退治たいぢ)” の例文
ほそはりほどな侏儒いつすんぼふしが、ひとつ/\、と、歩行あるしさうな氣勢けはひがある。吃驚びつくりして、煮湯にえゆ雜巾ざふきんしぼつて、よくぬぐつて、退治たいぢた。
くさびら (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一度いちど新技巧派と云ふ名が出来ると、その名をどこまでも人に押しかぶせて、それで胡麻ごまをする時は胡麻をするし、退治たいぢする時は退治しようとするんですからな。
饒舌 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
眞個ほんとうに/\、海軍かいぐん叔父おぢさんが海賊船かいぞくせん退治たいぢするなら、わたくしてき大將たいしやう勝負しようぶけつしようとおもふんです。』
いかんとなればおん身は光る石をひろはんとのくはだてにはあらず、妖物ばけもの退治たいぢせんとて川へいたり、おん身よりは我先われさきに川へ飛いり光りものをさぐりあてゝかづきあげしも我なり
とら退治たいぢたけやり
どんたく:絵入り小唄集 (新字旧仮名) / 竹久夢二(著)
れなら、一生涯いつしやうがいに一ぐらゐへまいともかぎらない。のかはり武者修行むしやしゆぎやう退治たいぢられます。これ見懸みかけたのは難有ありがたい。
月夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
いかんとなればおん身は光る石をひろはんとのくはだてにはあらず、妖物ばけもの退治たいぢせんとて川へいたり、おん身よりは我先われさきに川へ飛いり光りものをさぐりあてゝかづきあげしも我なり
このをとこ正直せうじきだから、猛狒ゴリラ退治たいぢ手柄話てがらばなし勿論もちろん自分じぶん大失策おほしくじりをも、人一倍ひといちばい大聲おほごゑでやツて退けた。
龍?(少し困つた顔をしてゐたが、突然)好いや、僕はスサノヲ尊になつて退治たいぢしちまふから。
比呂志との問答 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
野鼠のねずみ退治たいぢるものはたぬきく。……本所ほんじよ麻布あざぶつゞいては、このあたり場所ばしよだつたとふのに、あゝ、そのたぬきかげもない。
間引菜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
此兄弟剛気がうきなるものゆゑかの光り物を見きはめ、もし妖怪ばけものならば退治たいぢして村のものどもがきもをひしがんとて、ある夜兄弟かしこにいたりしに、をりしも秋の頃水もまさりし川づらをみるに
ばんもお總菜さうざいさけ退治たいぢた、北海道ほくかいだうさんである。ちやうけに岡山をかやまのきび團子だんごべたところで、咽喉のどつまらせるはふはない。これしかしながらたびこゝろであらう。——
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
此兄弟剛気がうきなるものゆゑかの光り物を見きはめ、もし妖怪ばけものならば退治たいぢして村のものどもがきもをひしがんとて、ある夜兄弟かしこにいたりしに、をりしも秋の頃水もまさりし川づらをみるに
また退治たいぢるのを、「たのもしいわ、わたしたちの主人しゆじんにはそれが出來できないの。」と感状かんじやうあづかつた得意とくいさに、にのつて
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
……豆府屋とうふや通帳かよひちやうのあるのは、おそらく松本まつもといへばかりだらうとつたものである。いまのながしもよく退治たいぢる。
湯どうふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
れない料理人れうりにんが、むしるのに、くらか鎧皮よろひがは附着くつゝいてたでせうか。一口ひとくちさはつたとおもふと、したれたんです。鬼殻焼おにがらやき退治たいぢようとふ、意気いきさかんなだけじつ悲惨ひさんです。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一呼吸ひといきいていて、唐突だしぬけに、ばり/\ばり/\、びしり、どゞん、廊下らうか雨戸外あまどそとのトタン屋根やねがすさまじく鳴響なりひゞく。ハツときて、廊下らうかた。退治たいぢではない、逃路にげみちさがしたのである。
木菟俗見 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)