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藜
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あかざ
ふりがな文庫
“
藜
(
あかざ
)” の例文
髪も髯も真っ白なのに、面は桃花のごとく、
飛雲鶴翔
(
ひうんかくしょう
)
の衣をまとい、手には
藜
(
あかざ
)
の杖をもって、
飄々
(
ひょうひょう
)
と歩むところ
自
(
おのず
)
から微風が流れる。
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
其の内に
夜
(
よ
)
もすっかり明け
放
(
はな
)
れましたから、親切な白翁堂は
藜
(
あかざ
)
の杖をついて、伴藏と一緒にポク/\出懸けて、萩原の内へまいり
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
若し少しでも変つてゐるとすれば、それは一面にスレヱトの屋根や煉瓦の壁の落ち重なつた中に
藜
(
あかざ
)
の伸びてゐるだけだつた。
ピアノ
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
島方の三人は、
重湯
(
おもゆ
)
をとるやら
粥
(
かゆ
)
をつくるやら、その間に
藜
(
あかざ
)
の葉の
摺餌
(
すりえ
)
をこしらえ、藤九郎の卵を吸わせ、一日中、病人の介抱に忙殺された。
藤九郎の島
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
其
(
そ
)
の
和尚
(
をしやう
)
が、
私
(
わたし
)
の
目
(
め
)
の
前
(
まへ
)
へ
腰
(
こし
)
を
屈
(
かゞ
)
めて、
支
(
つ
)
いた
藜
(
あかざ
)
を
頤杖
(
あごづゑ
)
にして、
白
(
しろ
)
い
髯
(
ひげ
)
を
泳
(
およ
)
がせ
泳
(
およ
)
がせ、
口
(
くち
)
も
利
(
き
)
かないで、
身體中
(
からだぢう
)
をじろ/\と
覗込
(
のぞきこ
)
むではござんせんか。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
春さきになると、まず壺すみれが
日南
(
ひなた
)
に咲いた。それからクローバー、
車前草
(
おおばこ
)
、
藜
(
あかざ
)
などがほしいままに繁った。
吾亦紅
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
それは他の草花から離れて、偶然この雑草の抜いてない場所に生えたので、よく茂った
藜
(
あかざ
)
や、名も知らぬ丈の高い南方の雑草が、ぎっしりと周りを取り囲んでいた。
紅い花
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
魚や肉などは余りに買わないで多くは
浅蜊
(
あさり
)
や
蛤
(
はまぐり
)
または鰯売り位を呼込んで副菜にし、あるいは門前の空地に生い茂っている
藜
(
あかざ
)
の葉を茹でて浸し物にする事もあった。
鳴雪自叙伝
(新字新仮名)
/
内藤鳴雪
(著)
と云って、
藜
(
あかざ
)
の杖をついて伴蔵といっしょに新三郎の
家
(
うち
)
へ往った。そして、いぶかる新三郎に人相を見に来たと云って、
懐
(
ふところ
)
から天眼鏡を取り出して其の顔を見ていたが
円朝の牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
主従は有難きことに思い、御像をその駒形堂の所へ安置し奉ると、十人の草刈りの
小童
(
こわらわ
)
が、
藜
(
あかざ
)
の葉をもって花見堂のような仮りのお堂をしつらえ、その御像を飾りました。
幕末維新懐古談:12 名高かった店などの印象
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
見付村役人に屆けなどする中一人の
旅僧
(
たびそう
)
鼠
(
ねずみ
)
の
衣
(
ころも
)
に
麻
(
あさ
)
の
袈裟
(
けさ
)
を身に
纒
(
まと
)
ひ
水晶
(
すゐしやう
)
の
珠數
(
ずず
)
を
片手
(
かたて
)
に
持
(
もち
)
藜
(
あかざ
)
の
杖
(
つゑ
)
を突て通りかゝりけるが此捨子を見て
杖
(
つゑ
)
を止め
頓
(
やが
)
て立寄りつゝ彼
小兒
(
せうに
)
の
袖
(
そで
)
を
廣
(
ひろ
)
げ
腰
(
こし
)
なる矢立を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
日本橋区
茅場町
(
かやばちょう
)
一番地、喜可久。
其角
(
きかく
)
の三日月の文台、
藜
(
あかざ
)
の軸を見る。
六百句
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
雪のように白い長髪を肩へ深々と垂れ下げた、
棗
(
なつめ
)
のような
赧
(
あか
)
い顔の、獣の皮と木の葉とで不細工に綴った着物を着た、仙人のような老人で、いつも
藜
(
あかざ
)
の杖をついて、静かに歩いて来るのであった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
陽に清貧を
楽
(
たのし
)
んで陰に不平を蓄うるかの
似而非
(
えせ
)
文人が「独楽唫」という題目の下にはたして饅頭、焼豆腐の味を思い出だすべきか。彼らは酒の池、肉の林と歌わずんば必ずや麦の飯、
藜
(
あかざ
)
の
羹
(
あつもの
)
と歌わん。
曙覧の歌
(新字新仮名)
/
正岡子規
(著)
吾庭の
梅雨
(
つゆ
)
の雨間の花どころ
藜
(
あかざ
)
しげりて青がへる啼く
風隠集
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
