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風上
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かざかみ
ふりがな文庫
“
風上
(
かざかみ
)” の例文
その頃の学生は
無暗
(
むやみ
)
と気が荒かった。何しろ日露戦争の始まる前の年だ。西洋音楽などやる奴は
風上
(
かざかみ
)
にも置けないと思っていた。
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
水は半ば凍り、
泥濘
(
でいねい
)
も
脛
(
はぎ
)
を没する深さで、行けども行けども果てしない
枯葦原
(
かれあしはら
)
が続く。
風上
(
かざかみ
)
に
廻
(
まわ
)
った匈奴の一隊が火を放った。
李陵
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
彼のすがたが森の奥に隠れた時に、英公は
風上
(
かざかみ
)
から火をかけた。父は我が子の将来をあやぶんで焼き殺そうとしたのである。
中国怪奇小説集:05 酉陽雑爼(唐)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
痛烈に叫びざま、黒住団七のあとに追い近づいたかと思われましたが、およそ団七こそは武人の
風上
(
かざかみ
)
にもおけぬ奴でした。
旗本退屈男:03 第三話 後の旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
二三にするような奴は俳優の
風上
(
かざかみ
)
には置けない、
況
(
いわ
)
んや市川の宗家ともあるべき者に……丸山、こいつは偽物だ、われわれは一杯食わされたのだ
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
だから探偵と云う奴はスリ、泥棒、強盗の一族でとうてい人の
風上
(
かざかみ
)
に置けるものではない。そんな奴の云う事を聞くと癖になる。決して負けるな
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
しかし、
其
(
そ
)
の
當時
(
たうじ
)
、
風
(
かぜ
)
は
荒
(
あら
)
かつたが、
眞南
(
まみなみ
)
から
吹
(
ふ
)
いたので、
聊
(
いさゝ
)
か
身
(
み
)
がつてのやうではあるけれども、
町内
(
ちやうない
)
は
風上
(
かざかみ
)
だ。
差
(
さし
)
あたり、
火
(
ひ
)
に
襲
(
おそ
)
はるゝ
懼
(
おそれ
)
はない。
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
当然、荒木村重だの、その一類などの、男どもの
卑怯
(
ひきょう
)
を罵った。武将の
風上
(
かざかみ
)
にもおけない者だと
悪
(
あ
)
しざまに噂した。
黒田如水
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
彼奴等
(
きゃつら
)
は皆、揃いも揃った
人畜生
(
にんちくしょう
)
ばかりですな。一人として、武士の
風上
(
かざかみ
)
にも置けるような奴は居りません。」
或日の大石内蔵助
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そこで、波の荒い季節中、この島あての郵便物を、ブリキ缶にかんづめにして、島の
風上
(
かざかみ
)
から、海に投げこんでおいて、汽船はそのまま通りすぎて行く。
無人島に生きる十六人
(新字新仮名)
/
須川邦彦
(著)
過ち火を出しても
手鎖
(
てぐさり
)
五十日、地主、家主、月番行事、五人組から、
風上
(
かざかみ
)
二丁、
風脇
(
かざわき
)
二丁の月行事まで、三十日
乃至
(
ないし
)
二十日の押込めという
峻烈
(
しゅんれつ
)
ぶりでした。
銭形平次捕物控:059 酒屋火事
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
文学者の
風上
(
かざかみ
)
に置けぬ奴と宣言を発し、
忿怒
(
ふんぬ
)
、憎悪、三ヶ年、憎さも憎し、然し、ふと、苦悩の
度
(
たび
)
に奴を思う。
オモチャ箱
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
俗にいう武士の
風上
(
かざかみ
)
にも置かれぬとはすなわち
吾
(
わが
)
一身
(
いっしん
)
の事なり、後世子孫これを再演するなかれとの意を示して、
断然
(
だんぜん
)
政府の
寵遇
(
ちょうぐう
)
を辞し、
官爵
(
かんしゃく
)
を
棄
(
す
)
て
利禄
(
りろく
)
を
抛
(
なげう
)
ち
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
車夫は葉子を助けようにも
梶棒
(
かじぼう
)
を離れれば車をけし飛ばされるので、
提灯
(
ちょうちん
)
の
尻
(
しり
)
を
風上
(
かざかみ
)
のほうに
斜
(
しゃ
)
に向けて目八
分
(
ぶ
)
に上げながら何か大声に後ろから声をかけていた。
或る女:2(後編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
彼女もこの寂しさと荒さを極めた自然の威力に打たれたか、
