう
)
や。」
夜釣
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
半七はかれを引っ立てて再び魚虎の店へ引っ返すと、
魚屋
(
さかなや
)
の亭主や女房も半七が唯の人でないことを
覚
(
さと
)
ったらしく、奥へ案内して丁寧に茶などを出した。
半七捕物帳:32 海坊主
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
少年
(
しょうねん
)
は、しばらく
考
(
かんが
)
え
込
(
こ
)
んで、
去
(
さ
)
りかねていましたが、
念
(
ねん
)
のため、
魚屋
(
さかなや
)
の
前
(
まえ
)
を
通
(
とお
)
ってみました。
太陽と星の下
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
飼葉屋の直七の紹介によると、麹町の平河天神前に笹川という
魚屋
(
さかなや
)
がある。魚屋といっても、仕出し屋を兼ねている相当の店で、若い男はその伜の鶴吉というのである。
半七捕物帳:61 吉良の脇指
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
みんな
町
(
まち
)
の
魚屋
(
さかなや
)
に
売
(
う
)
ってしまって、その
金
(
かね
)
で
家族
(
かぞく
)
のものを
養
(
やしな
)
わなければならなかったのです。
一本の釣りざお
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
この探索をはじめる時に、わたくしはきっとこの事件には
魚屋
(
さかなや
)
が係り合っていると睨みました。
半七捕物帳:44 むらさき鯉
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「
魚屋
(
さかなや
)
さんかしらん。しかし、あんな
原
(
はら
)
っぱを
通
(
とお
)
るはずがないだろう。また、ねこがさらってきたなら、
食
(
た
)
べてしまうし。そのえびは、どっか、
傷
(
きず
)
がついていたかい。」と、
勇吉
(
ゆうきち
)
が、ききました。
真昼のお化け
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
出入りの
魚屋
(
さかなや
)
へ聞き合せにやったが、思うようなのがない。なにぶんにも物が物ですから、その大小が不揃いであると甚だ恰好が悪い。あとできっと旦那さまに叱られる。
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
すこしくると、
魚屋
(
さかなや
)
がありました。
店
(
みせ
)
さきの
台
(
だい
)
の
上
(
うえ
)
に、
大
(
おお
)
きな
切
(
き
)
り
身
(
み
)
がおいてありました。その
肉
(
にく
)
の
色
(
いろ
)
は、おどろくばかり
毒々
(
どくどく
)
しく、
赤黒
(
あかぐろ
)
くて、かつて、
魚
(
さかな
)
では、こんなのを
見
(
み
)
たことがありません。
太陽と星の下
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「お福と申しまして、若いおかみさんと同い年でございます。お福の宿は根岸の魚八という
魚屋
(
さかなや
)
で、おやじは代々の八兵衛、おふくろはお政、ほかに佐吉という弟がございます」
半七捕物帳:56 河豚太鼓
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
魚屋
(
さかなや
)
の
前
(
まえ
)
に、いつも、
赤
(
あか
)
い、
強
(
つよ
)
そうな
犬
(
いぬ
)
がいることです。
僕の通るみち
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
宿は本所
相生町
(
あいおいちょう
)
の徳蔵という
魚屋
(
さかなや
)
で、ふだんから至極
実体
(
じってい
)
な人間でございます。
半七捕物帳:13 弁天娘
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
魚八は根岸繁昌の時代からここに住んでいる
魚屋
(
さかなや
)
で、一時は相当に店を張っていたが、土地がさびれると共に店もさびれた。それでも代々の土地を動かずに、小さいながらも商売をつづけていた。
半七捕物帳:56 河豚太鼓
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「と云って、おどかしただけで、実はさんざんの
体
(
てい
)
で引き揚げて来たんですよ。
浅蜊
(
あさり
)
ッ貝を小一升と、
木葉
(
こっぱ
)
のような
鰈
(
かれい
)
を三枚、それでずぶ濡れになっちゃあ
魚屋
(
さかなや
)
も商売になりませんや。ははははは」
半七捕物帳:32 海坊主
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
“魚屋(鮮魚店)”の解説
鮮魚店(せんぎょてん)とは、主に中央卸売市場から、卸される魚とエビやカニなどの甲殻類を中心に扱う魚介類販売店を示す。一般的には、魚屋(さかなや)と言われる。
(出典:Wikipedia)
魚
常用漢字
小2
部首:⿂
11画
屋
常用漢字
小3
部首:⼫
9画
“魚屋”で始まる語句
魚屋町
魚屋与助
魚屋北渓