と
藜
(
あかざ
)
の杖を曳きながら幡随院へやって来ると、良石和尚は
浅葱木綿
(
あさぎもめん
)
の衣を
着
(
ちゃく
)
し、
寂寞
(
じゃくまく
)
として坐布団の上に坐っている所へ勇齋
入
(
い
)
り
来
(
き
)
たり
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
翁
(
おきな
)
——それは別人ならぬ
果心居士
(
かしんこじ
)
だ。龍太郎の顔を見ると、ふいと、かたわらの
藜
(
あかざ
)
の
杖
(
つえ
)
をにぎりとって、立ちあがるが早いか
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……
情
(
なさけ
)
なさに
歩行
(
ある
)
き
惱
(
なや
)
みますと、
時々
(
とき/″\
)
、
背後
(
うしろ
)
から
藜
(
あかざ
)
の
杖
(
つゑ
)
で、
腰
(
こし
)
を
突
(
つ
)
くのでございますもの。
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
華魁
(
おいらん
)
鴨をうつわ、雪のしたから浜菜や
藜
(
あかざ
)
をほってくる、ロッペンの卵をあつめる。
海豹島
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
岩菊、浜菜、もるちの
花叢
(
はなむら
)
、
藜
(
あかざ
)
に
茅萱
(
ちがや
)
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
佐野が宿
鉈
(
なた
)
ふるふべき
藜
(
あかざ
)
かな 徴羽郎
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
鎌とげば
藜
(
あかざ
)
悲しむけしきかな
五百句
(新字旧仮名)
/
高浜虚子
(著)
「
峩
(
たか
)
い冠をいただいて、手に
藜
(
あかざ
)
の杖をついています。眉白く、皮膚は桃花のごとく、容貌なんとなく常人とも思われません」
三国志:06 孔明の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
裏
(
うら
)
の
田圃
(
たんぼ
)
を、
山
(
やま
)
の
裾
(
すそ
)
から、
藜
(
あかざ
)
の
杖
(
つゑ
)
を
支
(
つ
)
いて、
畝路
(
あぜみち
)
づたひに、
私
(
わたし
)
が
心細
(
こゝろぼそ
)
い
空
(
そら
)
の
雲
(
くも
)
を
見
(
み
)
て
居
(
を
)
ります、
離座敷
(
はなれざしき
)
へ、のそ/\と
入
(
はひ
)
つて
來
(
き
)
ました、
髯
(
ひげ
)
の
白
(
しろ
)
い、
赤
(
あか
)
ら
顏
(
がほ
)
の、
脊
(
せ
)
の
高
(
たか
)
い、
茶色
(
ちやいろ
)
の
被布
(
ひふ
)
を
着
(
き
)
て
みつ柏
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
と聞くより勇齋も驚いて、
藜
(
あかざ
)
の杖を
曳
(
ひ
)
き、ポク/\と出掛けて参り
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
蓼や
藜
(
あかざ
)
を明るくする。
海豹と雲
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
張角はしかし
稀世
(
きせい
)
の秀才と、郷土でいわれていた。その張角が、あるとき、山中へ薬をとりに入って、道で異相の
道士
(
どうし
)
に出会った。道士は手に
藜
(
あかざ
)
の杖をもち
三国志:02 桃園の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
痩躯
(
そうく
)
鶴の如き左典の身は、ヒラリと
剣尖
(
けんせん
)
をかわして、その途端に
藜
(
あかざ
)
の杖がブーンと新九郎の横面に飛んだ。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ここの
旅籠
(
はたご
)
で、二人は入城の身支度をこしらえた。呉用は白地に黒い
縁
(
ふち
)
とりの
道服
(
どうふく
)
に、
道者頭巾
(
どうじゃずきん
)
をかぶり、
普化
(
ふけ
)
まがいの
銅鈴
(
どうれい
)
を片手に持ち、片手には
藜
(
あかざ
)
の杖をついて出る——。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
よいかな竹童、さすがは
果心居士
(
かしんこじ
)
が、
藜
(
あかざ
)
の
杖
(
つえ
)
で、ピシピシしこんだ
秘蔵弟子
(
ひぞうでし
)
だ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
誰か耳もとで呼ぶ声に、ふと気がついた新九郎、まだ気が張り詰めているので、思わずムックリ眸を上げて見ると、眼の前にいるのは自斎ではなくて、麻の道服を
纏
(
まと
)
い手に
藜
(
あかざ
)
の杖を持った一人の老翁。
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“藜(アカザ(植物))”の解説
アカザ(藜、学名: Chenopodium album var. centrorubrum)は、ヒユ科最新の植物分類のAPG植物分類体系ではヒユ科であるが、古い分類体系のクロンキスト体系や新エングラー体系ではアカザ科に分類されている。アカザ属の一年草。畑の縁や空地などに多い雑草。繁殖力が強く、草丈2メートルほどになる。古くから食用雑草、民間薬として利用されている。
(出典:Wikipedia)
藜
漢検1級
部首:⾋
18画
“藜”を含む語句
藜藿
藜杖
藜蘆