風上
(
かざかみ
)
に顏を向けて、べそ掻くやうな表情をしてゐたが、
喰
(
く
)
ひつくやうになほも列車の前方を見まもつてゐる。
地方主義篇:(散文詩)
(旧字旧仮名)
/
福士幸次郎
(著)
定
(
さだ
)
めし
山口
(
やまぐち
)
は
百年
(
ひやくねん
)
の
不作
(
ふさく
)
だとでも
評
(
ひやう
)
して、
妻
(
つま
)
たる
者
(
もの
)
の
風上
(
かざかみ
)
へも
置
(
お
)
かれぬ
女
(
をんな
)
と
言
(
い
)
はれましてしやう。
この子
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
けれども彼の総身の努力は、そのからだに一杯の汗となってにじみ出たように、伝馬の頭をようやく
風上
(
かざかみ
)
に向けることができた。が、ともすればそれは横に吹き流されそうであった。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
「
風上
(
かざかみ
)
へ逃げてください。皆さん、××町の方を廻って××町へ出て下さい」
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
で、それを吸わないようにするには、なるべく
風上
(
かざかみ
)
の方にいるがいいと云う理窟でしょう。すると乗合自動車だって、電車ほど人がこんでいないにしても、感冒伝染の危険が絶無ではない訳ですな。
途上
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
あやしさにかほる
風上
(
かざかみ
)
眺
(
なが
)
むれば
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
番町方面の煙りはまだ消えなかったが、そのあいだに相当の距離があるのと、こっちが
風上
(
かざかみ
)
に位しているのとで、誰もさほどの危険を感じていなかった。
綺堂むかし語り
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
地震
(
ぢしん
)
も、
小
(
を
)
やみらしいので、
風上
(
かざかみ
)
とは
言
(
い
)
ひながら、
模樣
(
もやう
)
は
何
(
ど
)
うかと、
中六
(
なかろく
)
の
廣通
(
ひろどほ
)
りの
市
(
いち
)
ヶ
谷
(
や
)
近
(
ちか
)
い
十字街
(
じふじがい
)
へ
出
(
で
)
て
見
(
み
)
ると、
一度
(
いちど
)
やゝ
安心
(
あんしん
)
をしただけに、
口
(
くち
)
も
利
(
き
)
けず、
一驚
(
いつきやう
)
を
喫
(
きつ
)
した。
露宿
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
ああ龍太郎、かれはついに、伊那丸の
前途
(
ぜんと
)
に見きりをつけ、
主
(
しゅ
)
をすて、友をすて去ったであろうか。——とすれば、龍太郎もまた、
武士
(
ぶし
)
の
風上
(
かざかみ
)
におけない人物といわねばならぬ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
自分から触れば落ちそうなよわみを見せて男を誘いながら、後になって、やれ貞操を
蹂躙
(
じゅうりん
)
されましたの、
弄
(
もてあそ
)
ばれましたのと、人の同情に
縋
(
すが
)
ろうとする女は、女の
風上
(
かざかみ
)
にもおけない——
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
ご
機嫌
(
きげん
)
をとるために負けてさしあげるのは主君をあざむくへつらい武士です。
風上
(
かざかみ
)
におけん。しかし、内藤君、君心あれば臣心あり。すべて君臣
主従
(
しゅじゅう
)
貴賤
(
きせん
)
上下
(
しょうか
)
の別をわすれるものは
乱臣
(
らんしん
)
賊
(
ぞく
)
子ですぞ。
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「滝川くずれは、鼻つまみの
晩糞
(
ばんふん
)
じゃ。
風上
(
かざかみ
)
にもおけぬわい」
新書太閤記:11 第十一分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「
風上
(
かざかみ
)
にもおけん」
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「武士の
風上
(
かざかみ
)
にもおけぬ
奴
(
やつ
)
」
新書太閤記:05 第五分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「おお、じゃ
風上
(
かざかみ
)
だ」
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“風上(風上と風下)”の解説
風上と風下(かざかみとかざしも)とは、観察者に対して吹く風が来る方向を風上(en: windward)といい、その反対を風下(leeward)という。
(出典:Wikipedia)
風
常用漢字
小2
部首:⾵
9画
上
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
“風”で始まる語句
風
風情
風邪
風采
風呂
風体
風呂敷
風貌
風靡
風呂敷包