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豆府屋
……
豆府屋の
通帳のあるのは、
恐らく
松本の
家ばかりだらうと
言つたものである。いまの
長もよく
退治る。
土間はしめつて、
鍛冶屋が
驟雨、
豆府屋が
煤拂をするやうな、
忙しく
暗く、
佗しいのも
少くない。
その
叔父は
十年ばかり
前、七十一で
故人になつたが、
尚ほその
以前……
米が
兩に
六升でさへ、
世の
中が
騷がしいと
言つた、
諸物價の
安い
時、
月末、
豆府屋の
拂が
七圓を
越した。