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變
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かわ
車外の
猛獸は、
見る/\
内に
氣色が
變つて
來た。
隙を
覗つたる
水兵は、サツと
出口の
扉を
排くと、
途端、
稻妻は、
猛然身を
跳らして、
彼方の
岸へ
跳上る。
憂き
事さま/″\に
何うも
堪へられぬ
思ひの
有しに、
飛石の
足音は
背より
冷水をかけられるが
如く、
顧みねども
其人と
思ふに、わな/\と
慄へて
顏の
色も
變るべく
遂々、
變りにかわつて、
足ができ、しつぽが
切れて、
小さいけれど
立派な
蛙になりました。
と
思へども、
晴れぬ
不審は
疑ひの
雲に
成りて、
唯一ト
棹の
箪笥の
引出しより、
柳行李の
低はかと
無く
調べて、もし
其跡の
見ゆるかと
探ぐるに、
塵一はしの
置塲も
變らず
大路を
見渡せば
罪なき
子供の三五
人手を
引つれて
開いらいた
開らいた
何の
花ひらいたと、
無心の
遊びも
自然と
靜かにて、
廓に
通ふ
車の
音のみ
何時に
變らず
勇ましく
聞えぬ。
さても/\の
替り
樣、
我身が
嫁入りの
噂聞え
初た
頃から、やけ
遊びの
底ぬけ
騷ぎ、
高坂の
息子は
丸で
人間が
變つたやうな、
魔でもさしたか、
祟りでもあるか、よもや
只事では
無いと
其頃に
聞きしが
表町とて
横町とて
同じ
教塲におし
並べば
朋輩に
變りは
無き
筈を、をかしき
分け
隔てと
常日頃意地を
持ち、
我れは
女の、とても
敵ひがたき
弱味をば
付目にして、まつりの
夜の
處爲はいかなる
卑怯ぞや