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起上
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たちあが
ふりがな文庫
“
起上
(
たちあが
)” の例文
不意に
起上
(
たちあが
)
って入口の方へ歩いて行く東野南次、その憑かれたような姿を見ながら、母親の礼子には止める
術
(
すべ
)
もありませんでした。
奇談クラブ〔戦後版〕:05 代作恋文
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
湯村は蒼い顔して
起上
(
たちあが
)
つた。そして、三畳に出て行つてそこの襖を開けると、寝転んで居た妹は飛んで起きて、窮屈さうに坐つた。
茗荷畠
(新字旧仮名)
/
真山青果
(著)
ト言ったのが文三への挨拶で、昇はそのまま
起上
(
たちあが
)
ッて二階を降りて往った。跡を
目送
(
みおく
)
りながら文三が、さもさも苦々しそうに口の
中
(
うち
)
で
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
枕もとに
松籟
(
しょうらい
)
をきいて、しばらく理窟も学問もなくなった。が、ふと、
昼飯
(
ひる
)
の
膳
(
ぜん
)
に、
一銚子
(
ひとちょうし
)
添えさせるのを言忘れたのに心づいて、そこで
起上
(
たちあが
)
った。
みさごの鮨
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
腹
(
はら
)
が
空
(
すい
)
て
來
(
く
)
ると、
手
(
て
)
を
伸
(
のば
)
して
手
(
て
)
の
屆
(
とゞ
)
く
處
(
ところ
)
に
實
(
なつ
)
て
居
(
を
)
る
無花果
(
いちじく
)
か
芭蕉
(
ばせう
)
の
實
(
み
)
を
捩
(
もぎ
)
つて
食
(
く
)
ふ、若し
起上
(
たちあが
)
つて
捩
(
もぎ
)
らなければならぬなら
飢餓
(
うゑ
)
て
死
(
しん
)
だかも知れないが
怠惰屋の弟子入り
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
▼ もっと見る
博士は「クンカン?」といつて、一寸小首を
傾
(
かし
)
げたが、その
儘
(
まゝ
)
起上
(
たちあが
)
つて書棚から新版の辞書を
引下
(
ひきおろ
)
して来た。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
襷
(
たすき
)
鉢巻
(
はちまき
)
に
股立
(
ももだち
)
取って、満身に
力瘤
(
ちからこぶ
)
を入れつつ
起上
(
たちあが
)
って、右からも左からも打込む
隙
(
すき
)
がない身構えをしてから、
曳
(
えい
)
やッと
気合
(
きあい
)
を掛けて打込む命掛けの勝負であった。
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
紫紺
塩瀬
(
しほぜ
)
に
消金
(
けしきん
)
の
口金
(
くちがね
)
打ちたる
手鞄
(
てかばん
)
を取直して、婦人はやをら
起上
(
たちあが
)
りつ。迷惑は貫一が
面
(
おもて
)
に
顕
(
あらは
)
れたり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
斯の
光景
(
ありさま
)
を見兼ねて、お節は縫ひかけた自分の着物もそこそこに
起上
(
たちあが
)
つた。今度は文ちやんはお節の方へ向つて来た。顔を真紅にして、怒つたやうな首筋まで顕して。
出発
(新字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
この時、
背後
(
うしろ
)
の方から不意に物の
気息
(
けはい
)
が聞えて、何者か忍び寄るようにも思われたので、市郎は手早く蝋燭を
把
(
と
)
って
起上
(
たちあが
)
ると、余りに慌てたので、彼は父の死骸に
蹉
(
つまず
)
いた。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
並
(
なら
)
んで
掘
(
ほ
)
つて
居
(
ゐ
)
る
望生
(
ぼうせい
)
の
膝頭
(
ひざかしら
)
が
泥
(
どろ
)
に
埋
(
うま
)
つて
居
(
ゐ
)
るのを、
狹衣子
(
さごろもし
)
が
完全
(
くわんぜん
)
な
土器
(
どき
)
と
間違
(
まちが
)
へて
掘出
(
ほりだ
)
さうとすると、ピヨイと
望生
(
ぼうせい
)
が
起上
(
たちあが
)
つたので、
土器
(
どき
)
に
羽根
(
はね
)
が
生
(
は
)
えたかと
驚
(
おどろ
)
いたのも
其頃
(
そのごろ
)
。
探検実記 地中の秘密:02 権現台の懐古
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
それから三日ばかりした真夜中から、
波濤
(
なみ
)
の音が急に違って来たので眼が
醒
(
さ
)
めた。アラスカ沿岸を洗う暖流に乗り込んだのだ……と思ったのでホッとして万年
寝床
(
ベッド
)
の中に
起上
(
たちあが
)
った。
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
と云っている内におくのは
絶命
(
ことき
)
れましたから、茂之助は只
呆然
(
ぼんやり
)
して暫く考えて居ましたが、ふら/\ッと
起上
(
たちあが
)
って、自分の帯を解いて
竈
(
へっつい
)
の
角
(
かど
)
から釜の蓋へ足を掛けて、
梁
(
はり
)
へ二つ三つ巻きつけ
霧陰伊香保湯煙
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
それでいて彼女は坐っているのに、相手は明かに
起上
(
たちあが
)
っているのだった。つまり、男はいつの間にか、異常に脊の低い畸形児に変ってしまったのだった。彼女は一瞬間にすべての事情を悟った。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
目科は
最
(
い
)
と厳格に「はい警察署から送られました、
私
(
わたく
)
しは其筋の探偵です」と答う探偵との返事を聞き倉子は絶望せし人のごとく元の椅子に沈み込み殆ど
泣声
(
なみだごえ
)
を洩さんとせしも、
思直
(
おもいなお
)
してか又
起上
(
たちあが
)
り
血の文字
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
Bは急いで
起上
(
たちあが
)
つた。そしてそつちへ二三歩近寄つた。
時子
(新字旧仮名)
/
田山花袋
、
田山録弥
(著)
「雪は止んでいるか知らん。」と母はいって
起上
(
たちあが
)
った。
北の冬
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
お勢がまず
起上
(
たちあが
)
ッて
坐舗
(
ざしき
)
を出て、縁側でお鍋に
戯
(
たわぶ
)
れて高笑をしたかと思う間も無く、
忽
(
たちま
)
ち部屋の方で
低声
(
ていせい
)
に詩吟をする声が聞えた。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
井上半十郎思わず
起上
(
たちあが
)
りましたが、雁字がらめに縛り上げられた上、自分の造った砲架にくくられては、この謀反人を眼前に見乍ら、どうすることも出来ません。
江戸の火術
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
「それでは
此
(
これ
)
で失礼します。」と自分は
起上
(
たちあが
)
った、すると彼は
狼狽
(
あわて
)
て自分を引止め、「ま、ま、貴様怒ったのですか。
若
(
も
)
し僕の言った事がお気に触ったら御勘弁を願います。 ...
運命論者
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
「何をあんなに吠えるのだろう。」と、
手持無沙汰
(
てもちぶさた
)
の市郎は、
之
(
これ
)
を
機
(
しお
)
に
起上
(
たちあが
)
って
門
(
かど
)
へ出た。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
鰤の
半身
(
かたみ
)
も、持って来た丼もそのままに
起上
(
たちあが
)
って、棕梠箒の荷を担いで逃げて行く奴を、追い縋った相棒が引ずり倒してポカポカと殴り付けた。商売物の箒が泥ダラケになってしまった。
近世快人伝
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「まあ、待てよ」と
起上
(
たちあが
)
って、
戸棚
(
とだな
)
の中から新しい菓子の入った
鑵
(
かん
)
を取出した。
家:02 (下)
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
明智はいいながら、もう
起上
(
たちあが
)
っていた。
一寸法師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
と、口小言を言い言い、母も渋々起きて、
雪洞
(
ぼんぼり
)
を
点
(
つ
)
けて
起上
(
たちあが
)
ったから、私も
其後
(
そのあと
)
に
随
(
つ
)
いて、玄関——と云ってもツイ次の間だが、玄関へ出た。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
男は口早に、身軽に
起上
(
たちあが
)
って、
衣兜
(
かくし
)
から新しい手拭を
把
(
と
)
って
頬包
(
ほおかむ
)
りした。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
スックと
起上
(
たちあが
)
ったお豊、三右衛門以下の止める間もありません。
礫心中
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
跡で文三は
暫
(
しば
)
らくの間また腕を
拱
(
く
)
んで黙想していたが、フト何か
憶出
(
おもいだ
)
したような
面相
(
かおつき
)
をして、
起上
(
たちあが
)
ッて羽織だけを着替えて、帽子を片手に二階を降りた。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
ふと雪江さんの座蒲団が眼に
入
(
い
)
る……之れを見ると、何だか捜していた物が
看附
(
みつか
)
ったような気がして、
卒然
(
いきなり
)
引浚
(
ひっさら
)
って、急いで
起上
(
たちあが
)
って雪江さんの跡を追った。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「
本当
(
ほんと
)
にお眠いのにお邪魔ですわねえ。どれ、もう行って寐ましょう。お休みなさいまし」と、会釈して
起上
(
たちあが
)
った様子で、「
灯火
(
あかり
)
を消してきますよ」という声と共に、ふッと火を吹く息の音がした。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
起
常用漢字
小3
部首:⾛
10画
上
常用漢字
小1
部首:⼀
3画
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